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30/75

第30回路 ミドーガルド村

通常の会話は「」魔法での会話は〈〉

みんなで声を合わせる時は〈「」〉となっております。

ミポポとダイニングバーで落ち合うことになっていた。

【ダイニングバーミラノス】

「お疲れ様ー」

ミポポは元気いっぱいで店に入ってきた

〈お疲れー!ミポポ、なんかいいことあった?〉

「フフーン」

そう言って立ち上がって刀を鞘から抜き高く掲げた

「お客様ーーーお気を確かにー!」

店員が慌ててやってきた

客席がざわついている

やれやれ、またやってる

「ごめんなさーい!」

ミポポは慌てて刀を鞘に収めた

ミポポは店員とお客さんに何度も頭を下げて

ようやくおさまった

「また、やらかしてしまった…」

だいぶ反省しているようだ

「大丈夫、大丈夫。で、その刀どうしたの?」

「ゴメルさんが打ってくれたの!すごいでしょ?

魔導ニッパーの刃を参考にしたから魔法攻撃も切れるって

名刀だよ、斬魔刀。名入れもしてもらった!」

魔導剣士…主戦力だ

窓から空を見上げた

まじか?月が出ていない。

しまった!月が出るのは夜だけじゃない!

前回月が南中したのは寝る前だから

22時前後くらいか

地球の自転と月の公転…

考えろ、思い出せ!理科の授業を!…

今夜、真夜中に確認しなきゃいけないが

たぶん明日、真夜中に東の空に月が上がる

日が昇るまでの数時間その間に何が起こる

今日気づいて良かった

まだ対策できる!

情報を共有しなきゃ

「今、気づいたんだけど…」

月の出る時間が真夜中だと情報共有した

〈そうなんだ…宿用意してもらって良かったね…〉

「昼間のうちに村の状況を確認して動きを読まないとね」

ミーティングらしくなってきた

「計画としては…

観光客を装って午前中に村長さんを訪れる」

〈案内をしてもらいながら、村の様子を伺う〉

「村の女性にアンテナを張りながら夜を待つ」

きっと上手くいく、上手くやってみせる

「今日は前夜祭!

楽しく食べて飲んで明日を迎えよう!」

〈「はーい」〉


ーー満月の日ーー

朝支度を終えた3人はミドーガルド村に向かった。



【ミドーガルド村】

すごくのどかな田園風景だ。

少し先は段々畑になっていて川も流れている

まず、村長アイネスブルグさんを訪ねよう



【村長アイネスブルグの家】

「おはようございます」

「よく来てくださいました。さぁどうぞ、おかけになってください」

「早速ですが、村長、あれから何か変わったことはありますか?」

「こちらに来られておわかりかと思いますが、

この村は森林に囲まれております。今まではそれほど魔物に襲われることもなかったのですが…」

「魔物が頻繁に出るようになった?」

「いえ、襲っては来ないのですが、野犬やオオカミに遭遇したという村人の情報が頻繁に…」

〈野犬、オオカミ…〉

村長は続けた

「襲ってこないのが妙で…何かを待っているというか準備しているというか…」

〈普通に襲ってくるならわかるけど、来ないって逆に気持ち悪いわね〉

「あとで様子を見てきます。疎開しているという子供たちは?」

「今だ戻っておりません。村の女性に聞いても里帰りの時期がたまたま重なっただけだと…」

「まぁ、そんなわけないよね」

ミポポは腕組みしながらそう言った

「わかりました。村の様子も見たいので観光客ということでご案内お願いできますか?」

「わかりました、行きましょう!」

田んぼ、果樹園、畑を案内してもらって

川沿いにはなんと露天風呂も!

(これはいい観光地じゃないか!)

しかも露天風呂って…混浴もある?!

《ピーポーピーポー》

いけない、いけない!

お昼には村長イチオシの食堂に連れて行ってもらった。

「川魚定食がおすすめですよ」

村長さんが教えてくれた

「これは上手い!米も魚も最高です」

村長さんは驚いている

「あなた方、お箸は初めてじゃないのですか?

普通観光客の方は箸を使ったことがないので四苦八苦するのですが」

「あ…あははは。実は故郷では箸を使う文化があったんです」

普通に箸が出てきて普通に使っていた

「ご馳走様でした!また、美味しいお米を食べたくなったらココに来ます!」

「それでは一度宿を案内しましょう」

畑の間の道を歩いていると

〈すごく強い魔力を感じるわ。あとこの辺りの林には複数の魔物の気配も〉〉

「強い魔力はどの辺りだ?」

〈右の畑の真ん中あたりかな〉

目をやるとオレンジ色の髪の長身な女性が作物を採取しているのが見えた

「村長、あの方は?」

「ルボーアさんかな?すごくよく働くいい娘さんですよ。

祭りなどイベントごとにはリーダーシップを発揮して

村の女性の統率を取ってくれるんです。」

「そうですか…ご紹介していただけますか?」

「わかりました」

3人は畑の中に入って行き、村長が声をかける

「ルボーアさーん!」

振り返ったバンダナを巻いた女性、目鼻立ちがよく作業着姿に上品さが見え隠れする

「…アイネスブルグさん」

「こちらの観光客の方が、今何が採れるのか気になっているようで」

「そうですか。こんにちは、ルボーアと申します。

今キャベツを収穫しています」

「キャベツですか。採れたてはさぞ美味しいんでしょうね。」

ルボーアは嬉しそうに言う

「それはもう!甘味があってすごく美味しいですよ!」

ふと俺の顔を見て表情が変わった気がしたが気のせいだろうか。

続けて聞いてみる

「ところで今ひと通り村を案内してもらって気になったことがあって…」

「な、なんでしょう?私にわかることであれば」

「こんなに農業が盛んで夫婦らしき方にはお会いしたのですが、子供には会っていないのです。何かご存知ですか?」

「あぁ、子供たちは今休暇を取っています。田んぼの仕事もひと段落してこの時期だけ少し人手も余裕が出来るので。学校の先生方にもお休みを取っていただいているんです」

「毎年この時期に休暇を?」

「いえ、今年は特別です。私がみんなに提案したんです」

「そうですか。ありがとうございます

ちなみに、今この辺りの林に複数の魔物がいるみたいですが

お気づきですか?」

「そ…そうなんですか?わー気づかなかったなー

暗くなる前に帰らないと…」

ミズキは急に魔力をあげた

その瞬間、ルボーアは鋭い目つきでこちらに目を向ける

白いリスが目に入ると安心したように表情を和らげた

「か…可愛らしいリスちゃんですね…ははは」

「ルボーアさん、あなた魔力を感じ取ることができますね?」

「え、いや…全然なんのことか…」

明らかに動揺している。ただそれ以上聞いたところで何も話さないだろう。夜まで悟られないよう監視した方が良さそうだ。

「お仕事中、手を止めさせてしまって申し訳なかったです。

ありがとうございました」

「いえいえ、とんでもないです」

「失礼致します」

畑を出て宿に向かうことにした

ミポポも林の魔物の気配を感じている

「こっちを見てるわね。やっつけちゃう?」

「いや、刺激してこちらの動きを悟られるよりはただの観光客を装っておいた方がいいだろう」

R7.8.20 加筆

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