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やり直し勇者は溺愛される ~魔王を倒した勇者ですが、平和の代わりに元仲間たちとのお見合いが始まりました~  作者: 希月タカトラ
やり直し勇者と偶像に祈る少女

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イリーナ編 アナタと3回目のダンスを……

いつも読みに来てくれてありがとうございます。


イリーナ編 最終話

『アナタと3回目のダンスを……』


お楽しみください。

 

 ――セレンディア城 礼拝堂――


 

 視界が戻り、怯えるように俺を見つめているイリーナの姿が、そこにはあった。

 

「クロードさま……? わたくしはどうすれば……」

 

 俺は、怯えたイリーナに、なるべく優しい口調で語りかけた。

 

「イリーナ、俺はお前の"神"ではなくて、"好きな人"になりたい!」

 

「……好きな、人……?」

 

「ああ、好きな人だ! 今思い出すと、俺はイリーナに会った日から、お前が好きだった!」

 

「……会った日から?」

 

「ああ、そうだ! だってあの日のお前、めちゃくちゃ綺麗だったぞ!」

 

「そ、それは、夜会のために着飾っていましたから……」

 

「でも……綺麗だった!」

 

 その言葉に、押し黙ってしまうイリーナに、俺は問いかける。

 

「……イリーナは、いつからだった?」

 

「……え?」

 

「だから、その……あるんだろ? 好きなところ? ……いつからだった?」

 

「……わたくしは……」

 

 イリーナは、俺の問いに目を閉じて、考えこんでしまった。

 だが俺は急かさずに、彼女の言葉をただじっと待ち続けた。

 

「……あの日……」

 

 イリーナがようやく口を開いた。

 

「……あの日……窓の外でアナタの姿を見て……」

 

 あの日とは、記憶のなかの日のことだろうと思い、俺は口を挟まずに、彼女の話を聞いていた。

 

「なぜか……そのときの姿が頭から離れなくて……それから毎日、訓練を見に行くのが、わたくしの日課になっていました……」

 

「毎日?」

 

「……はい、毎日です……」

 

「ごめん、ぜんぜん気付かなくて……」

 

「いいえ! だから、嬉しかったのです……」

 

「嬉しかった?」

 

「はい……厳しい鍛錬に明け暮れてもなお、無我夢中で剣を振っている姿に、わたくしは惹かれたのです……」

 

「そうか……ありがとう……」

 

 そう言ってイリーナを見つめると、彼女もしっかり俺のことを見つめていた。

 その瞳に映るのは今の俺ではないけれど、崇拝する偶像でもない、あの日の無我夢中で剣を振るっていた俺の姿だった。

 

「初めてお会いしたときは、わたくしも心が弾みました!」

 

「俺、めっちゃ緊張してたんだぞ!」

 

「ギルドへ行ったときに、クロードさまが守ってくださるように前に出てくださったときは、ときめいてしまいました!」

 

「あれは、なんかイリーナのことを変な目で見てるやつがいて、ムカついたんだよ!」

 

「叙任式のときのクロードさま、とても素敵でした!」

 

「イリーナだって、素っ気なく言っちまったけど、すげぇ綺麗だったぞ!」

 

 俺たちは、あの日の思い出で、なにを感じていたのかを確かめ合うように、告白し合っていた……

 

「クロードさま、覚えていらっしゃいますか? ダンスを初めて踊った日のことを?」

 

「ああ、覚えてるよ! まさか、ダンスを一緒に踊るなんて思ってなかったから、大変だったんだぞ!」

 

「ふふっ、でもとてもお上手でしたよ!」

 

「意外と才能あるかもしれないな?」

 

「ふふふっ……クロードさま、あの日ダンスをもう一度踊ってくださいましたよね?」

 

「ああ、そうだったな! よく覚えてるよ!」

 

「……ええ、わたくしもです……だって…………」

 

「……イリーナ?」

 

 急に静かになったイリーナを見て、俺は不思議に思い彼女の名前を呼ぶ。

 イリーナは、しばらく顔を伏せたまま黙ってしまったが、ゆっくりと顔を上げ、俺の目をじっと見て語りかける。

 

「クロードさま、お慕いしております! 聖女イリーナとしてではなく……ただのイリーナとして、アナタを愛しています!」

 

「……ああ、俺もだ! 勇者クロードとしてではなく、ただのクロードとして、イリーナを愛している」

 

 なにが、彼女をそう思わせたのか……イリーナの急な告白に、俺も応えるように想いを伝えていた。

 

「……嬉しい……幸せです!」

 

「なんか照れるな……それにしてもなんで急に?」

 

「……それはですね……マナー違反だからです!」

 

「はぁ? なんだそれ?」

 

 イリーナの言葉の意味はわからなかったが、彼女の嬉しそうな顔に、『まあいいか』と俺は微笑んだ。

 

