表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やり直し勇者は溺愛される ~魔王を倒した勇者ですが、平和の代わりに元仲間たちとのお見合いが始まりました~  作者: 希月タカトラ
やり直し勇者と糸を編む少女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/70

ルーシェ編 契約書

いつも読みに来てくれてありがとうございます。


ルーシェ編

【契約書】


お楽しみください。


 ――セレンディア城 西の塔 リビング――


 

 ルーシェの慟哭が部屋中に響き渡ったあと、彼女が静かにポツリと喋り出した。

 

「ごめんなさい……もう寝るわ……ベッド、借りるわね……おやすみなさい……」

 

「あ、ああ、おやすみ……」

 

 そして彼女は、リビングを後にして、寝室へと向かってしまった。

 俺は、その後ろ姿を無言のまま見送ると、少ししてから大きく息を吐き出して、テーブルに突っ伏した。

 

 俺は体勢を変えるのも億劫に感じ、その姿勢のままセレーネを呼び出した。

 

「セレーネ、聞こえるか?」

 

「はいはい、聞こえてますよぉ! いやぁクロードさん、綺麗に地雷を踏み抜きましたねぇ〜、あっぱれです!」

 

 彼女の茶化しを無視して、俺は体を起こすと、セレーネに質問した。

 

「地雷? って、要は根底にある何かってことだよな?」

 

「……あぁ、そうですね! 地雷を踏むってのは、誰にでもある、簡単に触れてほしくない部分に不用意に触れることです! まぁ今回はその認識でもいいと思います」

 

「それで出てきたのが、この契約書の束ってことか……」

 

 そう言って俺は、渡された契約書に目を通した。


『寝るときは一緒・朝はおはようの挨拶をする・朝食は一緒に食べる・出かけるときは一緒、もしくは見送りの挨拶をする・出かけるときは手を繋ぐ、もしくは腕を組んで出かける・仕事に行くときはお弁当を持って行く・お弁当の感想は毎回言う・1日5回は愛を伝える、または抱きしめる・5日に1回は一緒の時間を過ごす・夕食は一緒に食べる・お互いのことは名前で呼ぶ・お風呂は一緒に入る・寝る前に一緒に過ごす時間を作る………………………………夜の営みは必ず合意の上で行う・我慢ができなければ相談する・上記の内容を守れない場合は、事前の許可を得る・浮気したら死と魂の消滅をもって執行する』

 

「なんか、最後の方……すげぇこと書いてあるんだけど……」

 

「そうですねぇ〜、乙女な気持ちで書き出して、ちょっと大胆な気持ちも出ちゃったけど、最後にヤンデレな本性が剥き出しの3進化○ケモンみたいですねぇ〜」

 

「よくわからんが、もうこれ以上は出てこないってことだな……」

 

「いえ、あと1回……進化することができます」

 

「……何……だと……!?」

 

 本気なのか冗談なのかわからないセレーネの発言に、俺はただ振り回されるだけだった。

 

「正直、わかりませんよ! ダイ○ックスになるかもしれないし、【BAN解】するかもしれません!」

 

「すまん! そろそろ本当に何言ってるか、わからないんだが!?」

 

「……すみません、今回心なしか出番が少ない気がして、ここぞとばかりに、はしゃぎ過ぎました……」

 

「そ、そうか……」

 

 俺はまた違う疲れを感じて、もう一度大きく息を吐いて、改めてセレーネに質問した。

 

「こんな契約書を作るって、どんな心境なのか、お前にはわかるか?」

 

「……うん? クロードさん、わからないってことですか?」

 

 俺の質問に対して、セレーネは意外という反応をして、俺に問い返してきた。

 

「いや、わからないから聞いてるんだが……」

 

「はぁ……いいですかクロードさん! 契約書で縛るなんてする子は、だいたい自己肯定感が低いんですよ! あっ! これは個人の意見です!」

 

「お、おう……」

 

「そして! この契約書! ちょっとメモか何かありますか?」

 

 セレーネの問いに俺は、隅にあるチェストの上にあるメモ帳を彼女に渡した。

 

「どもども、でもって、契約書の内容をこう書き換えて……はい読んで!」

 

 そう言ってセレーネは、メモ帳を俺に押し付けてきた。

 俺はそれを手に取り、メモ帳の内容を確認した。

 

『寝るときは一緒に寝たい・朝はおはようを言ってほしい・朝食は一緒に食べたい・出かけるときは一緒がいい、もしくは見送りの挨拶をしたい・出かけるときは手を繋ぎたい、もしくは腕を組んで出かけたい・仕事に行くときはお弁当を作るから、持って行ってほしい・お弁当の感想は毎回教えてほしい・1日5回は愛を聞かせてほしいし、抱きしめてほしい・5日に1回は一緒の時間を過ごしたい・夕食は一緒に食べたい・お互いのことは名前で呼びたい・お風呂は一緒に入りたい・寝る前は一緒に過ごす時間を作ってほしい………………………………夜の営みは、私の覚悟を待ってほしい・我慢ができなければ相談してほしい・約束を守れないときは言ってほしい・浮気は絶対にしてほしくない』

 

「……だいぶ、印象が変わったな……」

 

 つまりこれは、彼女の願望を書いただけの、メモ書きだ。

 それを『契約書』なんて大袈裟に言う物だから、勘違いしていただけだった。

 

「わかりましたか? ルーシェさんの抱える物は、人に何かを求めても叶わないことへの、恐怖や不安がキョダイ○ックスしただけなんですよ! もしくは、ホ○ウ化したとも言うかもしれません!」

 

「なぁ、そろそろ怒られると思うからやめような? 誰にかは知らんが!」

 

「すみません……この後の出番があるのか、不安になったのでつい……」

 

「爪痕を残そうとするな! ……けど、ここまでわかってるなら【記憶回想】を使う必要性があるのか?」

 

「それはクロードさん次第ですよ!」

 

「俺、次第?」

 

「はい! 普通の人は、今のその人から理解するしかありませんが、クロードさんは違います! 過去も知ってから向き合うのか? 過去を知らずに向き合うのか? 決めるのはクロードさんです!」

 

 セレーネはそう言うと、肩をすくめた状態で、言葉を続けた。

 

「まぁ! 私のことを聖書や口伝だけで、理解したような口をきかれたら、激おこプンプン丸ですがね!」

 

 彼女のふざけた言い方はともかく、言っていることは的を射ていた。

 

 契約書の内容も、勝手に曲解して理解したつもりになっているだけで、ルーシェの本質にまったく触れていない可能性すらあった。

 そんな状態で彼女に何を言っても、なにも響かないどころか、完全に心を閉ざして、姿を消してしまいかねない。

 

「……わかった! やろう! ルーシェをもっと知るために!」

 

 俺はもう一度、決意を固めて、セレーネに宣言した。

 

「そう言ってくれると信じてましたよぉ〜、じゃあ今から行くんですね!?」

 

「……いや、それはやめておこう……」

 

「へっ? なぜ!?」

 

「……時間と場所を考えよう……」

 

 そう……ルーシェは寝室にいて、無防備な姿で寝ているかもしれない……そう思って俺は、冷静に! いたって冷静な判断を下したのであった……


「……チキン……」




 ――ルーシェ編 契約書 完――



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


誰もが一度は考えるでしょう……俺だけの卍……ka……


本作を気に入った!続きがちょっと気になる!【まずは始解からじゃね?】ってなったら

下にある【☆☆☆☆☆】マークから評価と、ブックマーク登録を何卒よろしくお願いいたします!


▼次回予告

『絡まる糸を解くために……』


明日 21時 投稿予定です!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