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僕の異世界生活はどうにも波瀾万丈なようです。  作者: 有木苫占
第二章 おっぱいがいっぱい?

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18 姉妹でしょうか?従妹でしょうか?いいえ、百合かもしれません

 僕達を取り囲んでいた美女達に謝罪するように促された少女が僕達の前に押し出された。

 艶々な長い黒髪に花冠を被っている同い年くらいの女の子は、キっと僕を睨みつけた。


 やっぱりヘンタイという言葉は僕に向けた言葉だったのか。


「精霊魔法を制御できないだけでなく、口も悪い子じゃね。うちの魅力的な女の子達を見て男の子がどう思うかなんて大した問題じゃない」


 カカシの言葉にカミルさんは小さく頷いた。

 

 少女はちょっと残念そうにカミルさんを見るとトニーに尊敬のまなざしを向けた。

 男性として堅物すぎるトニーは少数派に属していると思うぞ。


「ほら、そんな顔しないで、精霊達からのあらかじめ聞いただけの情報でアルフレッド殿下に失礼な発言をした事を謝りなさい」


 メロンのように大きなお胸だが顔はシーナに似ている美女が花冠の少女に促した。

 ヘンタイはイヤ、と口だけ動かした花冠の少女は小さく首を横に振った。


「アンナ。妹の躾がなっていようね。アルとトニーとノンは族長の客人なのよ」

「はい。申し訳ありません」


 アンナと呼ばれた巨乳美女は花冠の少女の頭を鷲掴みすると一緒に頭を下げた。

 頭を下げておけば声に出さずに文句を言っている事がバレないだろうと目論んでいるのか妹の頭をアンナは押さえ続けた。


「ニーナ。精霊達の言うことを鵜呑みにしてはいけません。まして、あなたは一部の精霊達の声を時々耳にするだけでしょう。精霊達は嘘をつきませんが、自分達に都合のいいことしか言いません。アンナ。ニーナにお仕置きを……」


「ちょっと待った!男の子がいない村にいきなり来た僕のことをここにいる精霊達が警戒するのは当然だよ。彼女に罰を与えるのは待ってよ」


 頭を下げ続けているアンナとニーナ姉妹に厳しい口調で叱責するシーナに僕は口を挟んだ。

 侮辱されたことは腹が立つが精霊達がからんでいるなら僕も慎重に対応した方がいいだろう。


「族長もおっしゃっていたように無礼講と無作法は全く異なる。娘の躾がいき届かなかった私がアルに謝罪すべきだったな。申し訳ない、うちの娘の妹が失礼をした」


 シーナが僕に頭を下げると、そんなつもりじゃ……と呟いたニーナが涙目で顔を上げた。

 ニーナの生意気な態度の豹変が気になったが、巨乳美女のアンナがシーナの娘だという事実に、僕とトニーとノンは驚いてシーナとアンナを見比べた。


 肉まんからメロンが生まれるなんて、隔世遺伝なのか!


「娘さんの妹さん?ニーナちゃんはシーナの娘じゃないのか?」


 シーナの娘はアンナとニーナで、二人は姉妹なのか、それともアンナが娘でニーナは妹の娘で従姉妹なのかはっきりしない紹介にトニーは混乱を起こしていた。


「ああ。紹介するよ。私の一人娘のアンナよ。そしてこの失礼な小娘が私と姉妹契約をしているリラの娘、ニーナ」


 シーナの紹介にアンナがお辞儀をし、僕達を取り囲む美女の一人が、リラです、と手を上げ、ニーナはふくれっ面でお辞儀した。


 妹契約?という聞きなれない言葉に僕とトニーとノンは首を傾げた。


「立ち話も何ですから、まずは我が家へお越しください。族長は村にいる時は私の家で暮らしています」


 カミルさんに促され僕達は途中で七大神の祠で魔力奉納をしながらカミルさんの自宅に向かった。


 道すがら話を聞くと、女児ばかり誕生する緑の一族独自の習慣で、年ごろの近い少女達が生涯の友愛を誓う姉妹契約を結び、婚姻で村を離れてもお互いに姉妹として連絡を欠かさない特別な関係になるらしい。


