episode65
「ハァ...。生き返るわァ...」
「おい、叶弥。オッサン臭いぞ?」
「オッサン!オッサン!」
「良いだろ。ウチの風呂は広くてデケェんだからさ。」
「京もガキの頃はしゃいでたじゃねぇか。」と言われるとオレはぐうの音も出ない。たしかに、五十嵐の家の風呂は温泉みたいで子供ははしゃぎたくなるだろう。現に剛も湯船に浸かりながらバシャバシャと遊んでいる。
「剛。楽しいか?」
「おう!楽しいぞ!3人で入っても広い風呂ってスゲェな!」
「おいガキ、さっさと100数えて一人で上がれ。オレは京と二人、夫婦水入らずを過ごしたい。」
「ヤダ!上がる時はけーじと上がる!それに、お前、いっつもオレのこと"ガキ"って言う!...オレには"剛"って名前があるんだぞ!」
「...ハァ。悪かったよ、剛。」
「!お、おう!」
珍しく叶弥が折れ大人を見せたなと思った。オレはそれがなんだか可笑しくてつい笑ってしまった。
「...オイ、京。何笑ってやがる。」
「い、いや。フフッ。お前も大人になったなぁと思って。」
「ハァ?意味分かんね。オレはもともと大人だ。」
「剛に張り合ってたクセに?」
オレがそう言うと、叶弥は「仕方ねぇだろ...」と言った。
「?何が仕方ないんだよ。」
「お前の事となると、大人も子供も関係ねぇんだよ。」
「分かれよ。」とほんのり顔を赤らめていた。
「?オイ、きょーや、顔赤いぞ?のぼせたか?」
「いや、のぼせてねぇよ。なんだァ?心配してくれてんのか?」
「!い、いや!心配じゃねーし!」
「本当かぁ?」
叶弥はニヤニヤしながら剛を問い詰めていた。そういう所が子供なんだよ、と心の中でツッコんでしまった。
「さぁ、もう長風呂になるし全員で上がろう。本当にのぼせちゃう前に、な。」
「ハーイ!」
「しゃあねぇな。京、今度は二人っきりで入ろうな?」
「バーカ。」
本当に叶弥はバカだ。子供の前でそういう事を言わなくても良いだろうが。オレはのぼせてもいないのに、静かに顔を赤らめていた。
「?けーじ、上がらねぇの?」
「!いや、上がるぞ?今日は上がったらもう寝ような?」
「ん...ハーイ。」
剛は素直で良い子だ。これなら幼稚園でも上手くやって行けるだろう。オレは心の中でそう思ったのであった。




