episode78
「田河?!お前里倉先生に何して...」
「正当防衛です。この男、犯罪者予備軍ですよ。」
「?どういう事だ?」
大森の疑問にオレはつい先程の里倉の様子を話した。すると大森の顔がみるみるうちに青くなっていった。だってそうだ。まだ来たばかりなのに、生徒受けも教師受けも良かった人間だ。それが叔父と甥という関係だからと言って一人の生徒に迫る、という行為に出たのだ。顔も青くなるだろう。そしてそんな中、里倉は叶弥の姿を見ると、「お前がァ...!!」と大声を上げた。
「お前が、五十嵐が余所者の癖に出しゃばるから、私は京司を手に入れられなかった...!!ふざけるな、ふざけるなぁ!!」
オレは頑張って我慢してきた方であったと思う。あまりにもうるさく喚き、暴れたのでオレは里倉のみぞおちに蹴りを入れた。すると「ぐあっ!」と声を上げて気を失ったのだった。
「お、おい田河...流石にやり過ぎじゃないか?」
「一発なんで。見なかったことにして下さい。」
オレは制服のポケットからスマホを取りだし、叶弥と大森に差し出して、録音していた音声を再生した。するとスマホからはオレと里倉の会話が流れ始め、叶弥と大森はそれを聞いて信じられないものを見る目で気を失った里倉を見た。
「...さっきの様子といいこの録音といい...これが里倉先生の本性ってことか...」
「実の姉に...。それが叶わなかったからって、今度は甥の京司に目を付けたってことか...。」
オレはスマホをしまうと、大森に里倉の身柄を引き渡した。
「田河。まだお前にも聞かなきゃいけない事があるから、そうだな...また後日、よろしく頼む。」
「...分かりました。」
「今日はもう帰れ。五十嵐、ちゃんとついててやれよ?」
「当たり前だっての。それより、なるべく早くそいつを処分してくれよ?...金輪際、京司に近づかないように。な?」
叶弥はそう言い捨てると、オレの肩を抱き歩き始めた。
「それにしても、よく咄嗟に録音出来たな?」
「教務室で叶弥を冷たい目で見てたから何かあると思ってな。」
「録音して正解だったな。」と笑みを浮かべた。
「それにしても貧弱で助かったよ。まさかあれだけの事で気を失うとはね。」
「カタギさんに手を出すのは許されねぇけど、今回ばかりは...オレも見なかったことにする。」
「ハハッ。ありがとな。」
「さぁて、帰りますか。」そう言うとオレ達は二人揃って学校を後にした。




