ララティア編 魔王姫の華麗なる日常
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ララティア編
【魔王姫の華麗なる日常】
お楽しみください。
――ララティア クロード邸 寝室――
慣れない陽の光の眩しさに、アタシは目を覚ます。
だんだんと意識がハッキリしていくと、隣にあの人がいないことに気付いて、アタシは不安になる。
アタシの唯一の安全地帯、唯一の頼れる人、その人が部屋のどこにもいない。
すると、部屋の外から奴らの声が聞こえた。
アタシが警戒する、4人の女たち……あの人の周りに絶対いる危険な人たち……
アタシは様子を見に行くために、ボロボロになったドレスではなく、ヨレヨレのシャツを頭から被り、部屋の扉をそっと開いた。
「……だれも、いない……?」
少し開けた扉の隙間から、通路を覗き見るけど、誰もいなかった。
けど、オレンジの人と青い人の声は、確かに通路の奥、昨日ご飯を食べた部屋の方から聞こえた。
アタシはゆっくりと、でも早歩きで声のする方へと進んで行く。
そして、部屋の扉をゆっくり開き、また隙間から覗き見る。
「……いた、クロードさま……」
アタシは、あの人を見つけて喜ぶが、何かおかしい?
そう思っていると、あの人がオレンジの人と青い人に怒られていた。
「クロード! 本当にララちゃんと変なことしてないのね!?」
「アンタの返事次第では……わかってるわよね?」
「だから誤解だ! 昨日の夜、ララティアが俺の部屋に来たから、俺のベッドで寝かしただけだ!」
どうやら、アタシがあの人の部屋で寝ていたことに怒っているらしい。
アタシのせいで、あの人が怒られてるなら、ちゃんと謝らないと。
「あ……あの……」
「あら! おはようございます、ララさん」
「おはようございます、ララ」
あの人たちに声をかけようとすると、アタシに気付いた白い人と黒い人が挨拶してきた。
白い人は、ソファに座って何かを飲んでいるけど、なぜか黒い人は、ソファの側に立ったままだった。
「あ、う……おはよう、ございます」
アタシは、挨拶を返してクロードさまの方に向き直すと、オレンジの人と青い人がアタシを見ていた。
「ララちゃん! おはよう!」
「おはよう、ララ……よく眠れたかしら?」
「ララティア起きたのか! ならみんな、朝食にしようぜ!」
アタシは一斉に話しかけられて、頭がいっぱいになって、あの人の足元に駆け寄って顔を隠した……
それから朝食になったけど、アタシの朝食といえば、甘いパンケーキだった。
なのに、目の前に出されたのは、緑と赤と黄色の何かが盛られた物と、お肉の切れ端と、パンだけだった。
「これ……なに……?」
「何って、サラダとベーコンとパンだな! 肉、少ないよな……」
そう言ってクロードさまは、残念そうにしている。
とりあえずアタシは、謎の肉の切れ端を、フォークで刺して口に運んだ。
「……しょっぱい……」
「ララティア、パンと一緒に食べるとちょうどいいぞ!」
アタシは、クロードさまの差し出したパンを受け取ると、口に含む。
確かに、無味のパンはお肉とちょうどよくて、アタシはすぐにそれをたいらげた。
そして、目の前には、謎の植物が盛られたお皿だけが残った。
「……これも、食べなきゃダメ……?」
アタシのその言葉に、オレンジの人が大っきな声で答えた。
「ララちゃん! 好き嫌いしちゃダメだよ! ちゃんと色んな物食べないと、大っきくなれないんだから!」
すると白い人も、冷たい感じの声で語りかけてきた。
「ララさん……食べ物があるのは幸せなことですよ……しっかりいただきましょう」
アタシは、2人から怒ったときのママと同じ雰囲気を感じて、がんばって緑の葉っぱを食べた。
「……うぅ……不味い……」
なんでこんな物を食べないといけないのか?
