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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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76/92

episode76

翌日、オレと叶弥はいつもより少し早く学校へと行った。里倉と話しをするためだ。教室に荷物を置いて、教務室へと行くと、里倉が他の教師と親しげに話しをしていた。しかし、教務室の入り口にいるオレの姿をみつけると、里倉の顔はパァッと明るくなり、先程まで話しをしていた教師に会釈すると小走りでオレ達の元へとやって来た。


「おはようございます。けい、田河君。五十嵐君。」

「おはようございます。あの、話しがあってきたんですけど...。」

「!そうですか!それで早く来てくれたんですか?」

「はい。」

「せっかく早く来てくれたのに申し訳ないのですが....これから朝礼があって...。放課後でもいいですか?」

「構いません。あまり聞かれたくないので、出来れば人気の少ない所で話したいのですが...」

「それでは中庭で話しましょう。いいですか?」


この学校の中庭は休み時間や放課後でも人気が少ないので、密会などをするにはもってこいと有名であった。それを知ってか知らずか、里倉はその中庭を指定してきたので、それでいいかと思い了承する事にした。


「放課後に中庭、ですね。分かりました。」

「もしかして、五十嵐君も一緒に?」

「当たり前だろ。京を一人で行かせるわけあるか。」

「...。そうですか。私としては甥と二人きりで話したかったのですが...。残念です。」


里倉はそう言うと肩を竦めた。そうこうしているうちに続々と生徒達が登校してきた。


「分かりました。それで結構です。それでは朝礼が始まるので、また放課後に。」

「はい。よろしくお願いします。」


そう言うとオレと叶弥は教務室を後にしようとした。しかし、何故か叶弥は後ろに目をやったまま動こうとしなかった。オレはそれを不思議に思い後ろに目をやると、冷たい目をした里倉が叶弥を見ていた。しかし、オレが見ている事に気がつくと、里倉は顔をパッと笑顔に切り替え手を振ってきた。


「?なんだ、一体?」

「京、いいか?絶対ヤツと二人きりになるんじゃねぇぞ?」

「え?オレにとっては叔父で、しかも教師なんだし下手な事はしないだろ?」

「...胡散臭い匂いがプンプンするんだよ。」


「頼むから。な?」と言われ頭をポンと撫でられると、オレは拒否する事が出来なかった。こういう時の叶弥の勘は大概当たる。


「分かった。でもやむを得ないときは一人で行くからな?」


「その怖い顔やめれ。」と言うと、オレは叶弥の頬を両手でバシッと挟み顔を、目をオレに合わせた。


「痛い。京、痛いから離してくれ。」

「ブハッ。不細工な顔!」

「ンだと、コラ。」


そうじゃれ合いながら教室へと向かうオレ達を冷めた目で見つめる里倉には気が付かなかった。

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