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第26回路 満月3日前

通常の会話は「」魔法での会話は〈〉

みんなで声を合わせる時は〈「」〉となっております。

ひとしきり飲んだ

リードさんは女性スタッフを手当たり次第口説いていた

と言うかプロポーズしていた

お客様だからと言うこともなくことごとく撃沈していた

差し詰め、グラシアさんに変に気を持たせるとめんどくさいからしっかり断れとでも言われているのだろう

グラシアさんはずーっと隣にいた

みんなに気を回してお酒を作ったり、冗談を言って楽しませたりするのにほぼ自分の話はしていなかった。

さすがはプロだと感心した。

手を握ったり、体を寄せたりするたびにサイレンが鳴り

同時にミズキがブチギレてミックスナッツをひたすら頬張っていたまさに野生のリスのように。

ミポポはお酒が回って泣いていた。泣き上戸だ。

昔の彼氏の話やら、今のパーティに入ってすごく幸せだとか。


「じゃあ先帰るぞ、姉ちゃん!」

「姉ちゃんじゃなくて、グラシアだって何回も言わせんの?

みなさん、ありがとうございました!また、いらしてください!」

村長さんとは店の前でリードさんとミポポとは途中で別れた。

目も合わせないミズキが切り出した

〈随分とお楽しみだったわね〉

来た。恐れていたことが…

「いやーーまぁそのーー。」

〈綺麗でスタイルが良くて年上の女性は魅力的ですものねー〉

「いやいや、そんなことは…若い、いや同じ年くらいの方が話が合うからいいかな?」

〈私だって…出るとこ出てるし…負けないもん〉

「そうそう、負けてない、負けてない」

〈あーまた、思い出してる。やらしーー〉

「そんなことは…ある」

〈もう!〉

月を見上げた

「もうすぐだね。ミズキとゆっくりしたかったのに…ごめんね。

巻き込んじゃって…」

〈いいのよ。私だって…。でも、困っている人がいるんだから助けなきゃ!〉

「ありがとう、ミズキ。強いなー、ミズキは。俺なんかよりよっぽど辛いのに」

〈辛いよ…辛いけど、デンクが一緒にいるから。いつか元に戻れるって信じてるから〉

「うん!」



ーー満月3日前ーー

満月の決戦の前に色々準備しておかないと。

ミポポは今日仕事が入ったらしい。久々の2人だ。

まずはアリーのお店

店の前で花壇に水をやっている。

今日は穏やかだ。

「こんにちは!」

「あら、こんにちは!そうだ、出来てるわよ。準備するね、どうぞ中に!」

「ありがとうございます」

中に入り、ショーケースの前で立っていた

「お待たせしました!こちらになります。」

木でできた化粧ケースを開くと

ゴールドのシルク生地の上にオーバルの髪留め。

空魔石が埋め込まれていてゴールドの装飾が中心に向かって蔦のように伸びている。

「すごく上品で素敵ですね。きっとミポポも喜ぶと思います」

「そうだと嬉しいです」

「お代は…?」

「あのー、そのー」

モジモジし出したので

「前回と同じ、銀貨10枚で足りますか?」

「えっ、いや、あのーそんなに貰えません」

「いえ、自分がこれだけ払いたいんです!足りないのは申し訳ないので教えてください!」

「すいません、いつもありがとうございます」

「また、お願いすると思いますので、今後ともよろしくお願いします。」

そう言ってお店を後にした。



【看板のない本屋】

チリンチリン♫

緑のメガネ女子。

相変わらず本に没頭している

「すいませ…」

「わーーー」

バタン

また、後ろにひっくり返った

「なんですか、急に!」

前と同じ状況だな

「魔導書を…」

フンッと右手で指差した。

「あのー…」

「まだ何かっ?魔導書はあちらですっ!」

「雷の魔導書って置いてたりします?」

「あるにはありますよ。ただリアク様のお墨付きがないと譲れないので…」

「リアクさんとは仲良くさせていただいてます!

でも、それを証明できないとダメってことですよね?」

「そうですねっ!リアク様のサインをお持ちだとかリアク様書籍を持ち歩いているとかリアク様の魅力を1000文字以内で表現できるとか…」

もはや知り合いとかでなく、どれだけリアクさんのファンであるかが大事ってことみたいだ

あっ、リアクさんとこで買ったから魔石があるけど…

「あの…これじゃダメですか?リアクさ(・)ま(・)のところで買ったんですが」

空魔石を見せた。

「こ、こ…これはまさしく…リアク様の…

貴様!これをどうやって手に入れた?」

「いや、普通にお店で…」

「あのリアクさまのお店で?」

「な、な、なんと!リアク様と会話して購入したのか?」

「あ…はい、普通に。」

「普通にだと?けしからん!

あの大魔導士リアク様と普通に会話できるなどありえん!」

どんだけカリスマ化してるんだ?

「だが、しかしこれは紛れもなく本物…私が見間違えるわけがない!」

「じゃあ、魔導書譲ってくれますか?」

「わかった…」

雷の魔導書を5部とそれぞれの種類の魔導書を1部づつ手に入れた。

「ありがとうございます。」

「お主にひとつ頼みがある。」

「なんですかー?」

「この本にリアク様のサインを…もらってきては貰えぬか?」

ん?これは…

【魔導少女日記 著者リアク・バイタン】

あの人、本も書いてるの?

「わかりました。」

「お主、この本を読んだことはあるか?」

「ないです。」

「なんと!リアク様にお会いになるのに読んだことがないのか?」

「ないです。」

「この本にはリアク様の本人の人柄、考え、倫理観など全てが詰まっている素晴らしい本なのだ。生まれた故郷から今日に至るまでをシュールな笑いを交えながらも…」

長そうなので放って置いて店を出た。

チリンチリン♫

R7.8.20 加筆

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