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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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77/92

episode77

学校生活とは早いもので。午前の授業が終わり、昼メシを食ったかと思えば、すぐに午後の授業が始まる。その午後の授業も昼メシを食ったことによって、程よい眠気がやってきて、大半の生徒は眠りの世界へとダイブしている。オレはこっそり叶弥へと目をやると、机に突っ伏して居眠りをしている。まったく。居眠りをするからテスト前、オレが勉強を見る羽目になるんだろうが。オレは小さくため息をつきながら黒板に目を向け、マジメに授業を聞くことにした。そして、ある程度時間が経つとチャイムが鳴り、授業の終わりを告げる。午後の授業はあと一時間。放課後まであと少し。オレは憂鬱な気分が抜けない。そう思っていると本日最後の授業の始業のチャイムが鳴り、教師が教務室へと入ってきて授業を始めた。


「ーで、あるからして、xとyは...」


もう数学の数式が呪文にしか聞こえないくらい、オレも眠気と戦っていた。眠気と格闘しているうちに終業のチャイムが鳴り、生徒達は嬉々として帰り支度をし始めた。


「京、中庭いくだろ?」

「あぁ...。気乗りはしないが行かない訳にはいかないからな。」


オレ達は荷物を持ちながら中庭へと向かおうとした。が、その時、「五十嵐ー!ちょっと来い。話しがある。」と叶弥は大森に呼ばれてしまった。叶弥はどうしたものかと戸惑っていたので、オレは「一人で大丈夫だから。行ってこい。」と叶弥の背を押した。そしてオレは一人で中庭へと向かうと、ベンチに座り本を読みながらオレの到着を待っている里倉の姿が見えた。ジャリ、と言う音を立てて里倉へと近づくと、里倉はオレの姿を目にとめ、オレが一人なのを見るとそれはもう嬉しそうに近づいてきた。


「京司。待っていましたよ。ちゃんと来てくれたんですね?」

「...里倉先生。だから学校では...」

「まぁ、いいじゃないですか。今ここには私達しかいないんですから、ね?」


「それで...考えてくれましたか?」と里倉は答えを迫ってきた。オレは姿勢を正し、里倉へと向き合うと口を開いた。


「里倉先生。オレは五十嵐の家を出るつもりはありません。これからもオレは"五十嵐の人間"として生きていきます。」


「これは五十嵐の家長も承知の上です。」というと、里倉は顔を暗くし、ワナワナと震えるとオレとの距離を縮めてきた。そして、おれの肩を掴むと荒い息で迫ってきた。


「京司!どうして私の言うことが聞けないのですか?!貴方は私の甥...姉さんの忘れ形見..!だから貴方は私のモノなのです...!!」

「痛っ...里倉先生、離してください。」

「姉さんが手に入らなかったのだからせめて息子である貴方を手に入れたい...!!姉弟と言うだけで結ばれる事を許されなかった悲劇はもうコリゴリだ...!!」


驚いた。里倉は実の姉に対して抱いてはいけない感情を抱いていたようだ。


「里倉先生。母も貴方に特別な感情を抱いていなかったのと同様、オレも教師としてしか貴方を見ていません。」


「だから諦めて下さい。」オレはそう言うと、オレの肩を掴んでいた手を掴むと、捻りあげた。すると里倉からは声にならない悲鳴が漏れる。さて、後はどうしてくれようか...と考えていた時、叶弥が大森を連れてオレ達の元へと現れたのだった。

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