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53/75

第53回路 ひとときの幸せ

通常の会話は「」魔法での会話は〈〉

みんなで声を合わせる時は〈「」〉となっております。

【とある宮殿】

サティスディーナは玉座の後方に置いてあるソファーに座り

男はその膝に頭を乗せて

本を読み聞かせてもらっている

シュイーーン

「あるじさまーアイツら起きたのにねーやられちゃったねー」

イロハニールはいつも空気を読まない

たぶんサティスが本を読んでいなければ

いつもの扇子が飛んでくるところだった

「あぁ、あの辺りは手中に収めたかったのだがな…

ファイヤードラゴンじゃなくてボルケーノドラゴンだったんだな

まぁ、どっちでも良いが…」

「最近よく邪魔してくるヤツ…ウルシ、ウルチ、ウル…シバラデンリューっていう名前らしいよ」

目を閉じがちだった男は目を見開いた

「ウルシバラ デンリュウ?

イロハ、それはどこで仕入れた情報だ?」

「この前言ったエドガルのギルドにさっき暇つぶしに行った時に聞いたんだよ」

「デンリュウ…珍しい名前だな…」




「せっかくの無人島だし、海水浴っていうのはどう?」

デ…ナリアーノさんが提案した

「えーーみんな水着とか持ってないよ?」

「フフーン、まっかせなさい!」

そう言って更衣室と水着を魔法でポンポンと用意した

「どうぞ、好きなの選んで!

サイズが合わなかったら教えてね!」

ここで海水浴イベントとは…

ナリアーノさんに感謝!

「これ…ちょっと小さいんだけど…」

ビキニにパレオ

ミポポ…脱いだらすごい!

《ピーポーピーポー》

「そうだね、はいっ!」

ちょうどいい大きさになった

「これ、ちょっと大きいかな…」

タンキニを選んだリョンリョンは恥ずかしそうに言った

そういえば前にスリングショットのくだりがあったな…

それでもよかったのに…

「お任せください!はいっ!」

おーこれはこれでなかなか

ん?

「ミズキ、お前何やってんの?」

水色のビキニを選んでいた

〈私だって水着着たいもん!〉

「いやいや無理あるだろ!」

「大丈夫!はいっ!」

「ナリアーノさんなんでもありですね…」

〈ありがとうございます!〉

リスに水着ってそりゃないでしょう、しかもビキニ…


リードさんは砂に埋められていた

その横でミズキも…モグラにしか見えん!

ちなみにモグラは齧歯類ではないらしい…


ナリアーノさんは公式の場ではスタイルのいい方で

気を抜いたり、プライベートはデブアーノになるみたいだ

ナリアーノさんの時はリードさんは近くに寄っていき

デブアーノになると他のところに行く

この2人の動きを見ているだけで笑えてくる


散々遊んで、さぁ帰ろうとなったところで

1人沈んでいる人がいる…リードさん…

「やっぱり船だよね?しかないもんね?ハァ」

「寝てればいいじゃない、ほら膝枕してあげよっか?」

「マジで?じゃ船で帰る!」

子供か!

「ウルシバラ、私もしてあげる…」

「リョンリョン、マジでっ?」

何かが飛んできた、顎のあたりが痛い

みんなで船に乗り、夕焼けを背中にモノリーに向かって出航した

当然、魔法陣が海面に出たりしないから、爆発も地震も起こらない

静かな日常に戻った



【クイーンナリア船内】

客室のフローリングに薄めのクッションを敷いて

ミポポは正座をした

「はい、どうぞ」

船が動き出して数分にも関わらず

リードさんは調子が悪い

四つん這いになってオアシスに辿り着いた

「はい、これ、忘れ物」

リョンリョンは気を利かしてバケツをそばに置いた

リードさんはミポポの膝の上で目を閉じている

「あー…なんだろ…これ…すごい落ち着く…」

昔の記憶が蘇ってきた

正座した母親の膝枕

耳かきをしてもらっていた時の…

「…お母さん…」

あのアクシデントがなければ…どうなっていたんだろう

記憶は色褪せて母親の顔ははっきりと覚えてはいない

ただ感覚、匂い、音、枕より少し高めの視界がしっかりと刻まれている

涙が1つ…

「わたしはお母さんじゃないよ」

否定はしているがすごく優しい口調でミポポは言った

ミズキは何を思ったのか

俺の腕組みする腕と脇のあたりに収まって目を閉じている

リョンリョンはナリアーノさんに弓矢の使い方を教わっていた

なんだかすごく充実した幸せな時間が訪れていた



【港町モノリー】

港に着いた

みんな疲れていたがギルドにだけ報告に行った



【冒険者ギルド】

ソフィニールさんはカウンターにいた

建前の姿のナリアーノさんが声をかけた

「ギルドマスター!今戻りました」

「よくぞ、ご無事で!すごく大きな地震があったので心配していたんですが…本当に良かった!さぁ奥にどうぞ」

ギルドマスターの部屋に案内された

「どうぞおかけください。それでは報告をお願いいたします」

「それでは私の方から…」

ナリアーノさんは今朝から起こったことを要点をついて話した

「…そんなことが…本当に無事で何よりです。アルージシに感謝しないと、素晴らしい冒険者さんを紹介してくれて。

こちらが今回の報酬になります。

今日はお疲れでしょうからゆっくりお休みください。明日の夜ささやかながら祝賀会を開きましょう!

それまで是非この港町を楽しんでください」

R7.8.20 加筆

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