番外編 やり直し勇者と水辺の少女たち 前編
いつも読みに来てくれてありがとうございます。
番外編
【やり直し勇者と水辺の少女たち 前編】
お楽しみください。
――セレンディア領 クレア街道――
「はい、次はララちゃんの番ですよ!」
「えっと……これと、これ?」
「はい、正解です! よくできました!」
早朝から行動を始めた俺たちは、セレンディア王族が所有する湖畔に向かうために、馬車に乗っていた。
別荘までは、城から馬車で2〜3時間の距離だったが、さすがに魔王たちを馬車に乗せることはできない。
というわけで、俺・イリーナ・ミリス・ララティアの4人で先に別荘に向かい、到着したらララティアのスキル『ファストトラベル』を使って、残りのみんなを別荘まで移動させる段取りとなった。
そんな馬車のなかでは、ヒマを持て余して退屈していたララティアのために、イリーナが絵札を使った遊びをしていた。
「……勝った……」
「ララちゃん、お強いのですね!」
「ふん……もう一度、やる……」
「はい! いいですよ!」
はたから見れば仲睦まじい親子のそれだが、実際は聖女と魔王の娘という奇妙な組み合わせだった。
「お兄ちゃん! イリーナさまのお母さん感がすごいです!」
なぜか、ミリスが誇らしげに伝えてきた。
「クロードさん! イリーナさんからママみが! まさに聖母のようです!」
「うるさいぞ! てか、なんでお前もいるんだよ!?」
「なんでって、基本的にクロードさんに同行しないといけないですし、それに浮けるから馬車のなかも平気ですからぁ〜」
「はぁ……」
この女神は、便利な能力を持っているくせに、まったく役に立たないのだから宝の持ち腐れではないのか?
そんなことを思いながら、俺たちは湖畔の別荘へ向かう馬車のなかで揺られていた……
遊ぶのにも飽きたララティアが、イリーナの膝を枕にして眠ってから半刻ほどして、街道の先に大きな湖が見えてくると、イリーナが俺に話しかけてきた。
「クロードさま、あれが別荘近くにある湖で『クレア湖』と呼ばれております」
「クレア湖? 確かこの街道もクレア街道って名前だった気がするが、誰かの名前から取ったのか?」
「はい、『始まりの聖女クレア』さまが、魔物の討伐を行ったさいにできた大穴が湖となり、その名前が付けられたと聞いております」
「へぇ、そんな聖女さまもいたんだなー」
「なんでも、一度の力の行使で、できた大穴らしいですよ!」
「……それ、絶対尾ひれが付いて神格化されてるだろ?」
そう言いながらも、窓から見えるその景色に、俺は心が癒されるような気持ちを感じていた……
……別荘は湖を見下ろせるような高台にあり、外からでも湖全体を見渡せた。
しかし……別荘と聞いていたから、大きめの家を想像していたのだが、木造の立派な屋敷が建っていて驚かされた。
そして別荘に着いた俺たちは、当初の予定通り、ララティアのスキルで、残りのみんなを別荘に連れてきた。
「ではみなさま、お部屋にご案内いたしますね! 荷物を置いたら浜辺に集合です!」
それで部屋に荷物を置いた俺は、さっそく別荘から出て、湖の浜辺まで来たのだが……
「みんな遅いな……場所を間違えたか?」
だが、別荘から浜辺までは一本道だから迷うこともない。
「まぁ、俺にはわからん準備とかあるのかな?」
そんな結論に至った俺は、その場に座り込んで湖畔の景色を眺めていた。
そこには、俺の求めていたものがあった……
キレイな湖に豊かな自然、こんなところで畑を耕したり狩りを楽しんだり、たまに街まで遊びに出かけたりして毎日を過ごせたら、どんなに楽しいだろうか。
「平和だな……」
そんな、理想的な隠居生活を夢想していると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「クロードー! お待たせー!」
「クロードさま、お待たせしました」
「待たせたわね! てか何してんのよ?」
「お兄ちゃん、待たせてごめんなさい……」
「おお! やっときた……」
俺がみんなに向かって返事をしようと振り返ったその先には、戦場のなかで見慣れたはずの、でも何かが……どこかが違う『彼女たち』の姿があった……
そこにいたのは、4人の女性たちで、俺は彼女たちをよく知っていた。
「その、変……かな?」
そう言って照れるクレスは、髪をお団子状にまとめ、胸元には、幾重にも重なったフリルが付いたオレンジ色の水着を着ていた。
「お気に召したでしょうか?」
そう言って微笑むイリーナは、髪を大きな三つ編みで束ね、小さなフリルが可愛らしい白い水着を着て、腰にパレオを巻いていた。
「お気に召さないなんて、言わせないわよ!」
そう言って凄むルーシェは、髪を大きなリボンで結び、深い藍色に金の刺繍が施された水着を着ていたが、布面積がとても少なかった。
「あんまり、落ち着かない……です……」
そう言ってもじもじするミリスは、髪を編み込みで纏め、メイド服を思わせる白いフリルと黒のワンピースの水着を着ていた。
俺は、目の前にいるヒロインたちの姿に見惚れ……戸惑い、状況を整理していると、セレーネが騒ぎ出した。
「ぷっはぁ! これですよ! これ! やっぱりラブコメで別荘って言ったらこれがないと!」
「お、おい! これってなんだ!? いったい何が起きてるんだ!?」
「えぇ! 何って、見ればわかるじゃないですかぁ!」
セレーネは、俺の問いにそう答えると、鼻息を荒くして語り始めた。
「いやぁ! いいですねぇ〜! クレスさんはみんなに負けないように、コンパクトなお胸をフリルで誤魔化す頑張りと健気さ!
そしてイリーナさんの、純白の水着とパレオでお淑やかさを出していながらも漂う、新妻感的エロス!
それにルーシェさんのお胸! 肩掛けじゃなくて、首から下げるタイプの水着で胸が寄せられて、元々ある谷間が凄いことに!
更にミリスさんの一見露出を抑えているように見えて、胸元は広めに開けて、ちゃんと谷間ができていることをアピールしている!
わかりますか、クロードさん……つまり『感無量』の一言です……」
「いや、めっちゃ喋ってるけどな! 一言どころか、みんなへの感想を分け隔てなく言ってて感心すらしたわ!」
「すみません、読者への細かな説明は必要だと思いまして……ちなみに、"X"でイメージ画も載せますので、ご確認くださいね!」
「なんの話!?」
そんなやり取りを続けていると、ヒロインたちの後ろからもう1人、声を張り上げて近づいてくるのがわかった。
「ク、クロードさまー!」
「この声……ララティアか!?」
その声が聞こえる方へ視線を向けると、ララティアもいつもと違う格好をしていた。
――が、その瞬間、時が止まった。
「すみませぇ〜ん! イメージ画の共有は、4人までが限界みたいなんで、ララティアさんの分はまた次回にしますね! バイバァ〜イ!」
――やり直し勇者と水辺の少女たち 前編 完――
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
少しでも面白い、続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。
次回もよろしくお願いします。




