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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第二章 復讐の連鎖編
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第45話 優しさの茨


私とメガイラはアリア大先輩に連れられ、小型の飛行機を使いラボの比較的近く(と言っても数キロ離れた街)の飲食店に来ていた。



何でも、ここはオムライスが美味しい店なのだとか。



メガイラは目を瞑りながら、いつもの数倍くらい饒舌にそこのオムライスの魅力を私に伝えてきた。



……と言うか壊れたレコードみたいでちょっと怖いくらいだった



私はメガイラに思わず聞いた。



「メガイラは何でそんなにオムライスが好きなの?」



確かにオムライスは好きだ。


簡単に出来るのに味はそれらしく出来るし。



ただ、そこまで執着する意味が分からなかった。



「リリィが……私に教えてくれた始めての美味しい食べ物だったんです。


それまでは人とも関わらず、栄養だけ接触出来れば良いと、味にも無頓着だったんです。



そんな私に手を差し伸べてくれた……彼女との思い出なんです。」



「そう……なんだ……素敵だね。」


と私は笑顔を浮かべる。



リリィ……あの心ここにあらずといった感じのキリングマシーンが…?



私はラボに来てから彼女の数多の戦闘データを見てきた。



どれもピンポイントで、相手の頭部や胸部、エネルギー機関であるネガ・メガミドライヴを一撃で破壊すると言う、合理的で無慈悲な戦闘スタイルな戦闘マシーン。


それがリリィ……MV-01ヴァルキリーへの私の認識だった。



「……ていうか、アイツは優しすぎるよ。


未だにダルクの野郎やプロメテウスの人間殺した事気にしてんだから……


気にしたって……飯が不味くなるだけなのによ。」



アリアは飲食店の駐車場に小型飛行機を着陸させつつ言う。



「ダルクの野郎……


あの、お……ダルクは…プロメテウスでいったい何をしたって言うんですか…?


何故、彼は死ななければならなかったんですか……?」



「えっ……何故ってお前……」



アリアは何言ってるんだと言う表情でソフィアに聞き返す。



「それが、ソフィーのデバイス、壊れているのか、ダルクに関してのデータが閲覧不可能状態みたいなんです。」



メガイラが横からフォローをしてくる。


「あぁ……そうなのか……

ダルク……ダルク・グリードはプロメテウスの専属技術者兼総合責任者だったんだよ。」



「アイツは、自分たちの都合で子供を改造したり、街を壊すような決断を平気でしてた……マッドサイエンティストだった。」


「リリィは、自分がダルクの野郎を殺したからティターニアが生まれたって思ってるみたいだけど、そんなはずない。


あの時のハカセの、リリィの…私達の判断は正しかった。


そいつだけは、誰にも否定させやしないさ」

アリアはこちらを振り返りニヒルに笑う。


私は言葉を失っていた。


思考が定まらなかった。


アリアが口から発した音を処理出来ない。



ダルクがプロメテウス…ティターニアの前身のトップ?



確かに、技術者として協力していた事は、認識していた。



しかし───彼は……。



思わず自分を無条件に肯定してくれそうなメガイラに目を向けるが、そのメガイラも目を瞑り頷いていた。



私が項垂れていたその時、小型飛行機にラボから緊急の無線が入る。



『アリアさん!貴女が居る街にティターニアの機体が接近中です!敵影は三機!』


「はぁ!?私達これから昼……あぁっクソっ!


クソティターニアがっ!


ソフィア!メガイラ!悪いが昼はおあずけだ!」



アリアは飛行機から飛び出すと叫ぶ。



「転移装着!」



叫ぶとアリアの周囲に空間湾曲が起き一瞬でアリアはメカニカルワルキューレ・ヘルを装着していた。



これは武器転送機能の発展で、適合者の身体にアーマーが空間転送され自動で装着されるというシステムだった。



「ソフィー!私達も!」



メガイラがこちらに手を伸ばしてくる。



私は差し出された手を思わず拒んでしまいたくなる。


何とか理性でおずおずと手を伸ばしてみるも、自分の手はまるで鈍器の様に重い。



そんな私の手をメガイラは思い切り掴むと私を立ち上がらせた。



私達も外に出るとメガイラが先にアーマーを装備した。



メガイラの純白の鎧は、まるで彼女の心を反映させたかの様で、美しいのに、私には眩しすぎる……。



私は自身に渡されたデバイスを見つめる。



──もし、アリアの言葉が真実なら、何故ハカセはそれを分かった上で私に戦える力を……




いくら考えても合理的な結論は出なかった。



ひとまず今は、この後の調査の為にも、目の前のタスクをこなさなくては……と自分に言い聞かせる。




私はデバイスを掲げ、自身に託された鎧を身に纏った。




──誰かを守る為のそれが、私自身を縛る“茨”に感じられた。

どんな形であれ、絶対にハッピーエンドにするんにゃ

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