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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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episode73

「ただいまー。」

「ただいま帰りました。」


玄関をガラガラと開けると、廊下の奥からドタバタと忙しない足音が聞こえてきた。


「けーじ!きょーや!おかえりなさい!」

「ただいま剛。いい子にしてたか?」

「うん!してた!今日な、隠れんぼしたんだ!」

「お、楽しそうだな。そうだ、今日留守番してたご褒美。」


オレがそう言って、買い物袋からポテチとチョコを取り出すと、剛はキラキラした目で見つめてきた。


「ヤッター!ポテチとチョコ!オレ大好き!ありがとう、けーじ!」

「これから夕メシになるから、食べるなら夕メシ食ってからな?」

「ハーイ!」


剛は手渡されたポテチとチョコを大事そうに抱きかかえながらキッチンへと向かうオレ達の後をついて来た。


「けーじ!今日の夕メシなーに?」

「エビチリとチンジャオロースだぞ。剛、ピーマン食べれるか?」

「ピ...ピーマン?!」

「ホラ、やっぱりガキだった。ガキはピーマン嫌いだもんな?」

「べ、べつに食えるし!けーじのメシうまいから絶対残さねーもん!」


剛は叶弥と一緒で、オレにとって嬉しい言葉をくれる。こんな子供の言葉に励まされるとは...。今日一日の憂鬱が一気に消え去った。やはり今日の、里倉の事は凛太朗さんの耳に入れておくべきだろう。オレはそう決心した。


「剛。材料を冷蔵庫に入れるの手伝ってくれるか?」

「おう!オレに任せろ!」


「オレが冷蔵庫に入れるから、剛は袋から出してくれ。」と言うと、剛は抱えていたポテチとチョコを叶弥に渡して、「オレのだからな!きょーや食うなよ!」と念押ししていた。


「ホラホラ。急がねぇと食っちまうぞー?」

「?!だ、ダメだ!けーじ、早く早く!」

「...叶弥。大人気ない事するなよ。」

「そーだそーだ!大人気ないぞ!」


そんなやり取りをしていると、夕飯当番の若衆達がキッチンへと入ってきた。


「若、京司さんおかえりなさい。」

「まるで親子みたいなやり取りッスね(笑)」

「京司さーん、いつの間に産んだんスか(笑)」

「...お前ら夕メシ抜きにされたいのか?」


オレが夕メシを人質に取ると、ヤツらは土下座で「スンマセンでした!」と謝罪してきたのであった。どうしてこうも家でも学校でも叶弥と夫婦にされるのやら...。オレはため息をつくと、「まぁ、いいか。」と言ってエプロンをつける。


「叶弥、剛。オレはこれから料理し始めるから広間にでも行っててくれ。」

「ハーイ!」

「...。」

「叶弥?どうかしたか?」

「いや、エプロンすると新妻感増すなって思って。」


オレは「バカか!」と言うと叶弥の頭を引っぱたいた。その横で剛が若衆に「にーづまってなんだ?」と聞いていたのには聞こえないフリをした。

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