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その番犬、狂暴につきまして。  作者: 朱音小夏


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38/64

episode38

「...か!...若!!」

「!!」


叶弥が目を覚ました時、そこは自室のベッドの上だった。...京司と公園にいたはずなのに何故自分はここにいるのか。そして、何故京司の姿が見えないのか。


「...おい。京司はどこだ...?」


叶弥が酷く恐ろしい程の低い声で傍にいた若衆に尋ねた。


「...オレ達が若を見つけた時には...もうどこにもいませんでした...。」

「今、手分けして探している所です。」

「GPSは?京司のスマホにも仕込んであんだろ?」

「...それが、京司さんのカバンの中に入ったまま放置されていて...」


手がかりが全くない。詰んでしまった。そう思っていた時だった。叶弥のスマホにメールが届いた。文章は無い。ただ写真が添付されているだけ。その添付されている写真を見ると...そこには気を失っている京司の姿があった。


「!京司!!」

「なんですって?!」


気を失っている時点で無事とはいえないが、写真を見る限り、目立った怪我はしていないようであった。その様子に全員が少し安堵していると、知らない番号から着信が入ってきた。タイミング的にこの写真を送ってきたヤツからであろう。叶弥は意を決して電話に出た。


「...もしもし。お前は誰だ?」

「久しぶりの先輩に対して"お前"だなんて礼儀がなってないね、五十嵐 叶弥。」

「テメェ...もしかして、湊 友樹か?!」

「君に名前を呼ばれるなんて気分が悪くなるよ。」

「京司を攫ったのはお前か?」

「攫ったなんて人聞きの悪い。...京司君は僕のジュリエットだからね。返してもらったにすぎないよ。」


湊は恍惚とした声で京司の事を"ジュリエット"と呼んでいた。


「ハッ!京司がジュリエットなら、お前は自分がロミオだって言いたいのか?」

「もちろん。まぁ、シェイクスピアと違って、僕たちは引き裂かれる事なく、祝福されながら結ばれる運命だけどね。」

「...ロミオとジュリエットら決して結ばれることはない。京司は絶対に返してもらう。」

「...居場所もわからない癖に大口叩くんじゃないよ。苛立たしいな。」


そんなやり取りをしていると、電話の向こうからかすかに唸り声が聞こえてきた。それは京司のものであった。無事ではあるが、口に枷がされているため、京司はただただ唸ることしか出来ないようであった。


「あぁ、ごめんよ京司君。苦しかったね。今楽にしてあげるよ。」


湊はそう言うと京司の口の枷を外した。外された瞬間、京司は「叶弥!」と大声で叶弥を呼んだ。


「京司!!」

「無駄だよ。君の声は京司君に君の声は聞かせない。これから二人で再会のお祝いをするんだ。万が一、君が居場所を突き止めたとしても、その時にはもう京司君の身も心も僕の物にしてみせるから。京司君の中から君の存在を消してみせるよ。それじゃあね。」

「待てっ!!オイ!!」


叶弥がどれだけ吠えようと、その声はもう届くことはない。


「若。メールの送信元から居場所を特定出来るかもしれません。」

「!そうだな。頼む。」


叶弥はそう言うとスマホを組長付きの秘書に渡した。この男は叶弥と京司が子供の頃から兄のように慕う男である。だから、安心して任せることが出来る。


「出来る限り早く特定してみせるので若も少し安静にしていて下さい。」

「...オレは待つしか出来ねぇのか...?」

「若。今は私達に任せてください。...京司さんも若が助けに来てくれるのを待っているハズですから、そのためにも万全を期しましょう。」

「...すまねぇ...」

「いえ。何かわかりましたらすぐにお知らせします。」

「...頼んだ。」


叶弥はそう言うと、緊張の糸が途切れたかのようにベッドの上に倒れ込んだ。

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