ララティア編 ユダ
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ララティア編
【ユダ】
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――セレンディア城 談話室――
ララティアとの一件が終わり、俺たちは事態の収拾を行うため、それぞれ行動を開始した。
クレスとルーシェは、ララティアが落下した地点へ捜索に、イリーナとミリスは騒ぎで怪我をした者がいないかの確認を行っていた。
そして俺は陛下と2人、ララティアに半壊させられた談話室で、今後の方針について話し合っていた。
「クロードよ……魔王ベルガドーラについてだが、奴はまだ生きていると、余の聞き間違いではなければ、あの娘は確かに言っていたな?」
「はい陛下、間違いありません……ですが信じられません! 私の剣は確実に奴の体を斬り裂きました……それが生きているなんて……」
「ふむ、余は貴公を信じてはおるが……やはり魔王の娘を名乗る者を捕まえて、問いただすしかなさそうだな……」
俺と陛下の話し合いに答えが出ず、ララティア発見の報告が来るのを待つしかなかった。
すると、談話室の扉が勢いよく開かれ、クレスが現れた。
「クロード! 王さま! 例の子、連れて来たよ!」
そう言ってクレスは後ろを向くと、杖を構えたルーシェに押されるように、ララティアが姿を見せた。
そしてルーシェも部屋に入り、注意を促した。
「簡易的な拘束はしたけど、一応警戒はしなさいよ!」
「ああ、わかってる……2人ともありがとう……」
「えへへっ」
「え、ええ、大した事ないけど……」
2人の反応を見て思うところはあるが、まずは最優先事項であるララティアに視線を移した。
彼女はルーシェの魔法での一撃を受けたはずだが、服がボロボロになっている事以外は、ほぼ無傷に近かった。
「驚いたな、ルーシェの精霊術をくらってほとんど無傷なんて……」
するとララティアは、不貞腐れながらも俺の反応に応えた。
「別に無傷じゃないわよ、魔族は傷の治りが早いの……実際、すごく痛かったんだからね!」
そう言ってララティアは、ルーシェを睨みつけていた。
ララティアの様子に、話を続けて問題ないと判断した俺は、本題に入った。
「ララティア、お前はあの時、魔王ベルガドーラが生きていると言っていたな? その事について、詳しく説明してくれ……」
「説明って、言った通りよ! アンタに斬られたから帰ってきて家で休んでるだけ! なんでそんな事、何回も説明しなきゃいけないのよ?」
彼女はイラつきと呆れが混ざったような態度で話しているが、やはり信じられなかった。
「ララティア、俺は確かにベルガドーラの体を斬り裂いたんだ、それで生きてると言われても信じられる訳が……」
「なに言ってるの!? 斬られたくらいで死ぬ訳ないじゃない!」
「……はい?」
俺は当たり前のように言われた事に、理解が追いつかなかった。
「だが、俺は確かに聞いた! 魔王ベルガドーラの最期の言葉を!」
『見事だ……我は戻ってくる……待っていろ……』
あれは間違いなく、死の間際に魔王が残した言葉だった。
しかし、ララティアから返ってきた言葉は予想外のものだった。
「ああ、それね! アタシもお母さまから聞いただけだけど、本当はこう言ったのよ!」
『"見事だ"勇者、お前やるな! これなら娘の婿に相応しい! 娘を連れて"我は戻ってくる"から、楽しみに"待っていろ"!』
「………………はぁ!?」
俺は一瞬、なにを言われたのか理解できず、間抜けな声を上げて反応してしまう。
すると陛下が、ララティアに質問をするため、会話に割って入ってきた。
「娘よ! 本当にそれだけの理由で、侵略行為をやめて帰ったと言うのか?」
(そうだ! 魔王は突如人間界に現れ、セレーネを城の奥に閉じ込めて……アレを閉じ込めていたと言っていいのか……とりあえず、そんな事をしていたんだ! 納得いかない!)
しかし、また俺たちの考えとは予想外の言葉が、ララティアから返ってきてしまった。
「侵略ってなんの事よ!? お父さまはバカンスで人間界に行ってただけよ!」
「なん……だと……?」「なん……じゃと……?」
そこへイリーナとミリスが戻ってきたが、ララティアの前で俺と陛下が倒れるように体を崩したのを見て、2人に緊張が走った。
「クロードさま!? 叔父さま!? 貴女! お2人に何をしたのですか!?」
そう言って彼女は、どこからともなくメイスを取り出した。
「えっ!? 何って、聞かれた事に答えたら勝手に倒れたのよ! ってなんでアタシ、いつの間にロープで縛られてるの!?」
「イリーナ、ミリス……俺たちなら大丈夫だ……」
俺は改めてララティアに向き直し、質問を続けた。
「ララティア、お前はバカンスだと言っていたが、魔族は俺たちと20年以上戦争してたんだぞ! それはどう説明するんだ?」
「どうって、魔族にとって戦いは挨拶みたいな物よ!」
「なっ!? 殺し合いだぞ!? お前らの仲間もたくさん死んだはずだ!」
「魔族にとって、戦って死ぬなら本望よ! 誰も恨んだりしないわよ! てか、先に喧嘩売って来たのアンタたちでしょ?」
「それは、お前たちが女神を封印したからで……」
「それよ! なんで、アタシたちが女神を封印した事になってるのよ!?」
ララティアの問いに、部屋の誰もが言葉を失ってしまった。
「な、何を言っているんだ? 魔王が人間界に城を建てて、そこに女神を封印したんだろ?」
「あれは城じゃなくて別荘よ! あとどうやって女神を封印するのよ!? アタシら魔族にそんな魔法ないんだけど?」
彼女に質問をすればするほど、衝撃の事実が返ってきて、俺は目眩がしそうだった。
俺のその様子を見て、彼女たちが心配して駆け寄ってきた。
「クロード大丈夫? 膝枕しようか?」
「ああ、大丈夫だクレス、ありがとう……」
「ちょっと心配させないでよ! 何かして欲しいことある?」
「すまないルーシェ、もう少し頑張ったら考えるよ」
「クロードさま、治癒は必要でしょうか?」
「ああ、効くかわからんが頼む」
「お兄ちゃん、紅茶飲まれますか?」
「そうだな……ミリス、お願いできるか?」
「クロっちぃ、大丈夫ぅ? おっぱい揉んどくぅ?」
「リアラか、それもいいな……うん??」
彼女たちの問いに、一つ一つ返していたつもりだが、1人多いしおかしいのがいた。
するとララティアが、大きな声を上げて話し出した。
「ちょっと、リアラ! どこ行ってたのよ!? ワープが使えないし、説明してよ!」
「よっすぅララちー、ごめんごめ~ん! ちょっとお説教タイムだったんよ〜」
そう言って、システム処理が行われて以降、姿を見せていなかったリアラが現れた。
ということは……
(セレーネ! いるんだな?)
「はいは〜い! いやぁ、ちょうど今戻ってきたところですよぉ〜、もう聞いてくださいよ! リアラのせいで大変だったんですから!」
そう言ってセレーネが、いつもの調子で現れた。
リアラの事で文句を言いたそうにしていたが、俺はそれを無視して彼女に事の真相を問い詰めた。
(セレーネ、質問がある……お前が魔王城に封印されていた時の話だ!)
「……あぁ〜……」
俺の言葉に、何かを察したセレーネは、どこか気まずそうな様子だった……
――ララティア編 ユダ 完――
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