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僕の異世界生活はどうにも波瀾万丈なようです。  作者: 有木苫占
第三章 男児はつらいよ ~僕とおじさん

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15 賑わう公爵領は千客万来!?

「やあ。君の名前はセドリックだよね」


 しれっと馬車に同乗している従者姿のセドリックに笑顔で声をかけると、セドリックは満面の笑みで頷いた。


「はい。私はアルフレッド様の従者見習いのセドリックです。あに、コンラッド殿下とサイラス殿下のご友人の従者に行儀を習い今回アルフレッド様のお世話をさせていただく練習をさせていただきました。まだまだ未熟者ですが、どうぞよろしくお願いいたします」


 僕の出立の日が決まってから何やら企んでいた従弟達はセドリックに従者の仕事を教え込んでいたのか……。


「はい、大叔父様!王子様が従僕に習いなどして、いいのでしょうか!」


 僕の疑問にトニーとノンが賛同するような視線を大叔父に向けると、ガハハハッと大叔父は豪快に笑った。


「王族に限らず上位貴族の末っ子に求められるのは何でもこなせる器用さですよ。私も公爵家の末っ子として誕生し公爵家を継いだ兄上が子を成す前に亡くなり、私が高爵位を継ぐ話が回ってきました。それでも辞退したのは、姉上、王妃殿下の御子を公爵家に迎えた方が圧倒的に公爵家のためになるからですよ」


 爵位を継ぐ能力がなかったのではなく、公爵領の繁栄のために魔力の多い姪っ子を迎え入れる決意をした、という大叔父の話にセドリックは目を輝かせて聞き入った。


「王太子殿下の三男は上の三人の殿下に劣らぬ魔力と実力があれば王位を望めますが、本人にその気がない。それでも、万が一のことがあれば国王代行を務められるように研鑽せねばならないけれど、将来王位につく気がないことを周囲にアピールしておくことが大事です」


 セドリックは、うんうん、と頷いた。


「私は王位を目指していませんから将来どんな職業にでもつけるようにアルフレッド様の元で勉強させていただくことになりました!よろしくお願いいたします」


 どんな職業にでもチャレンジする心がけはいいが、王子様なんだから従者見習いはどうかと思う。


 僕とノンは首を傾げたがトニーは納得したように頷いている。


「従僕の仕事から公爵領城の従業員の仕事ぶりが学べますよ。それこそ、洗礼式前の幼い年齢だからセドリックを従僕見習いとして公爵家で受け入れることができます」


 大叔父の説明でようやく僕も納得した。

 身内のお茶会にこそ出席しているが公の場に出る前の一般に顔割れしていない幼児だからこんな事ができるのか。


 僕の従者見習いとしてセドリックを公爵領城で受け入れたら、セドリックを次期公爵候補に推そうとする公爵領での流れを止められるから大伯父はセドリックの希望を受け入れたのか。


 これはコンラッドとサイラスの案なのだろう。双子はなかなかの策士だ。




 馬車の馬を変えるために立ち寄った町で休憩する際、お茶を用意するシーナの手伝いを甲斐甲斐しくするセドリックの姿を大叔父の従者達が微笑んで見守っていた。


「従者見習いさんもこちらに座ってお茶をいかがですか?」


 僕がセドリックに声をかけるとセドリックは、はい!と喜んで僕の隣に座った。

 従者見習いらしくない態度だが、護衛のトニーもシーナも公爵家の客人扱いなので席に着いている。僕の従者見習いも別格として大叔父の従者がセドリックに甘いお茶を用意した。


 こんな風にセドリックは特別扱いの従者従者見習いとして公爵領城に向かった。




 公爵領は豊かな土地だった。

 小麦の生産の量はラウンドール王国で一番多く、潤沢な資金で各地から繊維を仕入れ領都は紡績業で栄えていた。


 そんな栄えている領都の城壁の外からでも白亜の領城が見えた。


 商人達の馬車が列をなしている横を御者の顔パスで僕達の馬車は城壁の検問を抜けると、行き交う人々は道を開けており、通り過ぎる馬車に一礼していた。


「市民たちはアルフレッド殿下に敬意を払っていますよ」


 うんうん、と大叔父は満足そうに頷いた。


 大名行列みたいにひれ伏すほどではないが往来するすべての市民が足を止めて頭を下げている。この街で僕はお忍びで祠巡りができるかな?


 シーナは小さく首を横に振った。

 僕とシーナが変装してもトニーは有名人だし、従者見習いのセドリックを置いていくわけにはいかないから無理か。


 そんな事を考えていると領城に到着したのに、なかなか城の正面玄関に馬車が寄せられなかった。


 領城正面の前庭に王家の騎士団の装備の騎士達が大勢いたからだ。

 騎士達はのろのろと進む僕達の馬車の両側に整列するとようやく上面玄関に辿り着いた。


 なんで王家の騎士団がいるんだ?と大叔父は眉を上げて車窓を覗き込んでいる様子から察するに、想定外の事態のようだ。


 ゆっくりと大きく首を横に振るシーナの様子から察するに、精霊達が予想していた中でも嫌なパターンだったのだろう。


 大叔父が馬車から降りると家令と思しき人物が走り寄り大叔父の耳元で何やら囁いた。


「アルフレッド殿下。どうやら先客がいらしているようです。お疲れのところ申し訳ありませんが先にご挨拶しに伺いましょう」


 馬車から降りた僕に大叔父は声をかけた。


 到着したばかりの僕が挨拶しに行かなければならない先客なら相手は王族クラスだろう。


 女性騎士志望だったブリジット伯母なら早馬を乗り継いで先回りできるだろう。でも、ブリジット伯母ならシーナがあれほどガッカリしなかっただろう。



 やや速足で案内された豪華な客間にいたのは、サミュエル叔父と青年アダムだった。


「やあ。来ちゃった」


「来ちゃった、って何しに公爵領に来たのですか!」


 優雅なご挨拶なんて頭から吹っ飛んでしまった僕は大きな声を出してしまった。

 いけないいけない。

 初対面の大叔父一家もいるのにとんだ礼儀知らずの振る舞いをしてしまった。


「ええと、シャムエル叔父上。お目にかかれて光栄です。公爵領にご用事があるのでしたら、先日お会いした時にお話してくださっていらしたら、これほど驚きませんでしたのに」


 王族スマイルを浮かべつつも、何しとるんじゃワレェ!と一瞬だけ目力を込めた視線をサミュエル叔父に向けた。


「よかった!驚かせたくて黙っていたんだよね」


 サプライズ大成功!と大喜びするサミュエル叔父と背後の青年アダムの横で菩薩のような微笑を浮かべた夫人が大叔父の妻だろう。


 僕を迎え入れる準備で大わらわな最中に唐突にやってきた第二王子の対応で夫人は涅槃の境地に達してしまったようだ。


 ああ、この場で、このやらかし叔父さんを叱れるのはたぶん僕だけだ……。


 シーナが無言で僕とサミュエル叔父の交互に視線を向けると、やってしまいなさい!と目で言った。


「僕達を驚かせるなら、僕達以外の方々に迷惑をかけないように事前に連絡しておいてください。この様子ですと領城に先ぶれもなしにご訪問なさったのでしょう」


 語気を強めることなく、淡々と説教をするとサミュエル叔父は笑みを深めて頷いた。


「うん。アルフレッドに叱られると思っていたよ♡ 」


 おいおい!幼児に叱られて喜ばないでくれ!


 貴方はM気質ではなく、Sの方ですよね!I


 入れ替わりプレイはパートナーとやってください!

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