「……今、とても胸がドキドキしています」

 

「胸がか……」

 

 そのとき気付いたが、彼女は朝のお清めのためにここにいた訳で、だからその格好は、とても薄着だった……

 

「クロードさま? いかがされましたか?」

 

「えっ!? いや、なんかその、俺もドキドキしてるのかなぁー、はっはっ!」

 

「……っ! クロードさま! どうぞ!」

 

 動揺の正体を察したイリーナは、ショールを下ろし、胸を突き出すようにして、俺に促してきた。

 

「なっ!? なにを言ってるんだ!?」

 

「いえ、クロードさまが、わたくしの体を見られていたみたいなので、好きにしていいですよと……」

 

「だから! なんでそうなる!?」

 

「えっ? 恋人とはそういうものではないのですか?」

 

「待て待て待て! 誰だその歪んだ内容を刷り込んだのは!?」

 

「いえ、メイドたちの間で人気の小説を読んでいたら、だいたい殿方が昂って女性を押し倒して、好きにする展開になっていたので……」

 

「どんな小説だそれ!?」

 

「恋愛小説です!」

 

「絶対違うよ!?」

 

 俺はイリーナに恋愛とは、一緒に出かけたり、ご飯を食べたり、2人で暮らしたりして愛を育むものだと熱弁した。

 

「そうだったのですね? 小説とはまったく違うのですね!」

 

「あ、ああ、そうだな……」

 

(今度そのメイドに話を聞かなければ……)

 

「……ところでクロードさま」

 

「うん、どうした……」

 

「あの日の約束は覚えていらっしゃいますか?」

 

「あの日の約束……?」

 

「はい、ダンスを踊った日の約束です……」

 

「ああ! また一緒に踊ろうってやつだろ! ちゃんと覚えてるさ!」

 

 俺のその言葉に、イリーナはとても幸せそうに微笑むと、俺に問いかけた。

 

「クロードさま……それはいつ、お誘いいただけますか?」

 

 その言葉の意味に俺は気付いて、彼女の横に立ち、手を差し出した。

 

「よろしければ、今から踊りませんか? お姫さま……」

 

 彼女は、俺の手を取り、嬉しそうに小さくつぶやいた。

 

「……はい、喜んで……」

 

 俺は彼女の手を握って先に通路側へ出ると、立ち上がったイリーナの手を引き、教壇の前まで移動した。

 

「でも、ダンスなんて久しぶりで踊れるかな?」

 

「大丈夫です、クロードさま……意外と才能ありますから!」

 

「ははっ、そうだったな……」

 

 そして、俺たちはダンスを踊りだした。

 

 観客も楽団もいない静かな礼拝堂で、ロウソクの灯火だけを頼りに、慣れないステップを踏んでいた……


 


 ――イリーナの秘密――

 

 

「クロードさま、先ほどの質問ですが……」

 

「うん? マナー違反のことか?」

 

「はい……意思表示、と言った方が正しいでしょうか……同じ方と2回踊るのは、特別な意味を持つことになるんですよ」

 

「特別な、意味?」

 

「はい、『私はこの人に、好意を抱いてます』って意味です」

 

「ああ……なるほど、だからあの時、周りの視線が痛かったのか!」


「ふふっ、そんな思いをされていたのですね」

 

「まぁ、嘘じゃなかったからいいさ!」

 

「……はい!」

 

 クロードさま、3回目のダンスにも意味があること、やっぱり知らなかったのですね。

 

 3回目のダンスは……

 

 

『アナタと結婚します』

 

 

 でも、許してくださいね?


 だってこれは2人だけの、3回目なんですから……


 

 【スキルの使用を確認しました。スロット4のセーブポイントを作成いたします……スロット4のセーブポイントを作成いたしました】



 

 ――やり直し勇者と偶像に祈る少女編 完――


 

 ――セレーネ――

 

 

「あっ!? 私は『綺麗だった!』で、砂糖吐いてぶっ倒れていました! テヘッ!」



 

 ――あおげば尊死エンド 完――


 

最後までお読みいただきありがとうございます。


これで、イリーナ編の攻略クリアとなります。

クロードさんとイリーナの想い。

そして、イリーナの恋愛観の刷り込み元が、俗なメイドたちの薄い本だった真実も発覚する回でした。

(いいぞ! もっとやれ!)


 本当はもっとシンプルな終わらせ方をイメージしていたのですが、貴族のイベントなどを調べているうちに、ダンスのマナーを知って、ビビッと来ちゃいました!


本作を気に入った!続きがちょっと気になる!ってなったら

下にある【☆☆☆☆☆】マークから評価と、ブックマーク登録を何卒よろしくお願いいたします!


応援していただけたら、砂糖吐きながら、執筆します!!


▼次回予告

新章 ルーシェ編

『ツンデレ攻略』


明日 21時 投稿予定です!!

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