イリーナ編 偶像の正体
いつも読みに来てくれて、ありがとうございます。
【偶像の正体】
お楽しみください!
――セレンディア城 西の塔――
陛下から宿泊の許可をいただいた俺は、夕食を済ませ、セレーネを呼び出した。
「セレーネ、いるのか?」
「はぁ〜い! いますよぉ〜、これはこれは、危うくイリーナさんのぺぇぺぇを堪能しそうになった、クロードさんではありませんかぁ〜!」
「よぉーし! 今からこの剣のサビにしてやろう!」
「冗談ですってぇ! っで、どうでしたか? イリーナさんとのお話は?」
セレーネはふとふざけた口調をやめ、マジメな声色で俺に問いかけてきた。
「どうだったもなにも、見たまんまさ! 普通に会話を楽しんでたと思ったら、イリーナの行動にタジタジになって、なんとか明日出かける約束だけして帰ってきた感じだな!」
「自分でタジタジって言ってて草ですよ……」
「……草ってなんだよ?」
「まぁそれは置いといてぇ〜、さっきの話の続きですよね?」
セレーネの切り替えに俺は、不服に思いながらも応えた。
「そうだ……お前はイリーナの信仰は問題ないと言っていたな? あれはどういう意味だ?」
「それはですねぇ〜、まずなんで神聖術や精霊術が使えるかわかりますか?」
セレーネの問いに、俺は覚えている内容を話した。
「たしか……女神の祝福を受けている俺たちは、その影響で精霊との対話が可能で、それを使って精霊術を行使できる」
「正解です! でも、それは精霊術だけの話です! では、神聖術は?」
「お前が前に言ってたろ! それも神々の祝福を受けた一部の人間が使えるって」
「そうですね……でもそれって信仰する神の位によって、祝福の度合いが変わるんですよ!」
「……どういうことだ?」
俺はセレーネの説明が理解できず、聞き返してしまう。
「つまり! イリーナさんが異教徒だったとしても、私と同等か、それに属する存在を信仰していないと、あんな力は使えないってことです!」
「……そうなのか?」
「はい! そして、『人間界』で私と同等の神は存在しません!」
セレーネは、腰に手を当て自身の神格の高さを豪語し、その答えを口にした。
「『人間界』でってどういうことだ?」
「神にも担当とかあるんですよぉ、なので! 考えられる答えは、1つです!」
そう言って、セレーネは人差し指を立てて、俺に答えを出した。
「私に属するなにかを信仰している……つまり、イリーナさんは異教徒ではなく、宗教の派生派閥になっているだけです!」
「……派生派閥?」
「はい! しかも、だいぶ強力な偶像を信仰しているみたいですねぇ〜」
「本当に偶像なのか? 例えばお前の知らない神が存在するか誕生して、それをイリーナが信仰している可能性は?」
「ないですね!」
俺の可能性の示唆をバッサリと切り捨てると、セレーネは続けて答えた。
「さすがに私と同等の神が人間界に現れたらわかります……新しい神も、数百年に一度くらいで誕生しますが、我々は信仰の大きさが力の大きさに比例します……生まれたばかりの神なんて話になりません、それこそ『赤子も同然』ってやつです!」
「なるほど……なんでお前にそこまでの信仰があるのかは不思議だが、とりあえずイリーナが、異教徒として処断される可能性はないってことだな」
「……なんかすごい失礼なこと言われた気がしますが、その通りですぅ〜」
その言葉に俺はひとまず安堵のため息をついた。
そして話をイリーナの件に戻した。
「セレーネ、お前から見てイリーナはどう思う?」
「なんかもう、全体的に柔らかそうでヤバいです!」
「……そういうことではない!」
「もうぅ〜冗談ですよぉ〜! ……まぁ、はたから見た印象は、会話が噛み合ってるようで噛み合ってない、ですね!」
「『噛み合ってるようで噛み合ってない』?」
「はい! イリーナさんは、たしかにクロードさんを見て、しっかりアナタの言葉を聞いて話をしています……」
セレーネは途中で言葉を止めると、すこし考えたのち、言葉を紡いだ。
「……でも、なにか……曲がった捉え方をして、クロードさんがタジタジになるみたいな……すみません、私もうまく言えないですねぇ」
セレーネが珍しく言葉が詰まり、謝罪する状況に驚きながらも、俺は彼女の意見に同意した。
「いや、俺もその違和感はなんとなく思ってはいた……それが、育ちからくるものなのか? それとも別の要因なのか? わからなかったが……」
「そうですねぇ〜、そこら辺も明日のお出かけでわかるといいですねぇ〜」
「まぁそうだな……とりあえず、明日がんばるしかないか……」
「ええ、明日も早いでしょうから、早く寝たほうがいいですよぉ〜」
「ああ、そうするよ……じゃあまた明日な」
「はい! おやすみなさぁ〜い!」
俺はセレーネとの挨拶を終えると、寝室に向かいベッドで横になる。
今までの疲れが溜まっていたのか、俺はすぐに眠りに落ちた……
――セレーネ リビングにて――
私は彼がリビングから出て行くのを見送って、手を振っていた……
「はぁ……クロードさん、あの調子だと気付いてないですねぇ〜、さすがは主人公……『鈍感』『朴念仁』『唐変木』はパッシブなんですかねぇ〜」
私は呆れた口調で彼のことを呟くと、テーブルにあるクッキーを手に取り口へと放り込む。
「まぁ、イリーナさんの信仰する『神』にどうやって打ち勝つのか? おそらく『神殺し』を成さなければ、彼女は永遠にあのままですよぉ〜」
私は『誰が』聞いているかも知れない空間で、独り言を垂れ流しながら、テーブルのクッキーを食べ続けていた。
「このクッキーうまっ!!」
――イリーナ編 偶像の正体 完――
最後までお読みくださって、ありがとうございます!
広げた風呂敷(女神の設定)を、ちょこちょこ回収させていただいております汗
【お知らせ】
明日より、夜の落ち着いた時間によりゆっくりお楽しみいただけるよう、
更新時間を「21時ころ」に変更いたします。引き続きよろしくお願いいたします!
▼次回予告
『女神を殺す……』
――本作を気に入った!続きがちょっと気になる!と思っていただけましたら、
ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価と、ブックマーク登録で応援していただけると、毎日の執筆の大きな励みになります!何卒よろしくお願いいたします!




