???編 だれをさがしているの?
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新章:やり直し勇者と影に溶ける少女
【だれをさがしているの?】
お楽しみください。
――スロット1 ロード後 談話室前――
「着いたぞ! ここが目的の部屋だ」
聞き慣れた台詞に、俺は目を開ける。
そこは、見合いを始めるための談話室前だった。
クレス、イリーナ、ルーシェの3人の過去を知り、そして愛を深めていった。
だから俺はここへ戻って来た。
「陛下、大変申し訳ありませんが、部屋に入る前に気持ちを落ち着かせて来てもよろしいでしょうか?」
「ふむ……いささかことを急かし過ぎたかな? よかろう、直ぐそこに内庭がある、そこで気持ちを落ち着かせるが良い……ただ部屋のなかに人を待たせているのでな、そんなには待てぬぞ?」
「ありがとうございます……」
俺は談話室の前から離れると近くにあった内庭へ足を運び、ベンチに腰掛けると頭を抱えた。
「どうしよう! みんな、めっちゃ俺のこと大好きだし! てか、俺も何だかんだアイツらのこと大好きじゃん!」
「いやぁ〜、呼吸をするように愛の言葉をささやいてましたねぇ〜、見事な女っタラシぶりですぅ〜」
「……だよなぁ……」
俺は自身の節操のなさに辟易していた。
「まぁまぁ、クロードさん! まだ次の子がいるんですから、気を取り直していきましょう!」
「ああ、そうだな………………うん? 次の子?」
「はい! 次の子で最後なんですから頑張りましょう!」
「…………」
「…………あれ?」
セレーネの発言を俺はまったく理解が出来ずにいた。
「いやセレーネ、何を言ってるんだ? もう全員の攻略は、とりあえず終わっただろ!」
「いやいやいや、何言ってるんですか!? あと1人残ってるじゃないですか! えっ!? まさか、好みじゃないからアウトオブ眼中、的な!?」
「お前は、何を言ってるんだ! 俺のパーティはクレスとイリーナとルーシェと俺の4人……だ……ろ?」
セレーネに仲間の人数を説明するのだが、俺はなぜか違和感を覚えて、言葉が詰まってしまった。
「えっと、クロードさんガチで言ってます? それはさすがに人としてどうかと思いますよ? いつもクロードさんに、熱い視線を向けてたのに……」
「まっ、待ってくれ! なにか……なにか思い出しそうなんだ……」
そして俺は、あの日のことを思い出す……魔王討伐を果たしたあの日……俺はクレスに後ろから抱きつかれ、ルーシェと約束を交わし、手を借りながら歩いてくるイリーナに治療を……手を借りて? 誰に?
ぼんやりとした記憶のなかから、薄っすらと見えるイリーナの隣を思い出すと、メイド服を着た少女が浮かび上がって来た。
「……いた……よな……? イリーナの隣に……誰か……」
「そうです! 『ミリス』さんですよ! 【記憶回想】で知りましたけど、旅の最初から一緒でしたよね? なのに忘れるって薄情にもほどがありますよ!?」
「いや……自分でも驚いてるよ……でも言われるまで本当に忘れていたんだ……」
俺は自身の頭を掻きながら、正直に答えた。
「しかし、見合い相手はあの3人だろ? なら侍女の子と接点を作る必要性があるのか?」
「ミリスさん! ですよ! 名前もちゃんと覚える! せっかく自分のことを想ってくれてるんですから、そんなこと言わないでさっさと攻略しますよ!」
「わ、わかったから引っ張るな!」
セレーネに引っ張られるように、談話室前に戻ってきた俺に、陛下が声をかけてきた。
「おぉ、クロードよ! 戻って来たな、準備はいいな?」
「あっ、はい! いけます!」
陛下の問いに慌てて答えると、陛下が扉の前にいる騎士たちに目線を移してから軽く頷き、彼らは談話室の扉を開いた……
談話室の中には、見慣れた仲間たちの姿があった。
「遅い! クロードのことみんな待ってたんだよ!」
部屋に入って早々に俺を叱責するクレス。
「クロードさま、お待ちしておりました……どうぞこちらにおかけください」
俺を隣に座るように促すイリーナ。
「いつまで呆けてるの? そのっ……テーブルのクッキー……美味しいわよ……」
言葉を詰まらせながら話すルーシェ。
ここにいる彼女たちは知らないけど、俺は個別のセーブから彼女たちと心を通わせることができた。
そして、俺は次の子の攻略に挑むところだった。
(さて、本題はここからだな……どうやっ……て………………あれ?)
その瞬間――俺は思考が停止し、その場で立ち尽くしてしまう。
「うん! どうしたクロードよ! 早く席に着かんか!」
俺の様子に気付いた陛下が、着席を促してくる。
「そうですよクロードさん! 早く次の攻略を始めますよ!」
それに呼応するようにセレーネが俺を煽ってくる。
だが俺は、その場で立ち尽くすことしかできなかった。
「ちょっと、クロードさん! どうしたんですか!? お腹でも痛いんですか!?」
(違う! そうじゃないんだ! そうじゃないんだけど……)
セレーネの問いかけに心のなかで必死に答えるが、俺は自身の身に起きたことが理解出来ずに困惑していた。
(教えてくれセレーネ……俺は……俺は……誰に会いに来たんだ……? そもそも、なんで今ここにいるんだ……?)
「えっ……?」
(スロット1をロードする!)
「ちょっ!? クロードさん!?」
俺は訳がわからなくなり、とっさにロードのスキルを使っていた。
【スキルの使用を確認しました。スロット1のセーブポイントをロードします】
スキルの声がした後、視界は真っ白になっていく。
俺は、なにも思い出せなかった……
――だれをさがしているの? 完――
最後までお読みいただきありがとうございます。
ついに始まりました、✕▽ス編!
恋愛ゲームでいう『隠れヒロインルート』になります。
……ところで私は、だれの話をしていたのでしょうか?
本作を気に入った!続きがちょっと気になる!【ホラー味を感じた】ってなったら
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▼次回予告
✕◆ス編
『1人、たりない』
明日 21時 投稿予定です!!




