ララティア編 強制終了
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ララティア編
【強制終了】
お楽しみください!
――セレンディア城 談話室――
俺たちは陛下に、魔王ベルガドーラと魔王妃ルクレツィアを会わせて、和平のための話をするはずだった……だったのだが……
なぜか陛下が、膝にララティアを乗せて、ケーキを振る舞っていた。
「……これ、美味しい……」
「そうだろう、そうだろう! 余が雇った、一流シェフの作ったケーキだぞ! 美味かろう!」
「うん! 全部、食べていいの?」
「おお、もちろんだとも、もっと食べたかったらおじいちゃんにいつでも言うのだぞ!」
「ホント!? ありがとう、おじいちゃん!」
「はうっ!」
陛下がララティアに陥落してから、もうかれこれ30分くらいはこの調子である。
しかし、さすがに魔王たちを待たせるのも限界があると思っていたその時、俺の背後から声が聞こえた。
「ちょっとクロっちぃ! なにやってんのさぁ?」
「リ、リアラか!? ビックリさせるなよ!」
「ビックリさせるなよじゃないし! ずっと待ってるのに迎えに来ないから様子見に来たら、なにララちーにデレデレしてんのさぁ!?」
「いやそれが、俺も予想外の展開でどうすればいいのか……」
リアラの言うことはもっともなのだが、陛下の楽しそうな姿を見ていると、それを中断させていいものなのか、ためらってしまっていた。
その様子を見て、事態を察したリアラが、ため息をついて、俺の代わりに動き出した。
「はぁ、ララちー! こっちにおいでー!」
その声に反応して、ララティアが陛下の膝から降りて、リアラの元に駆けて行く。
陛下が「あぁ……」と名残惜しそうにしていたのは、見なかったことにしよう……
リアラの元にララティアが駆け寄ると、リアラはララティアに耳打ちをしてから、陛下の方を向かせた。
「えっと……会議、しよ……じぃじ……」
「じぃ……じ……!?」
その瞬間――陛下に、神託が下る!
「おお、そうであったな! これはすまなかった! じぃじとしたことが、危うく本題を忘れるところじゃったぞ!」
じぃじ……陛下は、ララティアの言葉に目が覚めた(?)みたいで、本題を思い出してくれた。
陛下の話し方が急に、年寄りめいたものになったのは、突っ込まない方がいいだろうか……
俺は、ララティアに視線を移すと、この幼い魔族の姫に恐ろしさを感じてしまった。
(もしかして、ララティア1人でこの国滅んでたんじゃ……)
俺は余計なことを考えるのをやめて、ララティアに声をかけた。
「じゃあララティア、もう一度……今度はお父さんたちを連れて来てくれるか?」
「う、うん! いいよ……」
俺のお願いに、ララティアが二つ返事で答えてくれると、彼女は空間に穴を開けて中に入って行った。
しばらくすると、その穴からララティアが戻ってくると、後ろから禍々しいオーラをまとった魔族2人が、姿を現した。
「セレンディア王よ……」
魔王ベルガドーラが短く、陛下のことを呼ぶと、周りの騎士たちが身構えた。
そんななか、俺たちの予想通り、魔王の隣にいたルクレツィアによる代弁が行われた。
「セレンディア国王陛下、この度は急な申し出にも関わらず、我らの来訪を快く迎え入れてくれたこと、誠に感謝する……っと、主人が申しております」
「…………えっ?」
陛下は、先日の俺とまったく同じ反応をすると、俺とララティアの方を見て説明を求めていた。
それを察したララティアが、小声でつぶやくように、陛下に説明し出した。
「じぃじ……パパ、照れ屋さん……」
「なん……じゃと……!?」
「陛下……事実にございます……」
「うむ……」
「うむ、そうなのだ! おかげで色々と勘違いされることもあるが、我も勝負ごとが好きだから、余計に話をややこしくしてしまうことがあるのだ! 此度はそのせいで多大なるご迷惑をおかけしたこと、誠に申し訳なかった! ……っと、主人が申しております」
それからの話し合いは、驚くほどトントン拍子で進んでいった。
25年にも及ぶ争いのなかで、互いに少なからず犠牲があったが、ルクレツィアが提案した『輪廻の女神エイル』に会うための助力が大きかった。
死者を生き返らせることはできないが、その転生を確約させるために魔族が率先して協力し、最後にララティアとの婚姻を発表する。
これで過激派も納得とはいかなくても、大半の者は強く出ることができなくなるだろう。
だが陛下は、なにか考え込んでいる様子だった。
俺たちの視線が陛下に集中すると、思い立ったかのように、陛下が語り出した。
「うむ! よくわかった! だが、完全な和平の形には、ちと足りぬものがある!」
「足りぬもの……ですか? それは、いったい……?」
俺は、陛下の言葉に疑問を投げかけると、陛下はニヤリと含み笑いを浮かべた。
「クロードよ! 貴公は確かに『勇者』として民衆に讃えられてはいるが、その肩書きのまま婚姻しても、ただの恋愛譚で終わってしまうかもしれん!」
「はぁ、そうでしょうか?」
「そうだ! だからクロードよ! ……貴公、余の息子にならんか?」
「…………はいっ!?」
「だから、余の息子になって王位を継ぐのだ! そして、王位を継いだ手始めに、ララティアとの婚姻を宣言するのだ! 王族と魔族の婚姻となれば、和平への大義名分にもなるというものだ! それに余も歳だし、国王なら妃が複数いても、そんなものだと民も受け入れるだろう」
その言葉に、俺の後ろにいたヒロインたちが食い付いた。
「クロードが王さまになれば、旅が難しくなる……クロード! 王さまになっちゃおうよ!」
「ご安心ください、クロードさま! 政務は、わたくしが管理いたします!」
「そうね! 財政は、私が管理するからクロードは、書類へのサインだけしてくれればいいわ!」
「お兄ちゃんが王さま……お世話のしがいがある!」
(……やられた!!)
