ララティア編 すべてセルフになっております
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ララティア編
【すべてセルフになっております】
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――セレンディア城 談話室――
(セレーネ、質問がある……お前が魔王城に封印されていた時の話だ!)
魔王の生存を知り、侵略がただのバカンスだったと知らされ、そして女神の封印は誤解だった可能性まで出てきた。
もちろん、その場にいなかったララティアが、なにか誤解をしている可能性は否定できない……
だが1つだけ、この場で確かにできる事がある……
それは女神の封印の真相――その当事者であり、被害者であったはずの存在、女神セレーネが目の前にいるということだ。
「……あぁ〜……」
セレーネは俺の問いの意味を理解したのか、どこか気まずそうな様子で言葉を濁していた。
すると、クレスが慌てた様子で俺に話しかけてきた。
「ちょっとクロード! その人誰!?」
「えっ? クレス、コイツが見えてるのか!?」
セレーネは俺にしか見えていないはず、だからクレスの質問に、俺はセレーネを指差して聞き返していた。
だが、クレスの答えは違った。
「なに言ってるの? そっちじゃなくてコッチ!」
「コッチ?」
クレスの指差した方にいたのは、ララティアに文句を言われて軽くあしらっているリアラだった。
「クロードさま、あの方からは神聖なものを感じます……それも、セレーネさまを感じた時と同じくらいの……」
そう言ってイリーナが、緊張した様子で俺に語りかけてきた。
「リアラは、みんなに見えているのか?」
俺の不意に漏らした言葉に、イリーナが驚きを隠せない様子で反応した。
「クロードさま! リアラ、とは『空間の女神リアラ』さまの事でしょうか!?」
「えっ? ああ、そうだけど……イリーナは知ってるのか?」
「はい……かなり古い聖典に名前が載っているだけですが、『時間の女神セレーネ』『空間の女神リアラ』『運命の女神フェリス』『輪廻の女神エイル』の四女神は姉妹として誕生し、最高神さまの導きのもと、世界創造が行われたとされています」
「……やっぱり、ありがとうイリーナ、敵ではないと思うから安心してくれ」
イリーナの説明を聞いた俺は、そう伝えると、リアラに歩み寄って質問をした。
「リアラ、お前がみんなに見えるって事は、本体がここにいるってことなんだな?」
俺の質問にリアラは、不思議そうにしながら答えた。
「そうだけど……クロっち、どしたん? めっちゃ怖い顔してるよ?」
「いや、すまない……アンタに怒ってる訳じゃないんだ、悪いが一つ頼みを聞いてくれないか?」
「えぇ何々? やっぱり、おっぱい揉んどくぅ?」
「ち、違う! 実はな……」
リアラの冗談に振り回されつつ、俺は彼女の耳元にささやくように、頼み事を伝えた。
「ふぅ〜ん、いいよ! 受けてあげる! めっちゃおもしろそうだしね! 場所がいまいちだから、少し時間かかるよ?」
「問題ない、感謝する……」
俺が礼を言うと、リアラはニッコリと微笑み、その場から消えてしまった。
その様子にみんなが唖然としていると、ルーシェが問いかけてきた。
「クロード、アンタさっきのと知り合いなの? 精霊がざわついてたけど、さっきの何者よ?」
「すぐわかるさ、もう少しだけ待ってくれ……」
ルーシェの質問に端的に答えると、俺は陛下の方に向き直し、片膝を突いて語り出した。
「陛下、お話がございます! 此度の女神封印の件、その真相を究明できると思います」
陛下も次々と明らかになる真実のせいで混乱していたが、俺の言葉を聞いて安堵の表情を浮かべた。
「おぉ、誠かクロードよ!? してどのようにして、真相を確かめるのだ?」
「はい、実に簡単なことでございます……直接、本人に聞けばいいのです!」
「本人……とな? それは、そこの魔王の娘にか?」
「いいえ、女神セレーネ本人にです!」
「なんと!?」
俺の言葉に、陛下だけでなく、周囲のみんなも驚き、そしてセレーネも慌てた様子で俺に問いただしてきた。
「ク、クロードさん、何言ってるんですか? 私はクロードさんにしか見えませんよぉ?」
(ああ、わかってるさ! だから、見えるようになってもらうぞ!)
「いやいやいや、なんでヤバそうな雰囲気のところに、自ら飛び込まなきゃいけないんですかぁ!? 嫌ですよぉ〜」
セレーネの反応は予想通りだった、だから頼んでおいてよかった……
(セレーネ、言い方が悪かったな……正確には、『ここに来てもらう』だ!)
「……はい!? ちょっ!? 何でア……」
その後、セレーネの姿が消え、声も聞こえなくなったと同時に、俺と陛下の間の空間が歪み、2人の女性が姿を現した。
「クロっち! お待たせ〜! ご依頼のセレっちを連れてきました〜」
「ぎにゃぁぁぁ!!!」
それはリアラと、強引に連れてこられ、床に顔から盛大に着地したセレーネだった。
「ク、クロードよ……この者たちは、いったい?」
「陛下、ご安心ください……こちらの方は『空間の女神リアラ』です! そして、そこでふざけた格好をしているのが『時間の女神セレーネ』です!」
「な、なんと!? 魔王に封印されていた、女神セレーネさまか!?」
そう驚く陛下に、イリーナが声をかけた。
「陛下、その方から感じる神聖さは、確かに魔王城で感じたものと同じです……」
「……では、誠なのだな?」
「はい……ですので陛下! 女神は本当に封印されていたのか、ここで明らかにいたしましょう!」
俺は陛下に高らかに宣言すると、セレーネの元に行き、彼女を問いただした。
「おい、こら馬鹿女神ぃ! 本当の事を話せよ! さもないと飯抜きにすっぞ!」
「……お兄ちゃんが、悪人みたいな顔になってる……」
近くで、セレーネを問いただす俺の様子を見ていたミリスが、恐ろしげにしていた。
そしてセレーネが申し訳なさそうに、おずおずと事の真相を話し出した。
「いや、そのですねぇ……最初は『何勝手に人間界に来て城建ててんだコラァ』って気持ちで、魔王に文句を言いに行ったんですよぉ〜」
「ほぅ! それで?」
「えぇっと〜、そしたら広い部屋に通されてぇ、いい部屋だったんですけど、ちょっと空気が禍々しいなぁ〜って思ったのでぇ〜」
「思ったのでぇ!?」
「そのぉ~、女神の力で部屋の中を聖域化したら、魔族がみんな寄り付けなくなっちゃってぇ〜、しかも扉が魔王サイズな作りのせいで重くってぇ〜、まぁでも〜Wi○Fi使えるからいっかぁ〜……みたいな?」
「……つまり、お前の封印って?」
「えっと~、自分から引き籠っちゃったぁ……的な! テヘペロッ!」
「「「「はあぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?」」」」
俺たちはあまりにもふざけた内容に、一斉に声を張り上げていた……
――ララティア編 すべてセルフになっております 完――
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