✕◆ス編 1人、たりない
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✕◆ス編
【1人、たりない】
お楽しみください。
――スロット1 ロード後 談話室前――
「着いたぞ! ここが目的の部屋だ」
聞き慣れた台詞に、俺は目を開け、すぐさま陛下に声をかけた。
「陛下、大変申し訳ありません、少し気持ちを落ち着かせて来ます!」
そして陛下の言葉を待たずに、俺はその場から歩き去った。
「ク、クロードよ! そんなには待てぬぞ!」
陛下の言葉を背に、俺はただ足早に内庭へと急ぎ、ベンチに座ると頭を抱えてしまった。
「クロードさぁん! いったい何があったんですか!? まるで奇行種みたいな動きになってますよぉ〜」
「セレーネ……あ……ありのまま、今起こったことを話すぞ……」
「お、おう……まさか、天然でその台詞を聞けるとは……」
「俺は確かに、4人目の攻略をするために、あの部屋に入ったんだ……けどよぉ、4人目っていったい誰なんだぁ!? なんで俺は、4人目を忘れてるんだよぉぉぉ!?」
「お、落ち着いてください、クロードさん! 言い回しが奇妙ななにかに引っ張られてます! 戻ってきてください!」
セレーネは俺を落ち着かせると、なにが起きているのか、再度確認してきた。
「いいですか、落ち着いて聞いてください……私は、クロードさんに4人目の子の攻略に行こうと話をしています……ここまでは良いですか?」
「あ、ああ……そこまでは、俺も覚えてるんだ!」
「なるほど……それで、クロードさんが『誰のこと?』なんてふざけたことを言っていたので、思い出すように促します」
「それも覚えてる……」
「そして実は! 4人目のヒロインは『私』でした! ……という衝撃の事実が……」
「いや、それはありえん! ありえたとしても、俺は拒絶する!」
「……なるほど、本当にそこだけの記憶が抜けてるのですね……」
「いや、本当でも俺だったらそうする!」
そして、セレーネがなにかを考え込んでいる。
いったいなにを考え込んでいるのだろう……ん?
「なぁ、セレーネ……俺たちはなにを話してたんだっけ?」
「……えっ?」
「だから、俺たちはなんでここで話し込んでたんだっけ? わざわざロードし直したりして……」
「……もしかして……クロードさん! 覚えてること……『今あったこと』を教えてください!」
なぜかセレーネが、険しい顔で俺に問いただしてきた。
「な、なんだよ急に!? えっと……クレスとイリーナとルーシェの3人の攻略が終わって、それからここで色々話してから談話室に行ったけど、なぜかロードし直してここにいるんだろ?」
「……色々話した内容を覚えてますか!?」
「えーっと、誰を選べばいいんだって悩んだだけだろ?」
「その後です!」
「その後って、べつになにも話してないだろ!」
「……マジか!?」
俺の答えに、セレーネが驚愕したような態度を取るが、なにかあったのだろうか?
「なぁセレーネ、本当になにがあったんだ?」
「……ステータスを見ても異常がないってことは、呪いの類いではない……だけど彼女に関連する記憶だけが……でも、一気に忘れるんじゃなくて、直接的な物から消えてる?」
よくわからんが、セレーネがぶつぶつとなにかを言っているから、邪魔しないほうがいいのだろうか?
「クロードさん!」
「は、はい!」
急に大きな声でセレーネに呼ばれたせいで、反射的に、礼儀正しく返事をしてしまった。
「理由は後で話します! もう一度、談話室に行きましょう!」
「いやいやいや、談話室に入ったら誰と結婚するか選ばなきゃならないんだぞ!?」
「大丈夫です! 私が合図したら、またここへ引き返してください!」
「ああ、そうか戻ってくればいいのか」
「そうです! だからもう一度だけ、談話室に入りましょう!」
いまだになにが起きているのかわからないが、セレーネがどうしてもと言うなら仕方ない。
俺はそう思って、陛下の待つ談話室前に戻ってきた。
「おぉクロードよ! 準備はいいのか?」
「はい! お待たせして申し訳ありません、もう大丈夫です!」
「うむ! では、参ろうか!」
俺の返事に満足した陛下が、扉の騎士たちに目線を移して頷くと、彼らが談話室への扉を開いた……
談話室の中には、見慣れた仲間たちの姿があった。
「遅い! クロードのことみんな待ってたんだよ!」
部屋に入って早々に俺を叱責するクレス。
「クロードさま、お待ちしておりました……どうぞこちらにおかけください」
俺を隣に座るように促すイリーナ。
「いつまで呆けてるの? そのっ……テーブルのクッキー……美味しいわよ……」
言葉を詰まらせながら話すルーシェ。
ここにいる彼女たちは知らないけど、俺はそれぞれのルートで、彼女たちと心を通わせることができた。
俺は彼女たちとの思い出を噛み締めつつ、後ろにいるセレーネに視線を移した……のだが……
「うげぇ〜、これ本当に天然? 邪神かなにかに付与されてないの!? でも、邪神の加護はないしやっぱり天然!?」
(お、おい! なにを、ぶつぶつ言ってるんだ!?)
「……クロードさん、確認ですがこの部屋に今『何人』いますか? 私や陛下も含めてですよ!」
「なに言ってんだ? 『6』人だろ?」
「……クロードさん、ありがとうございます、戻ってください……」
(? ああ、わかった……スロット1をロード)
【スキルの使用を確認しました。スロット1のセーブポイントをロードします】
その声と共に、俺の視界が真っ白になっていくなか、セレーネの声が聞こえた。
「これ、攻略するの無理じゃね?」
なんとも無責任な……そう思ったのを最後に、俺の意識は途絶えた……
――み◆ス編 1人、たりない 完――
最後までお読みいただきありがとうございます。
たまに起きる数え間違い、でもそれって本当に間違いですか?
実は本当にそれはそこにあって、アナタがそれを見てしまっただけかも知れません……知らんけど。
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▼次回予告
■◆▽編
『影に溶ける少女』
明日 21時 投稿予定です!!