「はっはっは! では、政務と財政に関わるイリーナとルーシェ嬢が第1妃と第2妃、クレス嬢とミリスは第3妃と第4妃でよいかな?」
「「「「異議なーし!!!!」」」」
「大アリだよ!」
俺が、陛下とヒロインたちの結託に反論すると、ルクレツィアが話に加わってきた。
「では、ララティアは第5妃になりますね! ララティア……よいですね?」
「うん……」
ララティアは、ことの重大さに気付いていないのか、ルクレツィアからの問いに、あっさりと答えてしまった。
そして、そのやり取りを見た陛下が、わざとらしくなにかを思い出したように話し出した。
「おぉ! そういえば、ララティアは第5妃になるのかぁ、そうなったら余は本当にじぃじになっちゃうなぁ」
「あらあら陛下、それを言うなら"お義父さま"ですよ」
「おー! それはそうだったなー! はっはっは!」
「ふふふっ……」
「あの〜、俺まだやるって言ってないんだけど……」
陛下とルクレツィアも結託してしまい、俺は2人に食い下がってみるが、完全に外堀を埋められてしまった。
「ちなみに、クロードさまは主人と義兄弟の盃を交わされておりますので、陛下は魔王の父にもなります!」
「なんと!? 娘だけでなく、息子も増えるのか!?」
陛下とルクレツィアは、楽しそうに新しい家系図の話をしているが、俺は1人頭を抱えていた。
魔王討伐の旅を終え、やっとのんびりした生活を送れると思った領主生活も数ヶ月で幕を閉じ、長いお見合いループ攻略が終わったと思ったら、今度は一国の王にならなければいけない。
俺の人生に、スローライフの6文字は存在しないのか!?
そう思っていると、背後から声が聞こえた。
「クロードさぁん! スローライフなら休暇を取ってベガスに行ってますよぉ〜」
「セレーネ!? お前、なんか久しぶりだな!?」
「ホントですよぉ! クレスさんの毒毒フルコースのおかげで死ぬところでした!」
「……女神って殺せるのか?」
「もう、冗談はともかく! これにてララティア編は終了です! ってか、ストーリーが動くから仕方ないけど、ララティア編が長すぎます!」
「おぉ! なんかお前の発言を聞いてて、初めて安心する俺がいるぞ!」
「はいはい、ってな訳で!! 次回からラブコメ回に突入です!」
「はい!? なに言ってるんだ? この会議が終わったら、冥界に行……」
その瞬間――セレーネが、俺に向かって両手の人差し指で【=】の字を作ると………………
――セレーネ――
「はい! これラブコメなんですから、もっとキャッキャウフフで甘々な展開が起きてもらわないと困りますよぉ! っということで、頼みましたよ! 『フェリス』……」
「……」
【サブイベントの発生を確認いたしました。サブイベント『やり直し勇者と影を纏う少女との休日』『やり直し勇者と水辺の乙女たち』の攻略を行います】
「うん! いい感じ! それでは、みなさま……また近いうちにお会いしましょう……」
――やり直し勇者と鮮紅に沈む少女編 完――
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
今回で、ララティア編は終了となります。
今後の更新についてですが、執筆に集中する期間を設けるため、6月はお休みをいただきます。
次回は、7月1日から再開予定です。
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次回もよろしくお願いいたします。




