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やり直し勇者は溺愛される ~魔王を倒した勇者ですが、平和の代わりに元仲間たちとのお見合いが始まりました~  作者: 希月タカトラ
やり直し勇者と影を纏う少女との1日

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ミリス編 彼女は微妙なお年頃

読みに来てくれて、ありがとうございます。


ミリス編

【彼女は微妙なお年頃】


お楽しみください。




  ――セレンディア城下町 喫茶店"リリテオ"――


 

 城下町に戻った俺とミリスは、彼女の要望を叶えるために、喫茶店に来ていた。


「こんなお店が、あったんですね……」


「あぁ、実は何度か足を運ぶことがあってな、いい店だぞ! そしてなぜかネコもいる」


「っ! ネコ!?」


 俺の言葉にミリスは、期待の表情を浮かべて、店のなかを見渡した。

 

 そして茶白のネコを見つけると、ミリスは目を輝かせながら、そのネコの元へ駆けて行った。


 『気配遮断』スキルが効いてるのか、急に近づいてきたミリスに、ネコはまったく動じる様子がなく、体を丸めて眠っていた。


 俺がミリスの楽しそうな姿を見て、微笑ましく眺めていると、店主が俺に声をかけてきた。


「お一人でしょうか?」


「あっ、いや! 二人で……」


「かしこまりました。そちらのテーブル席へどうぞ」


 店主に促されてテーブル席に行く前に、俺はミリスの元へ向かった。


 俺が近づいたせいでネコが逃げ出してしまい、寂しそうにするミリスに、俺は申し訳なくなりながら声をかけた。


「ミリス、悪いが今だけ店主にも見えるようにしてくれるか? じゃないとケーキ、一緒に食べれないだろ?」


「あっ、ごめんなさい……つい癖で……」


 そしてミリスが俺の後をついて席に座ると、一人分の水を持って来た店主がミリスに気づいて驚いていた。


「申し訳ありません。お客様の分も、すぐにお持ちします」


「あっ、いえ、こちらこそ、すみません……あの、注文いいですか?」


 


 ……店主に紅茶とケーキのセットを注文した俺とミリスは、品がくるまでの間、3人から頼まれた品をどこで買うか話し合っていた……


 のだが、ミリスはネコが気になって仕方ないようで、また気配を消してネコに近づくと、恐る恐るネコの頭をなでていた。


「クロードさぁん、毎回ここで修羅場ってたのが嘘みたいに平和ですねぇ〜」


(そうだな……3人の時は振り回されてたもんなぁ……)


「えぇ、あの時はいったい何したら、こんな重たい女たちを呼び寄せるんだと、思いましたよぉ〜」


(……ちょっと、言い過ぎじゃない?)


 そして店主が、注文した紅茶とケーキのセットを持ってくると、ミリスを見てまた驚いた反応を見せた。


「驚きましたね、あのネコはあまり人に懐かないのに、あんなに近づいても逃げないどころか、なでられているなんて」


「あぁ、昔から動物に好かれる子なんですよー」


 ネコに『気配遮断』を使ってるなんて言えるわけもなく、俺は愛想笑いをしながら適当なことを言って誤魔化した。


「ミリス、ケーキが来たぞ」


「あっ、はい! ありがとうございます……」


 俺の呼び声に反応してミリスが席に戻ってきた。


「美味しそう……いただきます……」


 そう言ってミリスは、紅茶を一口含むと、フォークでケーキを一切れ取って頬張る。

 そしてすぐに、幸せそうな顔をして、声にならない吐息をついていた。


 今日のミリスはいつもの落ち着いた感じではなく、年相応の少女らしくはしゃいでいるように見えた。


 ミリスを幸せにしてやると誓ったあの日から、俺はまだ彼女に何もしてやれていない。


 うんと甘やかすどころか、彼女の母親を死に追いやった奴らを懲らしめることさえできていない。

 

 だが、それでも今は、ミリスがこうやって幸せそうにケーキを食べている姿を見れて、俺は本当に嬉しかった。


「ミリス、俺の分も食べるか?」


「えっ? い、いいんですか……?」


「ああ! そのために、別々のケーキを頼んだんだ」


「……じゃあ、いただきます……」


 恥ずかしそうにしながらも、ケーキを受け取るミリスの姿に、俺はなにか込み上げるものを感じた。


「クロードさん、これが所謂『ご飯3杯はいける』ってやつです!」


(なるほどな……悔しいが、初めてお前の言ってることがわかるよ……)


