ララティア編 新スキル獲得
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ララティア編
【新スキル獲得】
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女神セレーネは、封印などされていなかった。
それが25年にわたる、魔族との戦争の真相だった。
それから陛下は、臣下を集めての緊急会議のために、部屋を後にしていた。
俺たちは、残された乱入者ララティアと、全ての元凶であるセレーネの処分を話し合っていた。
「さて……まずはセレーネの処分についてだが、みんなの意見を聞かせてほしい……」
そう言った俺に、セレーネが縋りついて命乞いをしてきた。
「待ってくださいぃ〜! 私はただ、引き籠ってただけなんですぅ〜、何もしてないんですよぉ〜!」
「うるさい! それが大問題なんだよ!!」
「うぅ〜、こうなったら時を止めて……」
「セレっち〜、罪を重ねたらあかんよ〜、観念してクロっちに『おしおき』されときな〜」
この場を逃げようとするセレーネに、リアラは素直に贖罪を促すが、セレーネは頑なに罪を認めようとはしなかった。
「いぃやぁぁぁ! 勇者に犯されるぅぅぅ! 女神の純潔がぁぁぁ! 薄い本が厚くなるぅぅぅ!」
「やめろ! 馬鹿女神! 人を悪者扱いしやがって!」
「そうだよ〜セレっち〜、需要はありそうだけど、時間と場所は考えなよ〜」
「……お前はお前で、ズレてるぞ……」
なかなか話が進まず、俺が苛立っているのを見て、クレス、イリーナ、ルーシェ、ミリスの4人は唖然としていた。
「ねぇ、みんな……あの2人って女神さまなんだよね?」
「えぇ、あの威光は、間違いなく女神さまのものです……」
「それを馬鹿女神とか、お前呼びしてるアイツって……」
「……お兄ちゃん、凄い……」
ヒロインたちの話は聞こえていたが、今は説明している余裕もないので、俺は一度、深く息を吐いてから話を戻した。
「でだ、セレーネをどうするかだが、リアラ……罪を犯した女神は、天界ではどうなるんだ?」
「えぇ〜、まぁ普通なら神格を下げて、地上に追放じゃない?」
リアラのその言葉に、セレーネが顔を真っ青にして、俺たちに土下座をして、また命乞いをし出した。
「おっお願いしますぅ! それだけはご勘弁をぉぉぉ!」
これが、世界でもっとも多くの信者を持つ宗教の『女神セレーネ』だと思うと、イリーナが信者でなくてよかったと心から思った。
「お前を助けるために、人間や魔族から犠牲が出てるんだ! お咎めなしなんて、できる訳ないだろ!」
「そ、そんなぁ〜、クロードさぁん! 一緒にヒロインを救った仲じゃないですかぁ〜!」
「それとこれは、話が別だ!」
そう言って俺は、セレーネの命乞いを一蹴すると、何かを思いついたようにリアラが話し出した。
「あっ! ねぇクロっち! その点は、100パーとは言わないけど、どうにかできるかもよ!」
「なっ!? どうにかって、どういうことだ!?」
「いやぁ〜、ウチも約束できないけど〜、『エイルん』なら、どうにかできないかな〜って!」
「エイ……ルん? って誰だ!?」
俺が誰のことか理解できずにいると、イリーナが話に加わって、説明をしてくれた。
「クロードさま、リアラさまは、『輪廻の女神エイル』さまのことを仰られてるのだと思います……」
確かに、さっきイリーナが説明してくれた、『四女神』にそんな名前があった気がした。
「そう! それ! イリーナちん、博識だね〜」
「……イリーナちん……ですか?」
「うん! だって、『イリっち』だと言いづらいし『イリちん』だと、ちょっと卑猥じゃない?」
「そ、そうですね……(ボソッ)わたくしも、クロさまみたいな呼ばれ方がよかったです……」
なにか、イリーナから聞こえたが、俺はそれを聞かなかったことにして、リアラに『輪廻の女神エイル』について質問をした。
「それで、その『エイル』さまが、どう解決してくれるんだ?」
「えっとね〜、エイルんは生と死を司ってるから、死者を蘇らせることもできちゃったりするんだよね〜」
「できちゃったりって、それ! 本当か!?」
「まぁ、どこまで可能かは知らんけど、ホントだよ〜」
リアラが教えてくれたことが、本当に可能ならば、犠牲になった人たちを、生き返らせることができるかもしれない。
しかし、それをするにはもう一つ、確認しなければいけないことがあった。
「で、そのエイルさまはどこにいるんだ?」
「え〜、知らな〜い」
「よし! セレーネの処分についてだが……」
「待っでぐだざぃ〜! じらべまずぅ(調べます)! じらべまずがらぁ〜(調べますから)!」
もう何を言っているのかわからないが、エイルの居場所をなんとか見つける的なことを言っているのだろう……
俺のズボンは、女神の涙と鼻水でぐしょぐしょだった。
すると、クレスとルーシェが、セレーネの様子を見て提案をし出した。
「ねぇ、クロード……そのエイルさまを探してもらうってことで、一旦処分は保留でもいいんじゃないかな?」
「そうね、可能性があるならやってみるべきでしょうし、それでいいんじゃない?」
2人の提案に俺は考えを巡らせるが、確かに犠牲者を生き返らせることができるなら、やってみる価値はあると思った。
「……わかった、陛下とも話をする必要があるが、それでお前の処分を保留にしよう……」
「あ、ありがどうございまずぅ〜!!」
「やめろ! 馬鹿女神! ズボンが……て、待って!? なんか、染みてる!? 濡れすぎて鼻水が染み込んでるから!!」
「クロっち、よかったじゃ~ん! 死霊耐性のスキルゲットだよ!」
「えっ嘘!? 鼻水で!? 嫌なんだけど!?」
「当たり前じゃ~ん! だって女神から出た水だよ! 神聖な物に決まってるじゃん!」
リアラのその言葉に、俺は今夜、しっかり体を洗い流そうと決意した。
例えその結果、スキルを1つ失うことになったとしても……
――ララティア編 新スキル獲得 完――
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