クレス編 琥珀のピトフーイ
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クレス回想編
【琥珀のピトフーイ】
お楽しみください。
ーークレス セレンディア城下町ーー
クロードとの再会の機会を逃し、その背中を見送ることしかできなかった私は、ギルドに戻り、ガットになかば強引に弟子入りをした。
ベテラン冒険者の技や知識を身につけ、自身に足りないものを補い、さらに強くなるためには、その男の力が必要だと思った。
「いいかい、嬢ちゃん! アンタはたしかに強い、でもそれは正面から『よーい、はじめ!』って戦えるときだけだ! そんな戦いありえないし、あったらそれは素人の戦いだ!」
「ならどうやって戦うの?」
「そんなの決まってる! なるだけ相手の死角から、強力な一撃を喰らわせる、これで勝率はグッと上がるぜ!」
「言ってることはわかるけど、私の武器はこれと、毒に耐性があることしかないよ……」
そう言って私は、自身の持つダガーをガットに見せた。
「そうだな、でも嬢ちゃん! アンタの毒に強いって体質は相当のもんだ! なら普通の冒険者じゃ扱えない毒も使えるんじゃないのか?」
「たぶん……できると思う……」
「なら、それを武器にしろ! どんな毒でも使いこなして、自分のものにしろ!」
「わかった!」
毒の勉強をしろと言われた私は、図書庫に入り浸り、薬剤師の知り合いを紹介してもらって、毒草や毒を持つ魔物についての知識を教えてもらった。
そして、ガットに紹介してもらった王都の鍛冶屋で専用のダガーを作った。
柄の部分から仕込んだ毒が薄っすらと刃をつたうように流れ、相手を仕留める、まるで暗殺具のような武器だ。
私は、強くなれる可能性があることならなんでもやった。
だから、完全に毒を自分のものにするため、危険な有毒魔獣の討伐依頼を、率先して受けた。
そして、討伐した魔獣の毒を喰らい、毒にうなされる毎日を送った。
いつしか毒に対する耐性は、強固なものとなり【毒無効】に昇華していた。
だけど、まだ足りない!
空を飛ぶ魔獣の討伐に失敗して、私はガットに討伐の仕方を聞いてみた。
「飛んでるやつの倒し方? そんなの撃ち落とすか飛んで戦うしかないだろ?」
「飛ぶ? どうやって飛ぶの?」
「そんなの決まってる! 精霊術で飛ぶんだよ!」
「精霊術?」
それを聞いた私は、精霊術の勉強を始めた。
私に風の適性があるとわかると、風の精霊術師の指導を仰ぎ、風の精霊術を身につけた。
本当は、水の精霊術が毒と相性がよさそうだと思っていたが、実際に初めて風の精霊術を使って考えが変わった。
そのとき、私は自由を手に入れた……
風が体をどこまでも運んでくれる、自由に駆け、飛び回ることができる。
風の精霊術は、私にとってとても得がたいものとなった。
そして、風の精霊術を使って縦横無尽に飛び回り、双剣に仕込んだ猛毒を使って襲い掛かる、琥珀色の髪をした女冒険者。
それはまるで毒を纏った怪鳥のようだと……
【琥珀のピトフーイ】
私の金のプレートが白金に変わる頃には、それが私の新しい二つ名になっていた……
ーーーー
「クロードさん、生きてますかぁ~? どうやら彼女の記憶は、これで終わりみたいですよ!」
「あ、ああ、終わったのか……」
セレーネの声で俺は我に返り、今までのことを思い返していた。
「いやぁ~、壮絶な人生を歩んでいますねぇ~……クロードさんも、冒険者さんたちにエグいこと言いますねぇ~」
「……あのときの俺は、仲間ができることに、期待を膨らませていたんだ……」
「その結果が、最高位の冒険者すら瞬殺した例の試験ですか?」
「……ああ、勝手に期待して集まってもらったくせに『連れていけない』って言って帰らせる……ふざけた勇者だよな?」
俺は自身の過去の行いについて、乾いた笑いを浮かべていた。
「……クロードさん、彼女の抱えるものはわかりましたか?」
「……ああ、お前の言うとおり、クレスは俺を縛りつけたいんじゃなくて、俺にいなくなってほしくないんだな……」
そう、彼女の願いは最初から変わらず『俺に置いていかれたくない』だった。
俺が答えを出すと、それに応えるようにセレーネが、まるでクレスの心の声を代弁するかのように語り出す。
「そうですね……だからクロードさんに『危ないから』とか『心配だから』と言って、行動を制限し、監視したかった……そうしないと、また自分を置いてどこかにいってしまうかもしれない……『もう置いてかないで!』と叫んでいる少女がそこにいます……」
セレーネの紡ぐ言葉を、俺はしっかりと受け止め、彼女に目を向ける。
「戻ろう! もう、あの日のクレスの手は取れないけれど……俺にはまだやれることがある!」
その言葉に、セレーネは俺に仰々しく応えた。
「いいでしょう! さぁ、勇者クロードよ! 世界を救ったというのなら! 目の前の少女も救ってみなさい!」
彼女がそう言うと、俺の視界は、完全な白で覆われた……
【スキルの使用が終了しました。発動地点に移行いたします】
――クレス編 琥珀のピトフーイ 完――
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
クレスの過去を知ったクロードさんは、彼女にどんな答えを出すのか?
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▼次回予告
『いつまでもアナタの隣で……』
本日、20時 投稿予定です!!
2話連続投稿キャンペーン最終日!
ぜひぜひ、20時の投稿もお楽しみくださいませ!




