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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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episode46

そのまま教室へと向かう最中にもこちらをチラ見するヤツはいたが、その度叶弥が睨みをきかせたため、朝のうちにオレと湊先輩の事件の噂は広まることがなくなった。流石に叶弥様様だ。だが、クラスに着くと、クラスメイト達は心底心配してました!と言わんばかりに、オレの元へと集まってきた。


「田河、お前マジ大丈夫か?!」

「今日くらい休んでも良かったんじゃないか?」

「...ありがとう。でも下手に休むと逆に来ずらくなるからさ。それに叶弥がついていてくれるし。」

「たしかに五十嵐がいれば安心か。」

「ハイハイ。お前ら京に近寄りすぎ。離れろや。」


叶弥がおれを背後から包み込むように抱きしめると、手で"シッシッ"とやった。そんな叶弥にクラスメイトは「独占欲丸出しだよ」「心狭いぞー」と声を上げた。


「独占欲で結構。京はオレのだから。勝手に触んじゃねぇぞ?」

「これじゃどっちが"番犬"かわからねぇな。」

「...なんて言うか、"女王様"と"ナイト"って感じが強い。」

「「たしかに」」

「オイ。ケンカ売ってんなら買うぞ?叶弥には及ばないがオレもそれなりに強い方だからな?」


オレがそう言うと「女王様のお怒りじゃー!」「こういうとこは"番犬"っぽいな」と口々に言い出してきた。オレは登校してから今まで、若干気が重たかったが、クラスの様子に心が軽くなったと同時に温まるのを感じた。


「ケンカと言えば、最近停学してた上級生が復学してきたらしいよ?」

「?なんでそれが"ケンカと言えば"なんだ?」


それは叶弥も疑問を持ったようで、発言したくらを二人して見やった。


「それが、他校の生徒とのケンカが原因らしいんだ。」

「なんでも視線で人を殺せる"番長"って言われてるらしい。」

「..."番長"って古くないか?」


大概のクラスメイトは同じ感想を持っていたようで、皆が「うんうん」と頷いていた。


「で?その"番長さん"がどうかしたのか?」

「いやぁ、かなりのケンカ狂らしいから、五十嵐君達のこと知ったらそれこそケンカ売りに来ると思うよ?」


叶弥はそれを聞くと何かを考え、「ソイツの名前、"財前 正義"か?」と尋ねた。オレはその名前を聞いた瞬間「ゲッ」と声を漏らし、クラスメイトは「なんでわかったんだ?」と疑問を持った。


「なるほどな。財前なら平気だ。なんてったって"自称"京司の舎弟だからな。」


叶弥の発言に教室が凍ったかと思ったらそれも一瞬で、次の瞬間には叫び声が響き渡った。

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