 そうセレーネに返しながら、俺はミリスの幸せそうな顔を眺めながら、紅茶を楽しんでいた……


 ……喫茶店を出た俺は、次の目的地を決めるために、行きたいところがないか、ミリスに問いかけていた。


「では、みなさまに買うお土産を見に行きたいです……」


「お土産か、それなら商家街の方へ行くか?」


「はい、近道を知っているので、ご案内してもよろしいでしょうか?」


 そう言ってミリスが、路地裏の方へと歩いていくので、俺は離れないように彼女の元へ駆け寄ると、横に並んで歩き出した。


 路地裏を二人で歩いていると、少し開けたところで装飾売りの露店を見つけてミリスが立ち止まり、俺も釣られて足を止めた。

 

 すると店主が俺に気付いて、話しかけてきた。

 

「いらっしゃい! お兄さん、誰かにプレゼントかい? どんな子だい?」

 

 いつもの通り、俺のとなりにいるミリスには、店主は気づいていないみたいだった。

 

 俺は店主に軽く返事をして、ミリスの様子をうかがい、彼女に聞こえる程度の小さい声で話しかけた。


「……宝石が好きなのか?」


「いえ、宝石というより……石が好きで……」


 そう言って商品を眺めているミリスの首から下げられた小袋に俺は気づいた。


 昔、まだ幼い頃に魔法の石だと言ってあげた石ころを、ミリスは宝物のように肌身離さず大切にして持っている。

 

 そのせいかミリスは、宝石っていうより石が好きらしい……そう思いながら、首にかけられた小袋を見ていると、あることに気づいてしまった。


(うん? なんで服のなかに入れてる小袋が見えてるんだ……?)

 

 そこで思い出したが、ミリスはイリーナのお下がりを着ていて、サイズのあっていないその服はダボダボで、首元は大きく開かれていた。

 

 そんな彼女が体を前に傾ければ、首元は重力に負けて大きく開かれてしまい、ミリスの肌着が露わになっていた。

 

 その光景に俺は、目を離せなくなっていた。

 

 そして気づいてしまった。


 おそらく肌着もイリーナのおさがりなのだろう……それもまた、彼女のサイズに合っていなかった。

 

 その肌着は、ミリスの肌から浮きかけていた。


 その瞬間俺は、リアラの言葉を思い出した……『ミリっち、歳のわりには、ちゃんと出るとこ出てるけどぉ』……そして浮いた肌着の隙間から、胸の膨らみのその先が……

 

「? お兄ちゃん、どうしました?」


 ミリスが俺の視線に気づいて顔を上げると、こちらに問いかけてきた。

 

「い、いやなんでもない! 大丈夫だ! そ、そろそろ行こうか」

 

「? はい……」

 

 俺は慌てるように、露店をあとにして歩き出した。


(あ、危なかったぁ……)

 

 気づくと俺は、いつの間にか背中にじっとりと汗をかいていた。


 そして、謎の罪悪感を感じていると、背後のセレーネが俺にささやいてきた。


「クロードさんの、へんたぁ〜い!」

 

 俺はセレーネに言い返すことができずに、ただ無心で歩くしかなかった……


「ミリス、服を見に行こうか……」


「えっ? はい、どんな服をお探しですか?」


「いや、ミリスに服を買いたいんだ……」


「そ、そんなの悪いです!」


 俺の提案に戸惑っているミリスに、俺は振り返って彼女の両肩を掴み、必死に言い返した。


「いいや! 悪くない! ミリスは何も悪くない!! 悪いのは俺なんだ!!! だからお詫びに服を買わせてくれ!!!!」


「? は、はい……?」


 必死のお願いで、ミリスの了承を得ると、俺はまた商家街への道を2人で歩き出した……


「いやぁ〜、クロードさんのおかげで、ミリスさんの薄い本とムフフな画像が増えるかもしれません! ありがとうございます!」


 ――ミリス編 彼女は微妙なお年頃 完――



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


ミリスの服が浮いてしまうシーンは、私服姿の設定を考えている時に煩悩が閃いてしまいました。


少しでも面白い、続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。


次回

【ミリス編 君とあの日の約束をもう一度】


お楽しみに!

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