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86.複合魔法

■シベル大森林 

~第7次派遣3日目~


昨夜の宴会も盛り上がった。

ワグナーも酒が入れば友達だ、タケルが希望するロッドを何本でも作ってくれるそうだ。

もちろん、見返りに色んな聖教石が必要になるが。


夜はロブもスタートスにコッソリ連れて宿舎で寝かせた。

ベッドでゆっくり休めたので今日は全員快調だ。

昨日の転移ポイントに朝から移動して馬を連れて歩き出す。


タケルはロブと並んで先頭を歩きながら頭のなかでイメトレを続けていた。


二つの神様へ同時に・・・

獲物を見つけて、早く試したくてしょうがない。


だが、狼が遠くでチラチラ見えるが、中々近づいてこない。

本能的にこちらの力に気がついたのだろうか?


かなり歩くと、やっと狼の代わりに森の中から突っ込んでくるヤツが現れた。


氷獣化したイノシシだ!


まだ、30メートルは離れているがタケルは聖教石を二つ右手に握り締めた。


(グレン様、ウィン様、お力を貸して下さい)

(『ファイアウィンド』と叫びますので、炎に強い風を与えてください)


20メートルぐらいに近づいたところで右手を上げて火炎風をイメージする。


「ファイアウィンド!」


タケルの右手の先に炎が浮かぶと同時に肘から先へ強い風が吹き付ける!

伸びた火炎風が突っ込んでくるイノシシを包み込んだ!


-ブギャァー!!-


イノシシは大きな悲鳴を上げて突進を止めた。

横へ逃げようとするがタケルは前進しながら火炎風を送り続けた。


-ブギ、ブギィャァー!!-


全身が燃え始め、イノシシは炎の中でのた打ち回っている。

30秒ぐらい焼き尽くして、完全に動きが止まったことを確認してから右手を下ろす。


「ちょっと! あんた、また勝手なことしてるじゃない! いつの間にコンビ芸を一人でやることにしたのよ!」

いつものようにお怒りです。


「いや、昨日ワグナーさんにアイディアをもらったからね。二人の神様に同時にお願いしてみた。意外と簡単だった。何でこんなことに俺達は気がつかなかったんだろうね」


「簡単ってねぇ。簡単なのはアンタだけよ!」


「いや、これが簡単に出来るロッドをワグナーさんに作ってもらうから、ナカジーもすぐに出来るはず」


「本当に?」


「本当に」


「じゃあ、いいわ。早くそのロッドを作ってよ」

ご納得いただけたようです。


その先も獣の気配はするが襲ってくるものはいなかった。


タケルは二つ魔法の組み合わせを考えながら歩いていた。


(風+水、水を叩きつけても威力は限られているが広範囲に撒けるか・・違う!氷だ!)

(風+水、氷の槍を風で飛ばせば致命傷まで持っていけるだろう!)

(火+水、水蒸気爆発的なやつが出来るかもな・・)

(光+? 光は何ができる? 雷?・・・)

(水+? 一通り考えたか・・・)


「ワグナーさんは水魔法で雨を降らしたりできるんですか?」


「できるが、あまり得意じゃないな。俺のは細かい水を撒いてやるって感じだな。達人は雨雲を作って、しばらくしてから雨をしっかり降らせることが出来る」


(!)


(水+光 雨雲を作って雷を呼び出す! いけるんじゃないか!?)

(スタートスに戻って、ノックスに雲のつくり方を教わろう!)


やっぱり、二つ組み合わせれば魔法の威力が全然違う。

そろそろ魔竜も倒せるような気がして来た。


だが、その魔竜というのが何なのか?

未だにはっきりしないのが厄介だ。


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