?リス編 溶けた影を探して
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?リス編
【溶けた影を探して】
お楽しみください。
――セレンディア城 西の塔 リビング――
それから俺は何度もロードを繰り返して、ミ◎スの隠れる瞬間を防ごうとするが、何度やってもミリ◆を見失ってしまった。
何度も何度も何度も何度もロードしてロードしてロードして、ミ??を見た瞬間に、彼女のことを思い出して手を伸ばすが、その遅れが???を失う要因になってしまう。
「クロードさん! もうやめましょう! 別の手を考えるべきです!」
「いや! あとちょっとなんだ! あと少し反応を上げれば、あの子に……手が届くんだ!」
もう名前さえ思い出せない女の子に、俺は必死に手を伸ばしていた。
あの子は誰なのか? わからない……けど、戻ったときにほんの一瞬見えるあの子の顔は、泣きそうなくらいに笑っていたんだ……
「落ち着きなぁぁぁさいっ!!」
「グフッ!?」
目の前にセレーネが急に現れたと思うと、俺は急激な腹部の痛みに悶えて、両膝を突いて座り込んでしまった。
何が起きたのかわからず、必死に彼女の方を見ると、セレーネは謎のポーズをとって立っていた。
「そして時は動き出す……」
「お前……何しやがった……?」
「説明する暇ありません! 伝わる人に伝わればいいんです! そんなことより次の手を打ちますよ!」
「つ……次ぃ……?」
俺は、腹部の痛みを必死に堪えて、セレーネの言葉の意味を聞き返していた。
「そうです! 思いだしてください、忘れてるなら必死に記憶を辿ってください! ミリスさんと話してるときのことを!」
「ミ……リス……何を、話した?」
その名前を口にしたとき、ほんの少しだけ……記憶がよみがえる……
『砂糖はいくつ入れる?』『2つ……3つで……』『……なんで記憶を……』『……イリーナさまですか?……』『……女神さま……かな……?……』『……だってアナタは勇者さまですから……』
「……そうだ、イリーナだ! イリーナなら何か知っているかもしれない!」
「はい! ミリスさんはイリーナさんの侍女をしてるんです……ならイリーナさんは少なからず何か知っているはずです!」
俺は無理矢理体を起こして、西の塔を飛び出すと、イリーナたちがいる東の塔へと駆け出した。
(早く! 急ぐんだ! 頭の中から彼女が消える前に、△リスが消える前に!)
西の塔から、本城へ、本城から東の塔へと向かう間、俺は必死に○リ□のことを想いながら走った……
そして、東の塔への入り口に着いた俺は、その扉を思いっきり開いた。
「イリーナ! 話が……」
そこには……クレスとイリーナとルーシェの3人が、着ていたドレスを脱いで着替えようとしている姿があった……
3人とも脱ぎかけのドレスでなんとか大事なところは……
「ブルーレイ&DVDでは、ドレスがもっと下に!? 20XX年発売! この次も、サービス、サービス〜」
3人の悲鳴(歓声?)と共に、俺の意識は途絶えた……
……目を覚ますと、そこには知らない天井があった……
「あっ! クロードが起きた! 大丈夫? つい毒針を投げちゃったけど、まだどこか痛む?」
「おはようございます、クロードさま……着替え中に入って来られるなんて……何かに目醒めてしまいそうです!」
「アンタ……ノックもしないでどういうつもりよ? おかげで爆破しちゃったじゃない!」
俺の目覚めに反応して、3人が話しかけてきた。
「……ここは……リビングか?」
自分のおかれた状況に、段々と頭が追いついてきたが、どうしてもわからないことがあった。
「すまない……なんでこんなことしたのか……思い出せないんだ……」
「思い出せないの?」
クレスが短く俺に問い返す。
「おおかた、理性が吹っ飛んだんじゃないの?」
ルーシェが呆れたようにつぶやく。
だがイリーナだけが、俺の言葉に何かを感じ取り、少しの間考え込むと、俺に問いかけた。
「クロードさま……もし、わたくしの勘違いならそれで構いません……わたくしの侍女……ミリスのことで来たのではないでしょうか?」
イリーナの問いに、俺は忘れそうになっていたミリスのことを、思い出した。
「そうだ! ミリスだ! イリーナ、聞かせてくれ! あの子はなん……で……?」
……何を聞けばいいのか、俺は思い出せなかった。
「クロード、ミリスちゃんがどうかしたの?」
「そういえば、また急にいなくなったけど、あの子どこに行ったのかしら?」
ミリスの何を聞きたかったのか、言葉を詰まらせていると、クレスとルーシェが話しだし、俺が不思議に思った。
「クレスとルーシェは覚えてるのか? ミリスのことを?」
「覚えてるのか、て何言ってるの?」
「さっきので頭でも打ったかしら?」
やっぱり、クレスとルーシェはあの子のことを覚えている……なら!
「……残念ながら、お二人が覚えているのは、わたくしの侍女であるということだけです」
俺の期待をさえぎるように、イリーナが話しだした。
「お二人にも、ミリスが共に旅をしていた記憶は残っておりません」
その言葉に、俺が問い返す前に、クレスとルーシェが口を開いていた。
「イリーナ、どういうこと? 一緒に旅をしていたって……」
「"みんな"が言っていたことって、このことね! 説明……してくれるのよね?」
ルーシェの言葉に反応して、彼女の周りを精霊が飛び回っていた。
『やっとわかった〜』『みんないっしょだった〜』『おもいだした〜?』
そして俺も、イリーナに彼女のことを……思い出さないといけない、あの子のことを問いただした。
「イリーナ、教えてくれ! 俺は誰を……大事な何を忘れているんだ!」
全員の視線がイリーナに集まり、彼女は一度だけゆっくりとまばたきをして、俺たちに語りだした。
「わかりました……わたくしも知らないことがほとんどですが、可能な限りをご説明いたします……」
そしてイリーナは、言葉を紡ぎだした。
昔、スラム街で出会った、ある少女のことを……
――溶けた影を探して 完――
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▼次回予告
ミリス編
『聖女と影のお話』
明日 21時 投稿予定です!!




