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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第二章 復讐の連鎖編
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第44話 偽りの日々、温かな日常


……バディを組まされてから約一ヶ月、次の任務からとハカセは言っていたのに、

実際に私達に与えられた任務は"一緒に過ごす"と言う意味の分からない物だった。



私はとにかく来たる日に備え、ただひたすらに鍛えねばと言う思いでラボの運動場に来ていた。



……もちろんメガイラも一緒に。



二人で並んでランニングマシンを使って他愛のない話をしていた。



「そう言えばソフィーはアリアには会いましたか?」



「いや、たまにラボで見かけたり資料は見たんだけど、忙しそうで…」



半分は本当で半分は嘘だった。



確かにMV-02ヘル…アリアは忙しそうに任務にあたっていた。



ティターニアが全世界規模の軍事行動をしている以上少数精鋭のメカニカルワルキューレの人数では限界が有るのだろう。



私がラボに来てからあまり長時間彼女を目にした記憶は薄い。



……そしてもう半分は、あまり得意なタイプでは無いので関わりたくなかったのだ。



「確かに最近は……ティターニアの動きが激しいですからね。


長期任務も増えてきましたから……


──以前はアリアが毎日居るからうるさいくらいだったのですが」



メガイラは走るペースは落とさず、しかし何処か少し寂しげに声のトーンが落ちる。



「以前?」



私は本当に、何となく聞き返す。



「はい。プロメテウス……"ダルク"を倒してから……ほんの少しですが……しばらくは平和だったんです。」



メガイラのそれを聞いて

それまではどれだけランニングマシンを使っても平時と変わらなかった心拍数が上がり始めたのを感じた。




「へ、へぇ……私はそのダルクって人のデータ観れてないんだけど……ラボにとって……機密情報みたいな物……かな?」



私は必死に抑え込み平静を装う。



でも、確かに私に与えられたデバイスにはダルクの情報は一切、不自然な程無かったのだ。



「あれ……誰でも閲覧可能…だった気が…」



メガイラがそこまで言いかけた時



運動場の自動ドアが開いた



「たっだいまー!長期任務終了だぜー!!ふいー、キンキンに冷えたスポドリくれー!!」



アリアはドカドカと運動場に入って来るなり冷蔵庫に一目散に向かい、ドリンクを片手にこちらに近付いてくる。



先輩様の登場に私達はランニングマシンを止める。



「おう、メガイラお疲れー。


えっと……それと、確かナギサが鍛えてた……


ソフィア…だったか、挨拶遅れて悪かったな。


メカニカルワルキューレの……アリアだ。」



──アリアも三年ですっかり大人びた雰囲気に成長していた。


挿絵(By みてみん)


短髪だった髪はすっかり伸び、体型も少女のそれから大人びた丸みを帯びたものになっていた。長い髪は先端が少し内側にカールしていて凛々しさの中にも落ち着いた雰囲気を感じさせる──



「───あ、アタシの事はアリア大先輩と呼んでくれよな!」



アリアはそう言うとニカッと笑う



──外見だけは成長していた。



「あ、あはは、アリア……大先輩…」


私は純粋に苦笑いを浮かべてしまう。


「ソフィー、アリアの言う事を真に受けなくて良いですよ。」


メガイラとアリアが何か武装関係の話し合い始めたので、私はすかさず自身に支給されたデバイスを使い、ダルクについて検索をかける。



ダルクの関係するであろう情報が全く出てこない……思わずスクロールする指が止まる。




──やはり、気付かれている。




メガイラの反応から、メガイラには気付かれては居ないのだろう。




……だが、ハカセは確実に私の出自について気付いている。




気付いておいて、あえて私がメカニカルワルキューレになる事を許した……何故?




私が思考を巡らせていると




「ソフィー?」


メガイラが私の顔を覗き込んでくる。


「あ、あぁ…どうしたの?」



「アリアがご飯を奢ってくれると。

是非たかり…有り難く頂きましょう!」


メガイラ…今タカリって…



「い、いや私は良いよ。私はメカニカルワルキューレになってから日も浅いし、是非二人で…」



私は普通に行きたくなかったし、デバイスの閲覧規制について調べたかったから断ろうとするも


「何言ってんだ。


日数なんて関係ない。ここに居るならアンタは既にアタシの可愛い後輩だ。


遠慮なんかしなくて良いんだよ」



アリアは先ほどとは違い温かな笑みを浮かべていた。


私は……断る術を失ってしまった。



こんな事を言われて断れば顰蹙を買うだろう。



アリアは破天荒ではあるが優しいのだとこの短い会話で実感した。




──しかし私はその優しさが疎ましく感じていた。

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