「アンナとニーナはずいぶん年が離れているけれど、姉妹契約関係なのですか?」


「年が離れていると言っても、十しか離れていないわよ。今年七歳のニーナには他に二人ほど姉妹契約をする予定の姉がいるけれど、二人は魔法学校の寮に入っているから、村での姉さんはアンナよ」

 

 トニーの疑問にシーナが答えると、ニーナは誇らしげな表情でアンナの手を取った。


「まだ、予定というのはどうして?」


 僕の疑問にニーナはキッと僕を睨んだ。


「通常、姉妹契約は洗礼式を終えてからするからニーナは夏の洗礼式の後にすることになります」


 アンナの回答にニーナは得意気な表情になり、ニーナの腕に縋り付いた。僕より一つ年上なことが誇らしいのかな?

 いや、もうすぐ本格的な夏だ。間もなくアンナと姉妹契約をする事を自慢したいのだろう。


 おや!アンナにまとわりつくニーナの手がアンナの大きなおっぱいに触れている!


 僕の腕の中のノンがつぶらな瞳で僕を見た。

 羨ましいかって?……そりゃぁねぇ……羨ましいよ!

 ノンはジト目で僕を見た。


 だってさぁ、前世で、時速六十キロメートルの車の窓から手を出して当たる風圧がおっぱいの柔らかさに似ているって小耳に挟んで試したくらいの経験しかないんだよ。

 掌に圧はかかったけれど、それがおっぱいの硬さかどうかなんてわかるわけないじゃないか!

 憧れないわけないじゃないか!

 本物の柔らかいおっぱいに!


 ノンが残念な子を見る目で僕を見た。


 緑の一族の村は魔力の少ない土地を開拓したはずなのに、どこもかしこも緑に溢れていた。

 本日二回目の魔力奉納は、村の守りの結界の魔力が十分足りているからなのか、驚くほど少ない量しか魔力を奉納せずに済んだ。

 

 畑や鍛冶場では男性も働いており、カカシと僕達を見ると笑顔で手を振ってくれた。


「男性達は婿入りで村に入ったから男児は見慣れているけれど、うちの女の子たちは魔法学校に通うまで男の子を見たことがないから、洗礼式前の男児は初めて目にするんじゃ」


 僕が歩くだけで、可愛い、可愛い、と黄色い声が聞こえてくるのは、僕はパンダの赤ちゃんぐらい物珍しい珍獣扱いされているからなのか。


 今日はレースとフリルをふんだんに使用した本物の王子様の衣装だもん。村の女性達には、お人形が歩いている、くらいの衝撃があるかもしれない。


「そっか。村の外に嫁がないと男の子の幼児を目にする機会がほとんどないのか!」


 元聖女のシーナは教会の仕事で大勢の子ども達を目にする機会があったから、洗礼式前の男児が珍しい存在だと失念していたようだ。

 

「うちの妻も魔法学校の寮住まいで、在学中に見合いをして卒業後すぐ私と結婚したから、洗礼式前の男の子を目にするのは初めてです。今朝、みなさんがうちに滞在することが決まって、妻は大はしゃぎで支度を始めましたよ」


 楽しそうに笑うカミルさんに、僕とトニーは、お世話になります、と頭を下げた。


 アンナにまとわりついているニーナは面白くなさそうな表情になった。


 男の子だ、というだけで特別扱いされている僕の存在が気に食わないのだろう。


 

「ようこそわが家へ!」


 笑顔で僕達を迎え入れてくれたカミルさんの奥さんは、張り切ってお少し遅い朝食を用意してくれていた。

 

