ララティア編 はじめての……
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ララティア編
【はじめての……】
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――クロード邸 リビング――
魔王の襲撃? を無事に防ぎきった俺たちは、魔王とその妃を連れて屋敷に戻っていた。
屋敷に戻ってすぐ、イリーナとミリスはお茶の用意のためにキッチンに移動して、俺とクレスとルーシェの3人で、魔王たちをリビングへ案内した。
「狭いところで申し訳ないが、ゆっくりしてくれ……」
そう言って俺は、リビングのソファに座るよう魔王と妃に促すが、魔王にとっては本当に狭そうだった。
俺たちも、反対側のソファに腰掛け、魔王たちに向かい合うように座った。
「……勇者!」
「おお、"勇者"クロードよ! 早速のもてなし感謝する! しかし、女神から話は聞いていたが、本当に奥方が4人もいるとは驚きだ! だが、心配されるな! 我輩はそのなかに我が娘ララティアが加わることに異論はない! ……っと、主人は申しております」
「そ、そうですか……」
(いやいやいや! なぜ、勇者の2文字でそこまで出てくるんだよ!?)
「それは、私の『叡智』のスキルのおかげでしょう」
「なっ!? 心を、読めるのか!?」
「いいえ、そう思われているだろうと、予測しただけです」
(……ルーシェは、うさぎのぬいぐるみを大切に持っている!)
「あら! そうなのですね! 今度来るときは、ルーシェさんに、魔界のワンちゃんのぬいぐるみをお持ちしますわ!」
「……マジか!?」
「ちょっと待って! 今、何考えてたの!?」
「いやー、なんだろうなー」
俺の隣に座っていたルーシェが、何かを悟って慌てた様子で問いただしてくるが、俺が笑って誤魔化すと、彼女はふてくされてしまった。
(すまないルーシェ、あとでわがまま聞くから……)
「えぇ、ぜひ甘やかしてあげてください」
それを聞いたルーシェがさらにふてくされてしまったが、そこへリアラが割って入ってきた。
「ちょっと、マミー! また人で遊んでぇ、よくないぞ〜! 『叡智』なんてスキル持ってないでしょ〜」
「なっ? 嘘なのか?」
「そうだよ〜、確かにマミーはスキル持ちだけど、『叡智』なんてスキルじゃないよ〜」
リアラが妃のスキルを別のものだと言うが、それなら心を読む能力だろうか?
「マミーのスキルは『全知』だよ〜! 『叡智』なんて下位互換じゃ〜ん!」
「ごめんなさいね、リアラ! つい面白くなっちゃって!」
……もっとヤバいスキルだった……
「勇者さま、そんなに怯えなくてもよろしくてよ……私はあなた方に敵対する意思はございません……」
「そ、そうなのか? じゃあやっぱり、ララティアが言っていた、魔王の襲来はただの挨拶だったってのは?」
「ええ、本当です……私たち魔族は、戦いを身近な物だと思っておりますので、『殺し合い』はしても『侵略』の意思はありません」
「……そうか、やっぱり諸悪の根源は……」
「そうですわね、私たちは特に思うところはありませんので、そちらで処罰なされればと思います」
そう言って俺たちは答え合わせをすると、テーブルの茶菓子を食べていた、"駄目な女神"の方に向き合った。
「あ〜ん……って、え〜っとぉ〜……その節は申し訳ありませんでしたぁぁぁ!!!」
それはまた見事な、そのまま氷漬けにしたら芸術品になりそうな土下座だった。
俺は深いため息をついて、セレーネのことを後回しにすると、ララティアのことを話し出した。
「……話を変えよう、ララティアの件だが……」
「いいえ、それよりもエイルさまの話をしましょう、お互いの融和を進めるには、あのお方の力は必要不可欠でしょう」
「お、おい! 何か知ってるならありがたいが、娘のことはいいのかよ!?」
「当たり前です……あの子も魔族の娘、戦いに敗れて捕まったのなら、どうなっても文句は言えま……」
「しょ、あっ! よいしょ!」
妃がララティアのことを話していると、ララティアがお茶の入ったカップを載せたトレイを持ち、お茶が溢れないようにゆっくりと歩いてきた。
よちよちとあどけない足取りで、しかし本人は一生懸命にお茶を運んでいた。
俺たちはその光景を、ハラハラとしながら見つめ、やっとの思いでテーブルまでトレイを運び、カップを一つ一つ俺たちの前に差し出した後、大きく息をはいてから"はっ"と慌てて一礼すると、走ってキッチンまで戻っていった。
そしてキッチンの方からは、イリーナの『はい、よくできました!』と、ララティアを褒める声が聞こえた。
なぜかララティアの服がメイド服になっていたのは、触れないでおこう……
俺は話を戻すために、魔王たちの方に視線を戻すと、魔王と妃はプルプルと震えながら身悶えていた。
「ア、アナタ見ましたか? ララちゃんの愛らしい格好と一生懸命な姿……あぁ、胸がキュンキュンしてしまいました……」
「うむ……」
「まぁ、アナタったら! でも、そうですね! これが親バカというものなのでしょう……」
「あんたら、さっきどうなっても文句はとか言ってたよな?」
2人の反応を見て、俺はララティアと初めて会ったときの高飛車な様子を思い出していた。
確かにこの2人から甘やかされたら、あんな傲慢不遜な態度になってもおかしくないと、俺は心のなかで確信した。
「ごほんっ! 失礼いたしました……話を戻しましょう」
「えーっと、エイルさまのことで、いいのか?」
「はい……『輪廻の女神エイル』さまは……」
俺の問いにうなずいた妃は、先ほどまでの緩んだ表情が嘘のように真剣な眼差しを向け、重い口を開いた。
「冥界におります……」
――ララティア編 はじめての…… 完――
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ララティア編
【はじめてのお手伝い】
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