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僕の異世界生活はどうにも波瀾万丈なようです。  作者: 有木苫占
第三章 男児はつらいよ ~僕とおじさん

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13 僕とセドリック

「アルフレッド様と一緒に侯爵領に行きたいです!」


 朝食の席でセドリックはパン粥をクルクルとスプーンでかき混ぜながらブライアン伯父上に訴えた。

 セドリックはここ数日家族に同じことをずっと訴えかけている。


 僕と一緒に勉強をするようになったセドリックは魔法学校入学前の課題をほとんど熟してしまい、頑張ったご褒美として僕とずっと一緒にいることを望んだ。


 同年代の同性の友人がいない僕はセドリックと一緒に学ぶことでこの世界の常識を自然な流れで学べている。

 ノンに対抗心を持ち頑張るセドリックはトニーから体術を学ぶ仲間として、僕はセドリックが好きだ。この世界の常識を知らない僕はセドリックと共に学んでいる時間が楽しい。


 公爵領は現在、王妃の祖母が僕の代理で治めている。洗礼式前の僕はまだ高爵位を公式に相続していないので、従弟のセドリックは申し立て次第で公爵領の権利を主張できる。公爵領の誰かがセドリックを強く推せば僕の立場は危うくなる。


 当のセドリックは王位にも高爵位にも興味を示しておらず、もっぱらトニーのような魔法剣士に憧れ、シーナのようなに方面の魔法を自在な操る事にも憧れている、魔力の多い王族の少年だ。


 個人の能力を高めて国に貢献する子どもに育ってほしいと思っている叔父上夫妻はセドリックの成長をとても喜んでいる。

 

 魔法学校に入学するまでずっと僕と交流を持つと、セドリックと僕にとってどれほど有意義な時間になるかを伯父上夫妻は理解した上で、数ある問題を天秤にかけてなんとかセドリックの希望を叶えようとしているらしい。


 政治的手腕に長けているブライアン伯父上でも、避けて通れないのが資金繰りだ。


 僕には最強の護衛のトニーと上級魔術師にして上級魔導士相当の元聖女のシーナがついているから少人数で旅をできる。だが、セドリックが一緒に行くとなると、それなりの数の従者を従えなければならず、そうなると護衛の人数をそれなりに揃えなくてはならなくなる。


 僕の洗礼式を執り行う国を争って教会に多額の個人資産をつぎ込んでくれたブライアン伯父上は、後で補填があると言えども今は苦しい状況だ。


「それについては何度も話しているだろう。公爵領にお前が押し掛けるより、魔法剣士トニーの新領地が整ってから訪問する方がいいんだよ」


 温泉地に魔法で砦を移築して国王直轄の騎士団が常駐してから、激励と称して王太子怪一家が訪問した方が現地の騎士団員を護衛として調達できると伯父上は算段したらしい。


「みんなで一緒に行くんじゃなくて、僕だけアルと一緒に行きたいんです!一人で着替えもできる服を用意しました」


 セドリックが要求したお土産は、ごてごてした貴族の服ではなく、祖母の実家に行くのに相応しい品質でありながら一人で着られる服だった。


 一人で着替えができるようになったからといってブライアン伯父上が認めてくれるかどうかはわからない、と明言した上で、城下町に出たお土産にセドリックでも着れそうな服をシャオ王国からの脱出を協力してくれた商会で見繕ってもらっていた。


 報奨金で懐が潤っている僕は、お世話になった商会にお金を落とす上、商会の人達からメラニーとアデルの様子を聞くことができた。


 王位を禅譲させた父上が王宮に引っ越す手筈を整えるまで離宮にいるメラニーは、お気に入りの喃語ではっきりとアデルに話しかけているらしく、しっかりした言葉が出てくるまであと一歩いったところまで成長したらしい。


 僕のことを忘れてしまう前にメラニーに会いに行きたい。アップウの呪文で転移できるけれど、今の僕は常に王太子離宮のメイドがそばにいる状態なので、誰にも知られない時間帯に転移するとなればメラニーが寝ている真夜中にしかない。


 突然転移してアデルを驚かせメラニーの睡眠を妨害しないために僕は自重している。


 掌に集まっている精霊達が父上に抱かれたメラニーが楽しそうに笑っている映像を見せてくれたから、ひとまずそれで満足している。


 母の遺産で逃亡した僕はラウンドール王国の公爵領で魔力奉納をする自分の責任を果たしてからメラニーに会いに行こう。  


 そんな僕の野望とは別に、僕についていけない理由をブライアン伯父上にとくとくと説明されたセドリックは、僕と同じくらい身辺自立をしたら旅ができる、とまだ思い込んでいた。


「セドリック。アルフレッドはシャオ王国から逃れて身辺自立ができたから少人数で旅をできるのではなく、まだ洗礼式前なのにラウンドール王国の公爵領で成すべきことがあるから出向くんだよ。セドリックはアルフレッドに公爵領で肩身の狭い思いをさせなくないのなら、我慢しなさい」


 ブライアン伯父上は難しいことを説明しても理解できないセドリックに、僕に迷惑がかかるからだ、と言うと、セドリックは僕を見て涙目になった。


「公爵位を継いでいた僕の母上はもう死んでしまっていないのです。そこに、次の王様になる母上のお兄さんの子どものセドリックが僕と公爵領のお城に行ったら、出迎えるお城の人達は誰が一番偉いと思いますか?」


 政治的な配慮を理解できないセドリックでも僕が蔑ろにされるかもしれない事に気付き、わかりました、と言って項垂れた。

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