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やり直し勇者は溺愛される ~魔王を倒した勇者ですが、平和の代わりに元仲間たちとのお見合いが始まりました~  作者: 希月タカトラ
やり直し勇者と偶像に祈る少女

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イリーナ編 恋心の行方

いつも読みに来てくれてありがとうございます。


『イリーナ編 恋心の行方』


お楽しみください。

 

 ――セレンディア城 西の塔 リビング――

 


 喫茶店を後にした俺たちは、遅くなる前に城に戻り、イリーナを東の塔まで送り、西の塔に帰ってきた。

 俺は、いったん心を落ち着かせるために、服を着替え、ソファにうなだれるように座り込んでいた。

 

「ああー、なんか最後にドッと疲れたぞー」

 

 ほとんど独り言のようにつぶやいたが、それにセレーネが返してきた。

 

「いやぁ〜、お疲れさまでした、クロードさん! 最後のアレはすごかったですねぇ〜」

 

 『最後のアレ』とは、喫茶店でイリーナが語った結婚生活のことだ。

 ……確かにアレはすごかった。

 崇拝する俺のために、彼女は新しい聖域を作り、さらには、他の2人さえも囲い込むことを考えていた。

 

「なあ、これって俺、本当に愛されてるのか?」

 

「……と言いますと?」

 

「だって、イリーナは俺を神さまとして崇めるために、大聖堂なんて物を建てる気だろ? それって、俺に恋愛感情がまったくないってことじゃないか……?」

 

「ああ〜、それは難しいところですねぇ〜」

 

「なんでだ? 神さまのお前ならわかるだろ? 信仰されることはあっても、愛されることはないだろ?」

 

「……クロードさん……アナタ意外とデリカシーないですよね?」

 

「デリ? なんだそれ?」

 

「……はあ〜、まあいいでしょう……クロードさん! 今アナタは、分岐点にいます!」

 

 そう言ってセレーネは両手の人差し指を立てて説明し出した。

 

「1つ! 私と同じ神として祭り上げられて、好き放題するルート!」

 

「オマエ今、好き放題って言ったよな!?」

 

「……そしてもう1つ!」


「聞けや!」

 

「アイドルとして好かれ合う仲になるルートです!」

 

「……アイドル……ってなんだ?」

 

 俺は聞いたことのない言葉に、ただ聞き返すしかなかった。

 

「アイドルっていうのは、特定の人気を持つ人が、歌ったり踊ったりして、大勢のファンを喜ばせる存在です!」

 

「……ファンってなんだ? まったく理解できないぞ!」

 

「ああ〜、つまり! 英雄が民衆の前で剣を構えたりすると、民衆は大喜びしますよね? この場合、アイドルが英雄で、ファンは喜ぶ民衆たちのことです!」

 

「……なんとなく、わかる気がするが、それが今回の件と、どう関係してるんだ?」

 

「いいですか、クロードさん! アイドルとの恋愛ものは、数ある恋愛もののなかでも、王道に入る部類なのです!」

 

「はぁ……」

 

「普段はみんなのアイドルとして、仮面を着ける毎日……しかしある日、本当の自分を見てくれる君と出会い、そして恋に落ちる……まさにボーイミーツガール!」

 

「ボ、ボーミーガール?」

 

「そう! そして歌に秘められた力に目覚めたアイドルは、戦場のなかで歌うのです……『僕の歌を聞けー!』」

 

「俺、歌えねーぞ!?」

 

 セレーネの盛り上がりが頂点に達したのか、彼女はコホンっと咳払いをして、話し出した。

 

「……失礼、すこしばかり話がそれました」

 

「……ああ、だいぶそれたな……」

 

「つまりですねぇ、イリーナさんにとってのクロードさんが、完全に神として崇められてしまう前に、人間に格落ちしちまえ! ってことです!」

 

「人間に格落ちだと?」

 

「そうです! 自分を人間として認めさせてから、惚れさせるのです!」

 

 セレーネは、力強く拳を突き出した。

 確かに彼女の『人間への格落ち作戦』は、有効そうに感じる。

 だが、1つだけ懸念点があった。

 

「もし……その作戦をやるとしてだ! それが成功するにはやっぱり必要なんだよな? 【記憶回想】が?」

 

 その俺の問いに、セレーネは普段とは違う、マジメな口調で応えた。

 

「ええ……イリーナさんの信仰心は相当なものです……それこそ、私以外の"神"を信仰しておきながら、強力な神聖術を行使できるほどに……」

 

「ああ、それは今も変わっていない……」

 

「そうです……では、それはいつから? イリーナさんには本当に恋の感情はないのか? それを知るためにも、そのスキルは必要です!」

 

「……確かに……格落ちしても、イリーナに恋愛感情がなかったら、意味ないもんな……」

 

「そうですね……イリーナさんの本心次第で、神になるのをあきらめさせた後の対応も、変わってきます」

 

「あきらめさせた後か……」

 

 つまりそれは、イリーナとの見合い話は破綻して、別々の人生を歩むことを意味した。

 そう考えると、見合いをやり過ごそうとしていたくせに、なんだか嫌な気持ちになる俺がいた。

 そしてセレーネは、いつものふざけた口調に戻りながら、難題を突き付けてきた。

 

「なのでぇ〜、明日はイリーナさんの信仰心を、揺さぶって! 揺さぶって! 揺さぶりまくってぇ、【記憶回想】の入り込む余地を作ってくださいねぇ〜」

 

「簡単に言ってくれるな! たく、わかったよ! なんとかしてイリーナを揺さぶってやるさ!」

 

 俺は自分を昂らせるように、セレーネに明日への意気込みを宣言した。

 

「……ところでクロードさぁん?」

 

「うん? なんだ?」

 

「そのですねぇ〜、どうでしたか? おっぺえの感触は!?」

 

「……寝る!」

 

「ああぁん! クロードさんのいけずぅ〜」

 

「うるさい! 黙れ! 人が忘れようとしていたのに!」

 

 しばらく、女神からの変態的な質問攻めに、俺は枕を抱えて悩まされることになった……



 

 ――イリーナ編 恋心の行方 完――


 

最後までお読みいただきありがとうございます


なんか、イリーナ編に入ってからメタ発言が増えた気がしますが、気のせいです。


本作を気に入った!続きがちょっと気になる!ってなったら

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▼次回予告

『イリーナ編 神の宣告』


明日 21時 投稿予定です!!

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