ルーシェ編 禁術
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『ルーシェ編 禁術』
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――セレンディア城 西の塔 リビング――
ルーシェを東の塔に送っていくと、イリーナから西の塔に泊まれることを聞き、俺はそこで食事をとり、リビングで休んでいた。
「セレーネ、聞こえるか?」
「聞こえてますよぉ〜……今回アドバイスいりますぅ?」
「一応聞かせろ! ルーシェを見てどう思った?」
「そうですねぇ〜、まず! 1番はやっぱりあのツンデレっぷりですね! しかも、しっかり押しに弱い感じがグッドです!」
「ああー、それは俺もビックリだったよ! まさか、長年の悩みがあんなことで解決するなんて……」
そう、俺はルーシェの当たりの強さに、『なにか悪いことしたかな?』とか『俺、気に障ること言ったかな?』とか、いつも悩んでいた。
それが、ただの照れ隠しだったなんて……
「はぁ……他は気になることあったか?」
「いやぁ〜、正直ルーシェさんは、2人と違って前に出ない感じでしたから、サッパリですねぇ〜」
「だよなー、でもアイツも、なにか持ってるかもしれないんだろ?」
「そうですね! それは確かです! じゃないと、禁術レベルの精霊術なんて、ほいほい作れませんよ!」
「まぁ、そうだよなぁ〜」
「……今更ですが、クロードさん! 禁術って、どんなのがあるんですか?」
セレーネは興味本位で、ルーシェの編み出した禁術の詳細を聞いてきた。
俺は、苦い記憶を手繰るように、ルーシェの禁術の内容を思い出した。
「えっと、全部で4つあって……『雷の弾丸』に『空気の爆弾』だろ、『触れると凍る水』と『なんでも吸い込む穴』だな!」
「……なんですかそれ?」
「詳しくはわからん! ただ使うと、全部すごいことになったから、禁術にさせたよ!」
「いや、そうじゃなくてですねぇ、それだけ聞いてると、科学兵器の分類じゃないですか!?」
「科学兵器ってなんだ?」
「使えば、『見ろぉ! 人がゴミのようだ!』ってなります」
「あっ! なったよそれ! 魔物だったけど」
俺のその言葉に、セレーネが口を開けたまま、驚きの表情を見せ、すぐに強張った顔になって問い詰めてきた。
「クロードさん、1つ1つ確認させていただきますけど、『雷の弾丸』とは?」
「えっと……土の精霊術で弾と砲身を作って、それを雷の精霊術で飛ばすんだよ! なんで雷で勢いよく飛ぶのかわかんないけど、破壊力が凄い代わりに、使ったルーシェも吹っ飛ぶわで危なかったよ!」
「……やっぱり、超電磁砲ですか……次の『空気の爆弾』とは?」
「えー、空気中になんかをばら撒いて一気に燃やすんだよ! すげぇ爆発と衝撃波で、イリーナが防護壁を展開してなかったらやばかったな!」
「……真空爆弾……『触れると凍る水』は?」
「そのまんまだよ! 水に特殊な精霊術をかけて、触れてる物を一瞬で凍らせるんだよ! しかも、凍った物にも触ると凍るらしくて、精霊術の効果が切れるまで、しばらく足止めをくらったよ!」
「過冷却水……でも、連鎖的にって『アイスナイン』? つ、次の『なんでも吸い込む穴』とはなんですか?」
「それは、簡単だぞ! 空間魔法で開けた穴のなかに、重力魔法を叩き込んで吸い込むんだよ! でも全部吸い込んじゃうから、素材とか一切残らないし、俺たちも吸い込まれそうになるしで大変なんだよな〜」
「……星の死骸……クロードさん! ルーシェさんは、マジで何者ですか!? デストロイですか!?」
セレーネは、禁術の内容を聞いては、ぶつぶつと独り言を言った挙句、混乱したように聞いてきた。
「何者ってただの"天才"だよ! 俺やイリーナみたいに『天命』があるわけでも、クレスみたいに『努力』でもなくて、ただ『天才』なんだよ……」
そう、ルーシェは天才だ! だから俺たちが壁にぶち当たると、それを解決する精霊術を編み出してきた。
そう思い出していると、セレーネが険しい顔で俺に詰め寄ってきた。
「とりあえず、クロードさん! ルーシェさんには、今後一切! 使わない! 作らない! 考えない! を徹底させてください!」
「そこまで言うことなのか?」
「クロードさん……おそらくルーシェさんは、わかって加減してると思いますが、一歩間違えれば、国どころか世界が滅びます!」
「……マジで!?」
「マジです!」
「わ、わかった! 約束させる……」
俺は想像以上の禁術の力に驚き、ルーシェの天才としての異常さを再認識した。
「まぁ、話は変わりますが、明日のルーシェさんとのおでかけは、本当にノープランなんですか?」
俺の言葉に落ち着いたのか、セレーネが明日のことを聞いてきた。
「予定がないって意味なら、そうだぞ!」
「えっ!? ひどい!」
「仕方ないだろ? アイツと2人で出かけるなんて初めてなんだ、どこに連れて行けば喜ぶのか、見当もつかないんだから」
ルーシェは俺と2人になると、すぐにどこかに行ってしまうから、買い物に誘ったりなんて、今までできなかった。
「まぁ、いいでしょう! あの様子だと大人のデートは期待できなさそうですが、ウブなデートなら期待できますしねぇ〜」
そう言ってセレーネは、向かいのソファに寝転んだ。
「なに言ってるのかよくわからんが、俺はもう寝るぞ!」
「はいは〜い、おやすみなさ〜い!」
セレーネの言葉を背中で受け、俺はリビングを後にした……
寝室のベッドに倒れ込むと、明日のことを考えようと思ったが……正直『押せば倒れる作戦』では、どうにもならないときの、次の手がまったく思いつかなかった。
だが、疲れのせいか頭が回らない。
仕方なく俺は、睡魔に任せて、まぶたを閉じてしまった……
――セレーネ リビングにて――
「いや〜、今回の相手はルーシェさんですが、本当に彼女の情報は、少ないですねぇ〜」
私は足をバタつかせながら独り言を続けた。
「まぁ年長者の苦悩的なものは、あると思いますが、それだけで禁術は作らないでしょうしねぇ……」
私は、テーブルのクッキーを手に取り、口に放ると話を続けた。
「とりあえず! 明日のお出かけで、ルーシェさんの根底にあるものが見えるといいですねぇ〜」
そして、私は……クッキーが美味しかったので、全部食べちゃいました!
――ルーシェ編 禁術 完――
最後までお読みいただきありがとうございます。
アイスナインだけ、あるSF物に出てきた架空の物質をお借りしました。
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▼次回予告
『魔女の秘密』
明日 21時 投稿予定です!!




