ルーシェ編 無垢な少女は、無邪気に狂う
いつも読みに来てくれてありがとうございます。
ルーシェ
【無垢な少女は、無邪気に狂う】
お楽しみください。
――ルーシェ 魔術塔 私の部屋――
今日は、お父さまが部屋に来なかった。
お父さまは、高名な精霊術師さまだから、忙しい人だから、来れない日がある。
「……お腹空いたなぁ……」
だからそんな日はご飯が食べられないから、お腹がさみしくて辛い。
「明日は、お父さま来てくれるかな? 次の課題も終わってるから、褒めてくれるかな?」
私は空腹を紛らわせるために"みんな"に話しかける。
いつもそばにいて、お父さまの出す課題を手伝ってくれる"みんな"に、明日のことを相談した。
「えっとね! 明日は、風を使って私を浮かせるの! それでね! お父さまや周りの物も一緒に浮かせたら絶対喜んでくれると思うんだ!」
私はお父さまが喜んでくれるように、出された課題以上のことをやろうと思って、明日を待った……
そして次の日、お父さまは私の元に来てくれた。
だから、お父さまに喜んでほしくて、精一杯頑張った。
「誰が、こんなことをしろと言った!?」
でも、私が余計なことをしたから、お父さまを怒らせてしまった。
「ごめんなさい、お父さま! もう勝手なことはしません! ごめんなさい、言われた通りにします!」
今日はパンとお水だけ渡されて、お父さまは帰ってしまった。
「ごめんね"みんな"、私が余計なことしたから、お父さまを怒らせちゃった……」
私は手伝ってくれた"みんな"に謝り、パンとお水を持って部屋の隅に移動した。
そこには、昔から置いてあるぬいぐるみの山があって、私はそこが大好きだった。
だって覚えてないけど、これはお父さまが私のために用意してくれた物だと思ったから。
「あっ、お水があんまり入ってない……お父さま、入れ忘れちゃったのかな?」
私は仕方なく"みんな"にお願いして、皮袋にお水を入れてもらう。
「ありがとう! いただきます!」
口にしたパンは冷たくて硬くなっていた。
だから私は"みんな"にお願いして、パンを温めてもらう。
温まったパンからは、いい匂いがして、とても幸せな気持ちになった。
でも気を付けないと……前に同じことをして、勢いよく全部食べちゃったら、お父さまが次の日来なくて大変だったから。
「お父さまを怒らせちゃったから、明日は来ないよね? だからゆっくり食べないと……」
だから私は、ちょっとずつパンを口にして、何度も何度も噛み締めてからパンを飲み込んだ……
次の日、やっぱりお父さまは来なかった……
「お父さま、今日はやっぱり来なかったなぁ……明日は来てくれるかな?」
私は、"みんな"に明日のことを聞いてみると、"みんな"から答えが聞こえた。
「来させるよ!」「来させようか?」「わかった!」
「えっ? 今のは……?」
私はその声の意味が気になったが、重くなった体がそれを拒み、目を閉じてしまった……
次の日、お父さまが来てくれた。
「今日の成果を見せなさい……」
「はい! お父さま!」
私は、出された課題をお父さまに披露した。
『火の玉を同時に10個以上作れ』『水の塊を作ってから凍らせろ』、課題が2つだったけど、どちらもしっかり成功させた。
だから今日は、パンとお水をくれるだけじゃなくて、頭に手を置いてくれた……
…………だから今日は、パンとお水をくれるだけじゃなくて、頭に手を置いて(撫でて)くれた!
…………だから今日は、パンとお水をくれるだけじゃなくて、頭に手を置いて撫でてくれた!
「"みんな"ありがとう! でもどうして、お父さま来てくれたのかな?」
私の質問に、"みんな"の声が聞こえた。
「来させたんだよ!」「来いって言ったよ!」「明日も呼ぶ?」
「やっぱり! "みんな"がお父さまを呼んでくれたんだ! ありがとう!」
私は、"みんな"がしてくれたことの意味をまだちゃんと理解していなかった……
次の日も、お父さまは来てくれた。
いつもみたいに温めたパンを食べながら、昨日の"みんな"の言葉が気になって、私は"みんな"に質問してみた。
「ねぇ"みんな"、どうやってお父さまに来るようにお願いしてたの?」
「命令したんだよ!」「来いって言ったよ!」「強制したんだよ!」
"みんな"の言葉はいつも単調でわかりづらい。
「う〜ん、よくわかんない……もっと教えて!」
「守らせたんだよ!」「言うこときかせたんだよ!」「ルーシェもできるよ!」
『私にもできる』、その言葉に私は目を輝かせた。
「本当!? 私にもできるの!?」
「できるよ!」「簡単だよ!」「教えてあげる!」
「うん! 教えて! "みんな"ありがとう!」
私は、お父さまと毎日会えるかもしれない期待に胸を膨らませ、"みんな"の話を何度も聞いていた。
そう、何度も、何度も、何度も、何度も、なんども、なんども、なんども、なんども、なんども、なんども、なんども、なんども、なんども……
そして、次の日。
「さあ、課題の成果を見せなさい……」
お父さまがいつものように、課題の成果を私に促すけど、私はそれに応えず、お父さまにお願いをした。
「お父さま、その前にお願いがあります!」
「……なんだ?」
お父さまに許しをいただいた私は、"みんな"が教えてくれた通りのことをしてみた。
「お父さま……【【【お願いを聞いて】】】」
私がそれを口にした瞬間――お父さまの体が急にビクッと反応して固まると、膝から崩れ落ちた。
「これは!? 呪詛か!? いや、もっと強力な……なんだ!? 私になにをしたぁぁぁ!?」
「やった! やりました、お父さま! "みんな"が教えてくれたんです! えっと……なんだっけ?」
「従属だよ!」「奴隷だよ!」「隷属だよ!」「支配だよ!」
「えっと……支配?」
「そんな……まさか? こんなことが……」
「それよりお父さま! お願いがあります!」
私はお父さまに、ずっとずっと言いたかった、お願いを言葉にした。
「お父さま! 抱きしめてください!」
するとお父さまが、ぎこちない動きで私の元に来ると、その体で私を包み込むように抱きしめてくれた。
「……嬉しい! 大好きです! お父さま! ずっとそばにいてください!」
私は嬉しさのあまり、涙を流してお父さまの首に抱きついていた。
そして、お父さまが小さな声でなにかをつぶやいていた。
「……この化け物め……」
――ルーシェ編 無垢な少女は、無邪気に狂う 完――
最後までお読みいただきありがとうございます。
どうして狂った子を書く時って、こんなにも楽しいのでしょう……
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▼次回予告
『歪みを正す者たち』
明日 21時 投稿予定です!!