アタシが不満気にしていると、青い人が何かを持ってきた。
「ララ、それを食べるのが嫌なら、こっちならどう?」
そう言って青い人が出した飲み物は、なんかドロドロしていた。
「お、おい、ルーシェ……それはいったいなんだ?」
「何って、野菜を液体にしたドリンクよ! コレ1本で、そのサラダと同じ量が取れるのよ!」
アタシはそれを聞いて、ドロドロした飲み物を手に取って、思いっきり飲み込んだ。
「……うっ!? に、苦いぃー!」
それは、もう2度と口にしたくない不味さだった……
……がんばって葉っぱを食べたアタシは、オレンジの人に連れられて、家の周りを走っていた。
100周……
「いい、ララちゃん! クロードは、すぐどこか行っちゃうから、速く動けないとダメなの! だから、いっぱい走って、いっぱい速くなろうね!」
「はぁ……はぁ……うぇ〜!」
さんざん走り回った後、今度は白い人に連れられて、お昼ご飯を食べた……
さほう? のために。
「ララさん、フォークとナイフの持ち方が違います、わたくしの持ち方を見てください……」
「えっと……こ、こう?」
ご飯を食べ終わるまでに、どのくらいの時間が経ったのかわからない。
すると、青い人が入れ替わりで部屋に入ってきて、紙の束をアタシの前に置くと、難しい話を延々と聞かされた。
「ララ! アナタは魔力が高いから、精霊術が使えたら、絶対に強くなるわ! だからコレを全部頭に詰め込むのよ!」
「うーん……つまんないぃ……」
やっと青い人との勉強が終わったと思ったら、次は黒い人が雑巾を持ってきて、アタシに手渡してきた。
「使ったら、キレイにする……」
「あ、はい……」
黒い人にそう言われて、アタシはテーブルを拭いたけど、無言で見つめられて、ちゃんと拭けてないのか、不安になってすごく怖かった……
――クロード リビング――
「なぁ、お前ら、ララティアに厳し過ぎないか?」
俺は、自分の膝を枕にして眠るララティアの頭をなでながら、ヒロインたちに苦言を漏らした。
「そうかなー? 軽くしたつもりなんだけど?」
「そうですね、キレイな所作は今のうちに覚えさせておかないと、困るのはこの子ですし……」
「それにこの子は、強くなるわよ!」
「躾は、大事……」
「お前ら、魔王の娘ってこと忘れてないか?」
俺がみんなの言い分を聞いて呆れていると、俺の目の前に空間の裂け目が現れて、リアラが顔を出した。
「あれ? クロっちだ〜! ただいま〜!」
「リアラ!? どこ行ってたんだ? ってか近い! もっと離れろ!」
「え〜、めんどくさいよ〜、よいしょっと!」
そう言って俺の言葉を無視したリアラは、穴から体を出し始めていた。
「あ、当たる! 胸が! 胸が、当たる!!」
俺は目の前にくるリアラの胸が顔に当たらないように、必死に体をのけぞらせて避けていた。
すると、リアラを押し出すように、後ろからセレーネが現れた。
「ちょっと、リアラ! 狭いから早く出てください!」
「あっ!? セレっち、ちょっと待って!」
「あ……!」
……ぱふっ……
(あっ……甘い香りがするぅ……)
【空間の女神リアラの『おっぱいマウスパット』と彼女をイメージした『香水』が、20XX年発売! アナタもあのシーンを追体験できる!? [銀貨6枚]】
「いやぁ〜、さすがクロードさん! 『ラッキースケベ』もしっかりお持ちでしたね!」
「やぁ〜ん! クロっちに穢された〜!」
「……すまない……」
「……クロード……やっぱり、大きい方が……」
事故の原因であるはずのセレーネが、リアラと一緒になって煽ってきたが、俺は謝るしかなかった。
そしてヒロインたちのなかで、なぜかクレスの視線だけが、とても刺々しく、何かをボソボソとつぶやいていた。
「もう、冗談だって〜! ……セレっちは、あとで話があんだけど……」
そう言って、セレーネに向けられたリアラの視線は、殺気を帯びていた。
「……すみませんでしたぁぁぁ!」
リアラの殺気を感じたセレーネは、それは見事な土下座をして、リアラに謝っていた。
「はぁ、クロっち〜! 話があんだよね〜」
「はい! なんでございましょう!?」
リアラの声色は普段のものに戻っていたが、俺にもその殺気が向けられたと思い、恐怖のあまり畏まった返事をしてしまった。
「もう、怒ってないから大丈夫だよ〜 でも、思い出して使ったらダメだよ! ウチのこと考えるって、『聞こえる』ってことだからね……」
「はい! 使いません! 神に誓います!」
「クロっち〜、ウチが神だし〜、って話進まないからコレでお終い!」
そう宣言したリアラが両手を叩き、本題の話を持ち出した。
「実は〜、ララちーのことを、マミーに伝えに行ってたんだけど〜、『ぜひ挨拶がしたい』って言うから、明日連れてくるね〜」
「お、おい待て! 挨拶って誰が?」
「だから〜、ララちーのマミーとパピーが!」
「……それって……?」
俺がある人物を頭に思い描いていると、頭を擦り付けていたセレーネが、その体勢のまま顔だけこちらに向けて、語り出した。
「そう! 『魔王妃ルクレツィア』と『魔王ベルガドーラ』です!」
「はぁぁぁぁぁ!?」
俺の驚きの声が、屋敷のなかを駆け回っていた……
――ララティア編 魔王姫の華麗なる日常 完――
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
おっぱいマウスパットを考えた人、天才過ぎませんか!?
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