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第32回路 笑顔と未来ために

通常の会話は「」魔法での会話は〈〉

みんなで声を合わせる時は〈「」〉となっております。

部屋に戻って温泉に行く準備を…

浴衣がある!この街は元日本人にとって最高の行楽地だ

さぁ露天風呂を楽しもう

風呂場に向かったが

…男湯、女湯…

混浴じゃなかったの?!

〈ここは混浴じゃないわよ〉

「えーーっ!」

「残念だったねーデンリュウ」

気配を感じ取れなかった

「じゃ、あとでねー」

「…はーい…」


中には地元の村人だろうか、2人ほどが入っていた

ゆっくりお湯に浸かっていると

隣から声が聞こえてくる

ちょっと遠いのかミズキの声は届かないが

4人ほどの会話

(あーリョンリョンたちもいるのかー)

リョンリョンとミポポ…

《ピーポーピーポー》


すっかりのぼせてしまった

部屋で休もう、時間まで



ーー満月の真夜中ーー

川のせせらぎと風が木々の間を通り抜ける音だけが聞こえる

「そろそろ支度を始めるか」

〈私はいつでもいいよ〉

そう言いながら、尻尾のアクセサリーを気にしている

「リスに支度も何もないか…」

〈失礼ね!あるわよ、心の準備が!〉

「リョンリョンとミポポに声をかけて来てくれ」

そう言って扉を少し開けた

〈わかったわ!〉

宿の入り口に4人は集まった。

「そうだ、出発前に…」

紫色の魔石を取り出し、ミズキの尻尾のアクセサリーの石に当てた

透明だった魔石は7色に変化して紫色に輝く。

ミポポの髪留めにも。

「これは?」

不思議そうにミポポが尋ねる。

「お守りさ!魔力がなくなったらその石を触ってみて!少しは回復するから」

〈そういうことね!〉

「さぁ、行こう!今できる限りの準備をするために…」



歩いて林を抜けていく

〈ねぇ、さっきどこかに行ってなかった?〉

「えっ?あ、あー風呂だよ風呂」

〈うそー、さっき入ったばっかりじゃない」

「は、はは…はははは」

「ウルシバラ、なんか隠してる?」

「デンちゃん、わかりやすいなー嘘つけないタイプ?」



ーー数時間前ーー

リョンリョンにルボーアさんの家をある程度絞ってもらい、探し当てた

「ごめんください」

「は、はーい」

扉を開けるなり驚いた表情で

「…先程の?」

「少しよろしいでしょうか?」

「あ、はい。」

小声で

「あまり周りに聞かれたくないので…」

「それでは中に、片付いてないですが…」

「申し訳ないです、失礼します」

ルボーアさんは右手を挙げて魔法陣を描いた

「この部屋に結界を張りました。声は漏れないはずです」

「ありがとうございます、早速ですが…」

「わかっています、昼間のことですよね」

「は、はい」

「今夜のことですので、隠しても仕方ないですね。もう動き始めているのですから」

「というと?」

「私たちはある人から街を襲撃するように依頼させています」

「満月の夜に姿を消すことと関係ありますか?」

「はい、私たちこの村の女性は満月の夜にオオカミに戻ります」

「それで人を襲いたくなると…」

「とんでもない!そんなことはありません。私たちは満月になるとストレス発散のために山まて走り、そこで遠吠えしたいだけなんです」

「じゃ、なぜ今回街を襲うんですか!頼まれたら何でもするんですか!」

「私たちの…家族、村がかかってるんです」

ルボーアさんは涙ながらに答えた

「…脅迫…ですか?子供たちが人質に?」

「いえ、子供たちは自主的に避難させています。こんな残酷なことをさせるわけにはいかない」

「抗うことは許されないのですか?」

「敵いません、敵う相手ではないのです」

「…わかりました。今回私たちがここに来たのは村の女性が満月の夜にいなくなることの調査です。

調査結果としては、満月の夜に獣になるということ。被害を与える気はないということの2点、これをお伝えします」

「…はい」

「ただこの後、街が襲撃されたとなるとそうもいかないでしょう。おそらくターゲットはエドガル。ギルドへの報告もままならないでしょう。そうなることを知っておきながらこのまま見過ごすわけには行きません」

ルボーアさんの目つきが鋭く突き刺さる

「いえ、私たちはあなた方を押さえ込むつもりはありません。

おそらく周りに潜む獣の群れとその指示役を止めるつもりです。

私たちは情報が少ない。獣1匹あたりの強さも、指示役がどの程度の脅威なのかも把握できていません。

今の状況で真っ向からぶつかって勝てる見込みは30%です。ただこの30%を勝ち取れれば相手の軍勢を制圧できます。

そうすれば、あなた方の日常生活も守れるのではないかと思います」

「しかし…」

「大丈夫です。私たちに加勢して一緒に頑張ろう、なんて思ってはいません。どちら側に着いても、あなたたちの未来のある方を選べばいい。戦況を見極めて、勝ち戦を手に入れてください。くれぐれも賢明な判断を」

そう伝えて家を出た

彼女は悩んだ。そんなに都合の良いことなんかあるわけがない。抵抗したところであの大きいオオカミにさえ歯が立たないと。であれば大人しく有利な方を選んだ方がいい。でも本当に本当に選びたいのは…子供達の笑顔を守れるのは…

R7.8.20 加筆

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