第37回路 黄月草《キヅキソウ》な罠
通常の会話は「」魔法での会話は〈〉
みんなで声を合わせる時は〈「」〉となっております。
【とある宮殿】
「おーい、誰かおらぬかー」
玉座でルービックキューブに飽きたらしい
シュイーン
「あーい、お呼びでしょうか」
イロハニールが現れた
「イロハ、最近気にかけている部下はおるか?」
「最近…ですか?うーーん、いるにはいるんですが…」
「なんだ?どうした」
「たぶん…主人様はお気に召さないかと…」
「まだ会ってもないのにか?」
「…はい。主人様、潔癖症ですから…」
「それが何か関係あるのか?」
「はい、ベルゼブブなので…」
「はあ??ベ…ベ…ベルゼブブ?」
「はい、ベルゼブブ」
ベルゼブブ、所謂蝿の怪物だ
蝿というだけで気分を害すのにあいつが大きくなって細部まで…
「貴様、出すな、その名前を!」
「とんだご無礼を失礼致しました」
「ただなにか暇つぶしになるのであれば…
その…ベルちゃんを使って…」
「ベルちゃん…?」
「まだましであろう!あの姿を想像しとうない!
今後ここではベルちゃんと呼ぶことにする
そうだ、面白いことを思いついた!
暇つぶしには最適だ!」
【ゴメル武具店】
ジャーン♫(ドラの音が響く)
「こんにちはー!」
「おぉ、デンリュウくん!お届け物は役に立ったか?」
「はい!魔法プレート属性ひと通り入れていただいて
全種類2枚づつになったので助かりました!」
「おぉ、それはよかった!ミポポ、ワシのカタナはどうじゃ?」
「ゴメルさん!斬魔刀、最高ですよ!刀鍛冶としても一流です!」
「いやいや、そんなに褒めてもらっても何も出んぞ、ワハハハ」
「今回の戦いで自分たちの弱点が露呈しました」
「弱点?思いつかんがなんじゃ?」
「物理攻撃です」
「物理攻撃?なるほど、デンリュウもミズキも物理攻撃はほぼ皆無じゃな」
「ミポポに頼りっぱなしで自分たちは何もできなくて」
「ミズキはともかくデンリュウか。うーーん」
「ゴメルさん!衝撃に耐えられるグローブと膝当て作れたりします?」
「そりゃまぁ、あるにはあるぞ、どれくらい耐えられるかは不明じゃが、もう少し防具に使う素材を上手く使ってやってみる価値はあるかもしれんな。取り急ぎこれを使って見てくれ」
鋼のグローブと膝当てを手に入れた。
「ありがとうございます!」
「また、来ます!」
あわてて飛び出した。行きたいところがある!
ミポポもお礼を伝えて後に続いた
【エドガル魔導巧士店】
「リードさん!」
「どうした?慌てて。何かあったか?」
「ガントリックにアレンジを加えて欲しいんです」
「おぉ、なんか思いついたか!どんなアレンジを加える?」
「ガントリックで出した魔導線を引き戻したいんです!」
「ん?そんなの最初からついているぞ」
「え?」
「ダイヤルの横にあるボタンを押せばリバース、つまり引き戻すことができる。逆にトリガーを引きすぎると自分の体ごと持っていかれるから気をつけろよ」
「そうなんですね!じゃ引っ張られても手から離れないようにストラップみたいなものはつけられます?」
「そうだな、このカラビナをつけるところに皮のストラップなんてどうだ?ちょうどいいのがあるぞ」
そう言って幅3cmくらいのストラップを渡された
「これ、しっくりきますね!ありがとうございます!」
また来ますと挨拶して俺らは店を出た
「日も暮れてきたしご飯食べて帰ろう」
後ろからジョガーパンツのポケットを引っ張られた
「ん?」
振り返ると緑の髪でツインテールの女の子が立っていた
「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんって冒険者さん?」
「あぁ、まぁそうだよ。どうかしたの?」
いきなり泣き出した
「エーンエーン、ママが…ママが…」
「ママがどうしたの?」
「ママが病気で寝込んじゃって…」
「病院には?」
「今、お医者さんがウチに来て見てくれてる」
そう言いながら指を指した
(そこが家なのか?)
「わかったよ、心配しないで!一緒にお姉ちゃんがついていってあげる」
ミポポは頭を撫でてあげている
3人は一緒に女の子の家に向かった
こじんまりとした部屋、ろうそくのランタンひとつで
あかりもついていない
母親1人で生活は大変なんだろうか
ベッドには母親が横たわっている
いかにも苦しそうだ
傍に白衣を来た男性が頭を悩ませている
「これは…」
女の子が先生に声をかける
「せんせー、ママはどうなの?」
「うーーーん…ん?
お嬢ちゃん、この人たちは?」
「ぼーけんしゃさん!」
「これは、これは!いや、この母親の病気にはある特殊な薬草が必要でして…」
「薬草…ですか」
聞き返した
「とても危険で上位ランクの冒険者であれば可能かとは思うのですが…」
「私たちBランクです!」
ミポポが勇み足だ
「それなら!この街の南にあるコバトール渓谷、その奥に滝があります。その辺りに生えている黄月草と言う黄色い葉のススキによく似た薬草なんですが、それがあれば彼女の病気は良くなるかと」
「わかりました、できるだけ早く採ってきますが、あそこは魔物も多いので少し準備してから向かいますが、お母さんのご容態は?」
「まぁ、今すぐどうこうというわけではないのですが、早いに越したことはありません」
「お姉ちゃん、採ってきてくれるの?」
「もちろん!」
ミポポは女の子に視線を合わせるように屈んでそう言った
「有難う!宜しくお願いします!」
そう言って3人は部屋を出た
定食ドマンドでご飯を食べ、部屋に戻った
R7.8.20 加筆