「朝食は軽く済ませている、と族長から伺っていたので、昼食を兼ねてたくさんご用意したのよ」


 カミルさんの自宅は村の集会所を兼ねているのかとても広く、奥さんが挨拶している間にも手料理を持参した村人たちが食堂に集まってきて、大勢の女性がいた。


「……私みたいな出戻りもいるから、村の人口は女の方が圧倒的に多いのよ」

 

 シーナがトニーに囁いた。


 女性がたくさん集まればかまびすしいのは致し方なく、僕とトニーの容姿や衣装やノンのリボンやニーナが僕をヘンタイ扱いしたことまで囁かれていた。


「お姉さま!」


 シーナは背後から巨乳美女に抱きつかれると、美女をぐるんと振り回し、頬を寄せ合い、熱い抱擁を交わした。


 聖女の衣装のシーナとアオザイの巨乳美女!

 何、この絵になるカップル!

 百合ですか!百合なんですね!


「紹介するよ。私の妹のアナ。アナ、今回、私が護衛依頼を受けたアルよ。こっちはアルの護衛のトニー。兎のノンは賢いから私たちの言葉がわかるわ」


 妹って、契約の妹じゃなくて、本物の妹なのか!

 姉妹なのに肉まんとメロン……。アンナは叔母さんに似たんだね。


「お姉さまが冒険者になった、って聞いてびっくりしていたんだけど、こんなに可愛らしい男の子のために冒険者登録をしたのね。てっきり、キリシア公国の火竜でも討伐に行くつもりなのかと心配したのよ」


 親族としてはシーナがいきなり冒険者になったと聞けば心配だっただろう。


「キリシア公国の火竜は王族の特殊な魔法よ。キリシア公国の火竜討伐は王族暗殺の暗喩よ。そんな話が出るなんて、また、あの地域に紛争の火種があるの?」


 シーナが眉を顰めると女性達は頷いた。


「キリシア公国は火竜が健在じゃからしばらく持つ」


「ああ、よかった。カカシ様のしばらくは私達の一生分だもの」


 世界中を股に掛ける緑の一族らしく、みんな国際情勢に敏感だ。


「きな臭い噂があるのなら、キリシア公国近辺を避けて海に出た方がいいかな?」


 トニーの質問にカミルさんは頷いた。

 みんな僕達の旅路を心配してくれていたのか。


「最近、クラーケンの話を聞かないし、海路で行くのはいいかもね」


 おお!クラーケン!

 この世界ではイカ型なのかタコ型なのか気になるところだが、遭遇したくない。


「お話は食べながらでもいいでしょう。みんな座れるかい?」


 カミルさんの奥さんは各テーブルに料理を並べながら立ち話を続ける僕達に席に着くよう促した。


 さっきからスパイスのいい匂いに僕はすでにやられている。

 カレー味のご馳走があるに違いない。

 スープカレーかな?タンドリーチキンかな?


「こんなにたくさん用意してくれたのに、ごめんね。ちょっと着替えを先にしていいかしら。こんな白い服を着てカリーを食べたら汚すことしか想像できないわ」


 シーナの言葉に僕も頷いた。

 王子様然とした品のある食べ方をしたいが、ひらひらの袖のレースが黄色く染まってしまうに違いない。


「あら、そうね。リラ、案内してあげて……。ニーナ!そんな顔しないの!シーナはアルフレッド殿下の護衛なんだから隣の部屋にするのは当然でしょう!まったくもう!この子はシーナを尊敬するあまり、いつもアンナにべったりだし、今日は到着早々、アルフレッド君に無礼を働いたんでしょう!ごめんなさいね」


 あっ、そっちなんだ。

 上級魔術師にして上級魔導士相当の元聖女のシーナが少女のあこがれの対象になるのは理解できる。


 シーナと護衛契約を結んでいる僕がシーナを独占しているから僕に嫉妬しているんだ。


 それにしても、一方的にヘンタイなんて決めつけないでほしいな!

『前途多難』のカカシこと、マナさんは魔法学校の寮に居残り中で不在です。


『波瀾万丈』にマナさんの登場予定はありませんがこの時間軸に存在しています。

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