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第31回路 月が上がる前に

通常の会話は「」魔法での会話は〈〉

みんなで声を合わせる時は〈「」〉となっております。

宿に戻りそれぞれ仮眠をとることにした。

目覚めるとスッカリ日は暮れていた。

ミズキも目覚めているようだ

「ミズキ、眠れたのか?」

〈少しは…〉

「どうした?不安なのか?」

〈何が起こるのか心配もあるけど、私本当に今日人の姿に戻るのか確信がなくて…〉

「まぁ、確かにこの前の満月が偶然であったなら、今回それがハッキリする。そうすればまた次の手を考えればいい」

〈そうだね…〉

「お腹も空いてきたし、ミポポにも声かけて食堂に行こう」

〈うん!〉



宿にある食堂に入っていくと食事は用意されていた。

厨房に声をかけて席についた

隣には3人組の女子が歓談していた。


「実際のところ、スキームについてはあのバカ上司に散々プレゼンしたにも関わらず、なしのつぶて…」

「アイツ、バカだかんなー。リョンリョンの言ってること半分もわかってないよ、きっと」

「まぁ、仕事のことは忘れてさ、美味しいもの食べて露天風呂でゆっくりしようよ!」


(リョンリョン?あのカタブツ現場監督の?)

〈今、リョンリョンって聞こえなかった?〉

「私、名前は聞いたことあるけど会ったことはないよ」

あの後ろ姿

ショートカットの黒髪にパッとしないメガネ。150cmくらいの身長

服装はいつものグレーの作業着じゃなく、魔導士??でも…

「〈あーー、リョンリョン!〉」

ショートカットメガネが振り返る

「えーーっ!ウルシバラ?!

何やってるの?こんなところで!」

こっちが聞きたい。現場監督で融通の効かなさは一流。2つ年上で可愛いニックネームとは真逆の…

「リョンリョンさんこそ、何やってるんですか!」

「私は仕事仲間とバカンス、バカンスって古いか。」

「仕事って?」

「こっちに来て、土木系建設会社に就職して以前と同じく現場監督させてもらってるよ。橋をかけたり道路を舗装したり」

「さすがですね。頭脳明晰はこちらでも発揮されてるわけですね」

「君は随分おべんちゃらが上手くなったね。おべんちゃら?ゴマスリ?」

「何はともあれ元気そうで良かったです」

「ちょっと待っていてくれる?」

連れの2人に何か話している

すぐに戻って来て相席した

「ごめんね、続けよう。君たちはココで何をしてるの?こっちでも電気工事?」

「お連れさんは大丈夫ですか?」

「君が気にすることはないよ、一言断って来たから問題ない」

「先に紹介させてください。こちらが内装職人のミポポです。

でこのリスが…」

〈お久しぶりです、コモオカです〉

リスが頭を下げる

「コモオカ?!ミズキ?」

〈はい!覚えていてくださって光栄です!〉

「一体何があったの?!」

「ミポポも異世界転生者で、ミズキは転生してこうなっていたんです。」

「そうなんだ」

「自分は魔導巧士として、電気みたいな魔法の仕事をしています。ミポポは内装工事、ミズキはネズ…リスです」

首の辺りに何か当たった気がした

「私は現場監督だけど鑑定スキルを持っている。それを使って適材適所、人員配置と作業効率を上げることに貢献してるよ」

「すごいですね!今回俺たちがここに来たのはギルドの依頼です」

「ギルド?冒険者ギルドのこと?」

「そうです、仕事の合間…最近は冒険者の合間に仕事してます」

「冒険者か?興味あるな。このままこっちで仕事しててもね。」

「リョンリョン、鑑定スキルってことは俺たちのステータスも見れるってことですか?」

「見れるよ。いっつも見れるってわけじゃなくて頭のチャンネルをその周波数に合わせる感じかな」

「ちょっと見てもらえませんか?現状を把握したくて」

「いいよ。ちょっと待って…

ウルシバラは…

LV16 HP250 MP150 攻撃力100 魔力80 防御力100 魔導巧士

コモオカは…

LV15 HP150 MP450 攻撃力75 魔力250 防御力75 魔導士

ミポポは…

LV6 HP200 MP150 攻撃力150 魔力100 防御力100 魔導剣士

ちなみに私は…

LV3 HP150 MP150 攻撃力75 魔力120 防御力75 治癒魔導士

コモオカはその姿でステータスも抑制されているみたいね」

(2人に挟まれるとやっぱ平凡だな。魔導工具がないと本当に取り柄がないな。リョンリョンは敵の属性とかも把握できるのか?

だとしたら、治癒魔導士としても後方支援はかなり頼もしい)

「で、今回の依頼って?」

満月のこと、ミズキのことも伝えた。

「そうなんだ。それでかな?昨日くらいから獣が村の周りに集結してる。」

一体何が起ころうとしているんだ?

「大体の勢力とかわかります?」

「そうだね…特にでかいのが1つ、あとはそれほどでも無いけど…」

「無いけど?」

「数が100は超えてる。まぁ敵意が無さそうだから大丈夫だと思うけど」

(どう考えても異常だろ?敵意がなくてもソイツらが一斉に動いたら被害0とはいかないだろう。3人で100オーバーを相手にするのか?どう考えても現実的じゃ無い)

「彼らの居場所はわかりますか?」

「もっと近づけばはっきり場所も特定出来ると思う」

(ミポポもミズキも気配は感じるが、居場所までは特定できないだろう。もし、万が一敵意がなんらかの形で発生したら…マズイな)

「何かが起こって、戦うことになったら全勢力壊滅なんて3人では無理です。極力相手をせずにでかいのを仕留めたいんです。

リョンリョン、力をお借りできないですか?」

「いつなの?警戒しなきゃいけないのは。」

「今夜です。深夜に月が上がってから日が昇るまでの数時間」

「わかった、いいよ。

明日の予定に差し障りはないし、何かあってからじゃ明日の予定もないしね。ステータス見ての通り、私は戦力にはならないよ」

「ありがとうございます。後方支援で指揮をとってください。

相手の場所を教えていただければ俺たちが動くので」

「承知した。出発前に私の部屋に来てくれる?部屋は階段上がって右手、奥から2番目」

「わかりました。宜しくお願いします」

「じゃ、また後で」

リョンリョンは席に戻って行った

「これは思っていた以上に厄介なことになりそうだ」

〈野犬、オオカミが100?私、格好の餌食じゃない?〉

「いや、その頃には人間に戻ってるはずだから…」

オバチャンに選んでもらったミズキの服、ちょっと露出が多かったよな…

《ピーポーピーポー》

やばいやばい、悟られないように…

〈また、変なこと考えてるでしょ〉

「何か起こったとして、戦場になりえるのは…」

ミポポは話を戻した

「北にはブレータリオ山脈、そっちに向かって行くとは思えない。

数時間で何かを…」

〈エドガル!〉

エドガルに向かう気なのか?そう考えると南に向かうことになる。

「エドガルに行くには川を越えることになるよね」

ミポポは目を閉じて腕を組みそう言った

「馬車2台は通れる幅があるけど、そこで食い止めるのが1番の得策だけど、数が多すぎる」

「橋の手前で土属性魔法で壁を作って砦みたく上から状況を把握。

そこから動きをとるようにしよう」

〈そうね、それしかないわね。それなら街にも被害が出ない〉

「月が上がる前に!」

〈少しゆっくりしてから行きましょ。その前に温泉!〉

R7.8.20 加筆

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