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呼吸のあと  作者: haruki
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第二十八話

午後13時。


俺の顔面スレスレを軟式テニスボールが横切る。


「…あぶねぇ。」


マジで、死ぬかと思った。


「君もやるねぇ、今のを避けるなんて。」


え?



30分前。


神前が昨日、学園もののアニメを見たらしく、その手の詩が書きたいと言っていたので(っていうかもう作曲は諦めているみたい)、部活の見学をして回っていた。


「っていうかさ、もうオリジナル曲でやる方向なのな。」

「だって、私がやりたい曲全部却下されちゃったし。」

「当たり前だろ!エロゲの曲しかねぇじゃねぇか!」

「ひひw」

「はぁ…。」


笑ってんじゃねぇっての。


「じゃ、気を取り直して行くわよ!」





第二体育館


「ねぇ、長谷川君。運動神経悪い貴方には分からないだろうけど、あの人は高校生活をバスケに、青春をバスケに捧げている、私達からしたら残念極まりない人よ。よく見た方がいいわ。」

「悪口が含まってんぞ。」


いや、悪意しかないかも。


「ほら!マネージャーがタオルと飲み物持って来た!…ありゃあ、出来てまっせ」

「取材するならきちんと青春リサーチしろ!」


ほんと、神前って何でこう中身が残念なんだろうか。


「えっと、次は…テニス部行こうぜ。」

「…え、あ…テニス部は…いいんじゃない?」

「どうした?なんかあるのか?」

「いやぁ…ほら、時間も、」

「まだ一時前だけど。」


なんかある。

この神前早苗の隠されたなにかが…。


「よし、行くぞ。」

「らめぇええええ!!!!」


面白い!

神前がこんなに弱まっているなんて!

こいつのHPをこんなにドレインできているなんて!




テニスコート前。




誰もいない。


今日テニス部休みなのかなぁ。

神前はホッとした顔をしている。


「ねぇ、君達何してるの?」

「「!?」」


いつの間にか真後ろにいた顔の濃いキャラに声を掛けられた。


「えっと…」


ザ・スポーツマンで色黒で歯が白い見た目の彼はラケットを持っている。


「テニス部の方ですか?」

「そうだけど。…あれ?神前さんじゃん!」


なんだ、知り合いなのか。


「やっと僕の元に来てくれたんだね!」


え?


「…。」

「いいんだよ!僕の胸に飛び込んでおいで!」


神前は何も言わずに俺の影に潜んだ。


あー。


「やっと僕がした告白の返事をくれるんだね!」


あれだ。


「イエスか、はいか、大好きか、愛してるのどれでもいいよ!」


これ、ヤバい人だ。そして、残念な人を好きになった残念な人だ。


そして、神前は


「私、今この人と良い感じだから!」


…え?


「ごめんなさい、今市(いまいち)君。この人長谷川君っていうの。私、長谷川と色々やってるから。ほんと、良い感じだから!だから、ごめんなさい!」


ふわりと俺を色々濁して使って逃げやがった!


「…分かったよ。」


スポーツマンは物分かりが


「ねぇ、君。僕と神前さんを掛けて勝負だ!」


いいわけねぇよな…。


あーもう、目キラキラしてるよ。だから、熱血とか根性とか嫌いなんだよ。


神前は、と。


「…。」


何で目を反らしてラケット俺に渡してんだよ。






…そしてそして。


謎の第一回 神前杯が始まる。


「じゃあ、手加減は抜きだ。」


そう言うと今市はボールを垂直に高く投げた。彼がラケットを降り下ろした直後のこと。


俺の顔面スレスレを軟式テニスボールが横切る。


「…あぶねぇ。」


マジで、死ぬかと思った。


「君もやるねぇ、今のを避けるなんて。」


え?


俺、死ぬの?


ヤバい人はテニスもヤバかった。

何でこうなってんだよ!


「…あーあ。」

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