職業のクラスアップ!!
「はぁ、まさかあんなに宿賃が高いなんてな〜、この世界の相場が分かってなかった〜…」
「直也様、大丈夫ですよ!まだ他の場所があるかもしれないですし、もし宿が駄目でもまた野宿しましょう!私は直也様と野宿、好きですよ」
俺たちは先ほどの宿屋からすぐ近くにある喫茶店らしき店で休憩しつつ、凹んでいた。
メニューは読めないけどサラに読んでもらえば大体の飲み物は日本と同じコーヒーやココアといった名前の飲み物ばかりだったので安心した。
「はいお客さん、カフェラテとココアです。」
この店はあまり広くなく椅子はほとんどがカウンターなためマスターとの距離が近い、このマスターは優しそうなチョビひげのおじさんで紳士っぽい。
俺はズズっと1口飲む。サラも暖かいココアでかなり熱そうなのに音をたてずに上品に飲む。本当に悪魔か?
「ふぅ、美味いなこのカフェラテ」
日本でもかなりのカフェラテだのカフェモカだのカフェオレだのを飲んでいる俺だったがかなり驚くくらい美味いカフェラテだった。
「このココアも美味しいです!」
サラも同様にとても美味しそうだ、どうしてこんなに美味い店なのにあまり客がいないのかが疑問だ。
「お客さんはこの町に来るのは初めてですか?」
マスターが話しかけてくる、こういう店員と話しながらのんびりできる店はなかなか珍しい、他に客がいないのが吉とでた。
「ああ、そうなんすよ、さっきついたばかりです。」
「そうなんですか、観光か何かですか?」
俺はこの質問でニヤリと笑い、信じてくれなくてもいいやと思いハッキリと言うことにした。
「実は、俺たちは魔王を倒しに来たんですよ!まだ少し先の話になりますけどね」
ドヤ顔で言うとマスターはよくわからないという顔をする、当然だろう、魔王といえばこの世界最大にして最凶の存在のはずだ。そんな魔王を倒すと言ったところで信じる人はそういないだろう。
「お客さん、魔王はもう討伐されてますよ?先月に倒されたじゃないですか、ご存知なかったんですか?」
衝撃だった、衝撃すぎて一瞬俺の脳が活動を停止して少しづつ今言われた言葉の意味を考えていく。
「「…えっ?えーーー!!」」
見事にサラも同じ反応をした、人見知りなのかここまで無口だったのによほど驚いたのだろう、まあ…驚かない方がおかしいか。
「ちょ、待ってくださいマスター、魔王が討伐って誰に!?」
「お客さん落ち着いて、他のお客さんに迷惑ですよ。」
他に客はいないだろうが!!とは突っ込まないでおこう。
「す、すまん、で誰に?」
「勇者だよ、先月くらいにふらっと現れた勇者が見たこともないスキルを使って倒したらしいですよ」
うわぁ、勇者って、この世界に勇者いたんだ。そりゃ魔王倒すわ…
「ま、マジですか……」
するとマスターは店の奥へ行き、1冊の雑誌を持ってきた。
「これが勇者特集の雑誌ですよ」
渡されたので見てみることにする。
腹が立った、まず表紙は可愛い女の子と肩を組んで写っているイケメン勇者、内容は魔王討伐の時の話、その後の遊び人的な話、警察的な役目もしている話、財産の話、女の話。
こんな見ていてイライラする雑誌があるだろうか、しかも本来ならその位置には俺がいまはずなのだ、しかもこいつのせいで魔王がいなくなったのだとしたら俺がこの世界に召喚されたのは全くの無駄であり、さらに帰れないのだ。
ピコンピコン!
突然俺の腕のリングが光り、音が鳴った。
開いてみるとどうやら今の怒りか新職業にランクアップ出来るそうだ、さっそくクラスアップしてみる。
テレッテー、職業魔王にクラスアップしました。
我が目を疑った。そして不運なことにその様子をマスターに見られていた。
「おお客さん、その職業って…」
明らかに態度が変わった…
「いやいや、俺にもよく分からないんだ!」
「ヒィ…お金はいらないんで許してください!」
なんでこうまで怯えられなければならないのか、少しイラッとしてしまった。
「だから聞けって!!」
「す、すいません!!すいません!」
「駄目だ、らちがあかない、一旦出るぞサラ!」
お金を置き、サラと急いで店を出る。
これはヤバイことになりそうだ。




