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僕の異世界生活はどうにも波瀾万丈なようです。  作者: 有木苫占
第三章 男児はつらいよ ~僕とおじさん

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22 僕達の出立前のもろもろの出来事

 青年アダムがいなくても僕とシーナは紙に何度も重ね書きする魔法を簡単に使いこなすことができた。


 魔力の多い高級紙を使用したら三十回以上も上書きできることがわかった。

 トニーも使いたがったので、シーナは魔法陣を開発すると、もはや紙にこだわる必要もなくなり魔術具の板とペンになってしまった。

 シーナはメモリ内臓の電子メモパッドとして普段使いする板とメラニーのために本として綴じれる紙の二種類を作ってくれた。

 アップウの呪文は便利だけど誰でも使える魔法にするためには魔法陣を学ぶ必要がある。魔法学校に入学するのが楽しみだ。

 


 大叔父はメラニーもラウンドール王国に迎え入れたいらしく、僕の洗礼式の衣装だけでなくメラニー用の衣装の素材も買い漁っていた。


 えっ!これ全部、僕の衣装に使うの?

 ああ、メラニーには母の衣装をリメイクするのね。それは素敵だけど、僕の衣装はどれだけ派手になるんだろう?


 公爵領の主要産業を宣伝するためにレースやフリルをふんだんに使う衣装を僕に着てほしいなら仕方ない。


 大叔母は緑の一族のアオザイの衣装の刺繍に感銘を受けて洗礼式の衣装のジャケットの裏地に施す刺繍の図案を考えている。


 僕の希望を聞いてもらえるなら小さくてもいいのでノンを入れてほしい。


 サミュエル叔父達が出立すると大叔父夫婦との距離が近くなった。

 それだけサミュエル叔父が僕に張り付いていたのだろう。


 大叔父夫妻に甘やかされた僕はおねだり上手になり、変装して下町で祠巡りもできた。

 もちろんセドリックも一緒だ。

 お世話になった商会の本家にご挨拶してメモパッドを贈呈すると喜ばれた。

 シャオ王国に行く行商人達に、旅の途中で仕入れた繊維で作る予定のショールをメラニーの元へ運んでもらうための心付けだよ。

 ショールにノンの刺繍をしてほしい、と大叔母に頼んだら喜んで引き受けてくれた。 

 出来上がりが楽しみだ。




 そうこうしている間に砦の移築も終わり、トニーが率いる予定の王家の騎士団の分隊が公爵領に間もなく到着するらしい。


 僕は夏の間は温泉地で過ごし寒くなる前に公爵領に下がる予定だ。

 大叔父夫妻も長男夫婦に領政を任せて途中で合流する計画を立てている。

 癒しの湯の効能の話を聞いたら誰だって行きたくなるよね。


 公爵領城は王家の騎士団を歓迎すべく、公爵領の騎士団員達が城の前で整列しているのを見ると、僕たちのお出迎えもこうなるはずだったのに、サミュエル叔父のせいで台無しになった事に気付いた。


 あれだけの反感か買う状況から大歓迎にひっくり返したサミュエル叔父は傑物なんだろう。


 僕とノンとセドリックは大叔父夫妻の前に立ち騎士団の到着を出迎えた。


 トニーの指揮下に入る分隊は僕達に馴染みのある面々だった。

 分隊長の横にいるちょっと豪華な装備の若い騎士に見覚えがある。


 コンラッド兄上、とセドリックの口が動いたけど、彼はサイラスの方だよ。

 双子は時々入れ替わっているから自己紹介があるまで黙っている方がいいだろう。


「お待ちしていましたハイアット部隊長殿」


 後見人の公爵代行の大叔父ではなく僕が挨拶したのはこの場で社会的地位を考慮しなければ一番身分が高いのが(従者見習いセドリックを除く)僕だったからだ。


「よろしくお願いいたします、アルフレッド殿下。こちらは騎士見習いのコンラッドです」


 ハイアット部隊長の紹介ににっこり笑ったサイラスは、黙っていてくれ、と言うかのように僕にウインクをした。


 はいはい。口裏を合わせればいいんですね。


「奇遇ですね。僕の従者見習いはコンラッド殿下の弟君と同じ名前です」


 僕の受け流しが想定外だったのかサイラスもとい偽コンラッドは吹き出した。


「少ない情報で正解に辿り着きましたねアルフレッド様。成人前で正式に騎士団に所属していないから私は騎士見習いですか、アルフレッド殿下の隣にいる従者見習いは洗礼式前なので従者見習いの見習いです」


 兄弟で同じお忍びでも公にできないお忍びと公にできるお忍びの違いという事だろうか?

 いずれにしてもサイラスがコンラッドのふりをしている事を言及してはいけないだろう。


「わかりました。見習いの見習いのセドリックは時々僕の従弟に戻ります。コンラッド様は王族の騎士見習い、という事でよろしいのですか?」


 サプライズの設定を淡々とすり合わせると大叔父夫妻が噴き出した。


「コンラッド殿下。アルフレッド殿下は領城の到着時にサミュエル殿下にドッキリを仕掛けられていたので二回目だから慣れているのですよ」


 叔父上にしてやられたか、と偽コンラッドのサイラスは舌打ちした。


「本当は砦の移築から立ち会いたかったのだけれど、私が動くと騎士団の人員に影響を与えるから今日まで我慢していたのに!サミュエル叔父上はなぜ公爵領に立ち寄ったのですか?」


「まあ、そこのところは晩餐の席でお話いたします。今晩はコンラッドの好物の骨付きラムのステーキですよ」


 大叔母が壮行会のメニューの内容を話すと偽コンラッドのサイラスの頬が上がった。

 骨付きラムステーキが好物なのはコンラッドではなくサイラスで、大叔父夫妻には入れ替わりが見抜かれているのだろうか?


 詳細は壮行会の後なぜか僕の部屋に押し掛けてきた偽コンラッドのサイラスかじっくり聞くことができた。


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