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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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episode72

「叶弥、今日は何食いたい?」


オレと叶弥は帰宅途中に夕メシの買い出しのためにスーパーへと来ていた。


「あー...中華かなぁ。エビチリとチンジャオロース。」

「良いかもな。あ、剛ピーマン大丈夫かな?」

「ピーマン食えないとかガキだろ。」

「...剛はまだ5才だからな?好き嫌いは多いだろ。」


それに叶弥もたしか子供の頃ピーマン食えなかった気がする...。だが、それを言うと面倒なので言わないでおいた。


「留守番のご褒美にお菓子でも買ってってやるか。」

「あんまり甘やかすなよ?」

「幼稚園に入るまでなんだし、毎日じゃないんだからいいだろう?」


「寂しい思いさせてるんだから。」と言うと、叶弥も「しゃーねーな。」と言い、一緒に剛のお菓子を選んでくれている。まだ来たばかりだから好みが分からないけれど、とりあえずポテチとチョコをチョイスした。そうして会計を済ませてレジ袋を持とうとすると、重たい方の袋を叶弥が率先して持ってくれた。精神年齢が低い割に、こういう所は大人で紳士的だ。そこに気づいてしまうと、思わず「ふふっ」と笑みが零れてしまう。すると叶弥は怪訝そうな顔でオレを見てくる。


「...なんだよ?」

「いや?ふふっ。お前って紳士だなぁって思って。」

「紳士ぃ?」

「気づいてないのか?てことは無意識かよ。怖い怖い。」

「だからなんの事だって?」

「別にィ?オレが知ってればいいの。ほら、早く帰るぞ。皆腹減らせて待ってる。」


オレはそう言うと、荷物の持っていない方の手で叶弥の手を引いて歩き始めた。叶弥はまさかオレの方から手を握ってくるとは思っていなかったようで、ビックリした顔をしていた。そして、そのまま顔を赤く染めた。


「叶弥、顔赤くなってるぞ?」

「ハァ?!なってねぇよ!気のせいだろ!...あ、あれだ!夕日のせいだ!」

「...まだ夕日出てませんケド?」

「あーもー!なんでもいいだろ!ホラ、帰るんだろ!」


「ハイハイ」とオレは返事をすると、いつの間にか逆に手を引かれる形になっていた。まったく...かっこいいんだか、可愛いんだか。紳士になったり、子供になったり。叶弥といれば退屈しないな、と思うのだった。


「夕飯食って風呂入ったら一緒にするか?宿題。」

「ゲ...。忘れてたのに思い出させるなよ。」

「...逆に忘れるなよ...」


まぁ、いいか。と思いながら、オレ達は握った手を離すことなく帰路へとついたのだった。

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