ララティア編 想いだけ強くて……
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――セレンディア城 談話室――
『魔王の娘』の乱入、『空間の女神』の登場、そして魔王ベルガドーラの存命に、俺の頭の容量は限界を迎えていた。
(とりあえず、一つずつ解決しよう……まずは目の前の2人の対処だが……魔王の娘はともかく、女神の方は敵なのか?)
「おい、そっちの女神、お前は……」
「リアラだし! お前呼びも失礼じゃない? 普段からそんな呼び方してると、嫌われるよ?」
「……め、女神リアラ、1つ問いたいのだが、そちらに戦闘の意思はあるのか?」
「クロっち、固いってぇ! まぁいいや! さっきも言った通り、ウチはララちーのマミーからお願いされて、付き添いで来ただけだよ!」
(コイツはコイツで調子が狂うし、やりづらいが、敵ではないって事だな……)
リアラに敵意がない事を確認した俺は、その隣にいる魔王の娘に視線を移して、話しかけた。
「魔王の娘よ! 待たせたな! 俺はまだ戦え……」
「ララティア!」
「るぞ!……えっ!?」
「さっき名前言った! なのにアタシの事も、お前お前って、失礼だと思わないの!?」
「いや、お前こそ俺の事、アンタ呼ばわりしてただろ?」
「うー、じゃあ、アタシもクロっちって呼ぶから、アンタもララティアってちゃんと名前で呼びなさい!」
「ま、待て、ララティア! その呼び方は、やめてくれ!」
「えー、じゃあクロード?」
「それで、お願いします……」
仕切り直すと、また話が変わってしまい、俺は完全に調子を狂わされてしまっていた。
しかし、早くララティアを撃退しなければ、騒ぎを聞きつけた騎士たちが犠牲になってしまうかもしれない。
だから早々に決着をつける必要があった。
「ララティア、気を取り直して戦おう……俺にはこの後やる事があるんだ!」
「やる事? それってコイツらの手当の事?」
「ああ、そうだな……ついでに見合いの最中なんだ……だからすぐに終わらせてやる!」
そう言って俺は、刺突の構えを取り、足に力を込めた。
そしてララティアは周囲を見回すと、不敵な笑みをもう一度浮かべて、俺に言い放った。
「いいわ! そのお見合い、アタシも参加するわ!」
「……はいぃ?」
俺はララティアの予想外の返答に、間抜けな声を上げていた。
「だからー、アタシもそのお見合いに参加するって言ってるの! もちろん! アタシがアンタを持って帰るのは、決定してるけど!」
「ま、待て、ララティア! それは……」
俺がララティアに言い返そうとした、その瞬間――
【追加コンテンツの発生を確認いたしました。情報処理を行います。しばらくお待ちください。】
何度も聞いたはずなのに、聞いた事のない内容が、俺の頭の中に響いてきた。
そして俺とセレーネ、目の前の女神リアラを残して、世界が停止した。
「セ、セレーネ! これって……」
「わ、わかりません! スキルが何かやらかしてるのは、わかりますが、何が起きてるのか……」
「何これ〜? みんな止まっちゃったじゃん! 今ならやりたい放題じゃね?」
停止した世界の中で、三者三様の反応を見せたが、また例の声が聞こえだした。
【追加コンテンツ:『ララティア』に関する重大なエラーが検出されました。現時点でセーブを行います。各ヒロインの身体に重大なダメージを検出しました。セーブポイントの修正を行います。セーブポイントを設定しました。システム処理終了後、セーブポイントに強制ロードいたします。システム処理が完了するまで、しばらくお待ちください。】
「なんだ! 何が起きてるんだ!?」
事態が飲み込めず、俺が戸惑っていると、何かに気付いたセレーネが、リアラを問いただした。
「重大なエラーって……ちょっとリアラ、アナタもしかして、その子にスキルを与えたの!?」
「うん! あげたよ〜……だって、ワープしないとクロっちのところいけないじゃん!」
「なっ!? ちなみにワープってどんなスキルですか?」
「えっ? 行きたいところに行けるスキルだけど?」
「アナタ! バカなんですか!? そんなチートスキルを与えたら、システムバグだと誤認して大変な事になるでしょう!」
「もう、相変わらずセレっちはうるさいなぁ……つまり、アタシがララちーにあげたスキルと、セレっちがクロっちにあげたスキル同士でケンカしてるって事でしょ? でも、いい感じにしてくれそうじゃん!」
「あぁぁぁ!! 怒られる! 絶対に怒られるやつぅぅぅ!!」
「ちょっと、セレっち、どうしたの? マジウケ〜!!」
頭を抱え込んで悶えるセレーネの様子を、リアラが腹を抱えて笑っている。
その様子を見た俺は、理解が追いつかず、ただ立ち尽くしていた。
そして、また声が聞こえた。
【システム処理が終了しました。追加コンテンツ:『ララティア』を確立させるため、セーブデータの修正及びスキルのアップグレードを行います。しばらくお待ちください。】
「お、おい! セーブデータを修正するって、それにスキルのアップグレードって何だ!?」
「すみません、クロードさん……もう私でも何が起きるのかわかりません」
「なっ!?」
セレーネの言葉に、俺は絶望の混じった声を出してしまった。
セーブデータが修正されたら、今までの彼女たちとの関係はどうなる?
クレスと共に歩む世界・イリーナと普通の恋人になる世界・ルーシェのわがままを聞いてやる世界・ミリスをいっぱい幸せにしてやる世界、その全てがなかった事にされるのか?
そんな不安を抱き、俺が次の声を待っていると、その声はすぐに聞こえた。
【スキル『セーブ&ロード』をアップグレードいたしました。新スキル『強くてニューゲーム』に変更いたしました。これにより、全てのセーブデータを処理後のセーブデータに統合いたします。スキル使用時の引継ぎ内容は、クロードの記憶・各ヒロインの感情値・各ヒロインの攻略状態になります。システム処理が正常に終了いたしました。一定時間後もしくは、任意のタイミングでロードが開始されます。】
「な、なあ……今さらっとやばい事言ってなかったか?」
「うえっ!? すみません、この後の事が怖くて、何も聞いてませんでしたぁ〜」
「あははっ! ごめ〜ん! ウチも聞いてな〜い!」
俺は今起きた事を、女神たちに説明する気になれなかった。
だが、もうやり直すしかないという、先ほどとは別の絶望を抱きながら、いつものように頭の中でスキルを唱えたのだった。
(……ロードしてくれ)
【スキルの使用を確認いたしました。セーブデータをロードします】
この先に待ち受ける地獄を、俺は生き残る事ができるのだろうか?
そんな不安を抱きながら、俺の視界は真っ白になっていく……
――ララティア編 想いだけ強くて…… 完――
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