episode64
事件が起こったのはその日の夜であった。夕飯を済ませ、皆がのんびりと過ごしていた時であった。剛が爆弾を落としたのである。
「けーじ!風呂!一緒に入ろ!約束したろ!!」
その爆弾に皆が衝撃を受け、視線をギギギと一点に向けた。そこにはキレる寸前の黒いオーラを纏った叶弥が座っていた。
「おいガキ。京と風呂だと?何ふざけてやがる。オレだって京と風呂入ってねぇのに。」
「当たり前だろ。子供と張り合うな。大人気ないぞ...。」
「そーだそーだ!オレは子供だからいいんだぞ!」
「...剛もあんまり煽らないでくれ...。」
叶弥と剛の間に火花がバチバチと散っていると、若衆達はそそくさと広間を去っていった。
「あーもー!だったら三人で入るぞ。それならいいだろ?」
「え...?京、いいのか?」
「別にいいだろ。減るもんじゃねぇし。」
オレがそう言うと、叶弥は嬉々としてガッツポーズをし、天を仰いだ。
「京との裸の付き合い...!何度夢に見たことか...!」
「ガキの頃はしょっちゅう一緒に入ってたじゃねぇか。」
「昔は昔!今は今!ガキがいるのは余計だが、それはまぁ許容範囲という事にしてやる。おいガキ。オレと京の邪魔はすんじゃねぇぞ?」
「ヤダ!けーじはオレの!ジャマはお前!」
「...なんだとこのクソガキ...」
「二人とも。ケンカすんなら一緒に風呂入んねぇぞ?」
「「それはイヤだ!」」
...なんともまぁ、変なところは似ているようだ。
「それじゃあ風呂に入る仕度するぞ。剛、おいで。叶弥もさっさとしろよ。」
「ハーイ!」
「はいよ。」
二人ともオレの言葉にすんなりと従ったので、オレは一安心した。叶弥が鼻歌混じりでご機嫌な様子で部屋に行くのを見届けるとオレはしゃがみこみ剛にこっそり耳打ちした。
「今日は一緒に寝てやるから、それで許してくれるか?」
「!いいのか?!」
「あぁ。...でもこれは叶弥に内緒だぞ?バレるとまた邪魔されちゃうからな。いいな?」
オレは人差し指を口元に持っていき、シーっとすると、剛は口に両手を当てコクコクと首を縦に振った。
「良い子だ。それじゃあ風呂に入る仕度をしに行くか。」
すると剛は、先程のように声には出さずに手をピシッと挙げることで返事をした。そんな剛の様子が可愛らしくて、オレは剛の頭をわしゃわしゃと撫でた。すると剛は嬉しそうに笑うのであった。




