第十九話
「お前、作詞とかするの?」
「たまに…ね!曲はつけらんないんだけ…ど!…ね!」
でしょうね。相変わらず手拍子しながらの会話。
「ほらほ…ら!見てばっかじゃなく…て!トレーニングメニュー書いて…よ!」
「あ…おう。」
その後、集中モードに入った神前「邪魔するな」オーラが半端なかったので帰宅した。
家について、自室に入ってやることもなく眠る。
案の定、夜中の2時に目が覚めた。まぁ、そうだよな。しかしなぁ、あー、寝れねぇ。
ふと、神前の書いた詩が頭を過る。
=
二人が出会えなかったら
きっときっと 絶えない悲鳴が落ちたままで
ずっとずっと 雲を見上げたままだったよ
=
きっと出会えたはずなのに、悲しくなる。
どうしてなんだろう。
神前早苗は何を思ってこの言葉を紡いだんだろう。
「あーくそ、」
ギターを手に取る。
なるべく静かに鳴らすんだ、アルペジオ。
でも、いつもの音とは違う。欲しいのは小さい音じゃない、優しい音。
自分の技量の無さに溜め息が出る。
まだ、春に馴染めない乾いた風が窓を打ち付けるような、そんな音。
何で俺こんな事してんだ。
そんな事を思いながら弾く自分が嫌いに慣れなかった。
午前7時。
「…あーあ。」
学校で寝るか。
※
その日、神前は学校を休んでいた。まぁ、いつもの事だと思ってスマホでSkypeを起動。チャットを送ったら秒で返ってきた。
〈学校終わったら来て。頭狂いそう。〉
メトロノームの聞きすぎだ、バカ。
兎に角、放課後の予定が決まった。
「しゅーちゃん、放課後暇?」
「今、放課後の休息を諦めたところだ。」
「どゆこと?」
「まぁ…深くは聞かないでくれ。」
「え、あ…うん。」
放課後。
ピンポーン。
「待ってたよ!」
うお!
「ま…待たれてたよ…。」
なんて勢いでドア開けんだよ。危ねぇ。
入室後、直ぐに練習モードに。
いつも通り一曲聞いてもやっぱり一日。
対して変わってないのは現実だよな。
「なぁ、ちょっと一曲聞いて欲しいんだけど。」
「うん。何のアニソン?」
「お前のアニソン。」
ちょっとカッコつけたけどたまにはいいよな。
昨日の夜書いたラブレターみたいに恥ずかしいけど、それでもいいんだ。
熱が覚める前に。
歌にはそんなに自信ないけど、伝えるだけなら十分な筈。
昨日の音を、「さよならのあと」を伝えるんだ。




