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やり直し勇者は溺愛される ~魔王を倒した勇者ですが、平和の代わりに元仲間たちとのお見合いが始まりました~  作者: 希月タカトラ
やり直し勇者と糸を編む少女

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ルーシェ編 魔女の秘密

いつも読みに来てくれてありがとうございます。


『ルーシェ編 魔女の秘密』


お楽しみください。

 

 ――ルーシェ攻略 2日目――


 

 朝、目が覚めると俺はベッドから起き上がり、近くに置いた剣を手に取りかまえた。

 そして、深呼吸を一度だけすると、剣を振り下ろ……

 

「アンタ、なにやってんの?」

 

「へ?」

 

 その声の方に、俺は変な声を出しながら振り向くと、ベッド横の椅子に座っているルーシェがいた。

 

「ル、ルーシェ!? なんでここにいるんだ!? ってか今何時だ!?」

 

「8時よ! ……なんでって、アンタが出かけようって言うから来てやったのよ!」

 

 そう言って立ち上がるルーシェは、すでに外行き用の服に身を包んでいた。

 

 いつものローブ姿ではなく、白いシャツに引き締まったウエストを強調する黒のコルセット、そこから伸びる長い脚を包むタイトパンツとロングブーツの組み合わせ。


 そして後ろ髪は、高い位置でポニーテールにまとめられていて、機能美と女性らしさが同居した、彼女によく似合うスタイルだった……

 

「クロードさぁん! 抜けてます! シャツの胸元が開いて、谷間がしっかり見えてることが抜けています!」

 

(お願い黙って!)

 

 俺は、虫でも払うように、顔の横で手を振ると、ルーシェに質問した。

 

「でもルーシェ、いくらなんでも早過ぎないか? 朝飯は食ったのかよ?」

 

「…………ふんっ! 食べてないわよ!」

 

「だろ! こんな早くにどうした……」

 

 そのとき、セレーネがハッと、何かに気付いて俺に話しかけてきた。

 

「クロードさん! もしかして! 待ち合わせ時間とか決めてなくないですか!?」

 

(あ? そりゃ、今日聞こうと思ってたから、まだ聞いてないぞ!)

 

「……クロードさん、それです……」

 

(それって、なにが?)

 

「はぁ……クロードさん、今から言うことを、そのままルーシェさんに言ってみてください」

 

(あ、ああ、わかった……)

 

 意味がわからなかったが、女性のことはセレーネの方がわかってると思い、彼女の言う通りにした。

 

 そしてセレーネの言うことを、棒読みにならないよう、気を付けながら話す。

 

「……もしかして、待ち合わせ時間を……決めてなかった……から、来たのか?」

 

(えっ? マジで!?)

 

 俺の問いにルーシェがビクンッと跳ねた気がした……

 

「そ、そそ、そんな訳ないじゃない! べべ、べつに! 楽しみにしてたけど、待ち合わせ時間がわからなくて、聞くにも恥ずかしかったから、とりあえず朝一に来たなんてこと、ああ、あ、ある訳ないでしょぉー!!」

 

「だよなー、ルーシェがなー、俺の気のせいだー」

 

「そそそ、そうよ! 勘違いしないで、く、くださるぅ!?」

 

「ははは、ごめんごめんー」

 

 ルーシェの反応に内心驚きつつ、それがバレないように、俺は必死に平静を装った返事しかできなかった。

 

 (おい! マジなのかよ!?)

 

「クロードさん……これが、ツンデレです! 1周回って可愛いでしょ?」

 

 俺は改めて、ツンデレというものを知り、いつか可愛いと思える日が来るのか、疑問だけが残った……

 

「とりあえず、すぐに着替えるから、ルーシェはリビングで待っててくれ!」

 

「……わかった、待ってるから早く来なさいよ!」

 

「ああ、わかってるよ!」

 

 ルーシェに急かされ、俺が雑な返事をすると、ルーシェは寝室の扉に向かって歩きだした。

 そして、扉に手をかけると、小さくつぶやいた。

 

「……急に『やっぱりなし』とか言わないでよ……」

 

 それを聞いた俺は、はっきりと断言した。

 

「お前が、いやだって言っても連れてくから安心しろ!」

 

「……ふんっ!」

 

 ルーシェは返事ともわからない反応で、部屋から出ていった……



 

 ――セレンディア城 商家街――


 

 支度を終えた俺は、ルーシェと2人で商家街まで来ていた。

 

 当初は、城下町の出店を回ることも考えたが、あんなに楽しみにされてたと思うと、なかなか言い出しづらかった。

 

「アンタでもこういうところ来るのね」

 

 俺の横を歩いていたルーシェが、意外そうに言った。

 俺は、頭を掻きながら正直に応えた。

 

「いや、実は初めて来たんだ」

 

「はぁ? じゃあなんでここにしたのよ?」

 

 そう言ってルーシェは、俺の方に振り向きながら聞いてきた。

 

「え? 2人で出かけるなら、こういうところがいいのかなぁ、と思って……」

 

「……はぁ、無理しなくていいわよ! この先を行けば大通りに出るから、そっちに行きましょう」

 

 ルーシェは、俺の答えに呆れながら、大通りへの移動を提案してきた。

 

「いいのか? ここら辺だろ? お前の欲しそうな物が売ってるの?」

 

「……私の欲しそうな物?」

 

「ああ、お前好きだろ? ああいう可愛いの?」

 

 そう言って俺は、店のガラス越しに見えるぬいぐるみを指差して、ルーシェに質問した。

 すると彼女は、顔を赤らめて動揺してしまった。

 

「なっ? なんで、そう思うのよ!?」

 

「いやだって、お前いっつも、ああいうの置いてあると、じっと見てるじゃん!」

 

「み、見てないわよ!」

 

「嘘だ! だって南部の辺境の街へ行ったときにあった、『ウサギのぬいぐるみ』買ってたじゃん!」

 

「なんで知ってるのよ!」

 

「お前、ルンルンで、持ってたじゃん!」

 

 そう、魔王城が目前に迫った旅の途中に立ち寄った街で、彼女はウサギのぬいぐるみを買っていた。

 そして、それを大事そうに両手で抱えながら、彼女は満面の笑みで俺たちの泊まる宿に帰ってきた……ところを2階の窓から見てしまったのだ。

 

「……アンタそれ、2人に言ったら、燃やすわよ!」

 

 ルーシェが、鬼の形相で俺に釘を刺そうとするが、俺はとっさに本当のことを言ってしまった。

 

「えっ? 2人とも知ってたぞ!」

 

「……えっ!?」

 

「いや、ルーシェが、ぬいぐるみ持ってた気がするって言ったら……」

 

『ああ〜、好きみたいだよ、ああいうの!』

 

『とても可愛らしいですよね!』

 

「……って言ってたから、知ってたみたいだぞ!」

 

 それを聞いたルーシェが、膝から崩れ落ちた。

 

「……終わったわ……なにもかも……」

 

「いやいや、俺もいいと思うぞ! 可愛くて!」

 

「うるさい! ばーか!」

 

 ルーシェは、怒声を俺に浴びせると、立ち上がって大通りの方へ、歩き出してしまった……


 


 ――ルーシェ編 魔女の秘密 完 ――


 

最後までお読みいただきありがとうございます。


やっぱり、可愛いものが好きって女の子は可愛いですよね?可愛いって言え!


本作を気に入った!続きがちょっと気になる!『可愛いものが好きって女の子は可愛い』ってなったら

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▼次回予告

『猫のように、期待は裏切られる』


明日 21時 投稿予定です!!

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