第42話 新たなる始まり
プロメテウス崩壊から3年の月日が流れた。
新たな出会いや別れがあり、日々は過ぎていく。
しかし、3年が経っても世界から争いは無くなっていなかった。
「こちらリリィ…目標を視認しました。」
翡翠の髪をたなびかせる17歳のリリィが──
その年齢には不釣り合いな静けさで、大型機動兵器をビルの屋上から見下ろしていた。
『リリィさん。敵機はネガ・メガミドライヴ搭載機です。今回も油断せずに対応をお願いします。』
ネガ・メガミドライヴ搭載機……自身らの扱う技術が生体部品では格好が付かなかった者たちが免罪符の為に付けた忌まわしき名前。結局は今も変わらず少女達を材料にした生体部品を使っているという事。
プロメテウスを、ダルクを倒しても世界は何も変わらなかった。それどころか、世界の歪みは更に悪化し、世界は混迷の中にあった。
私が、ダルクを殺したから……?
考えても、きっと答えは出ない。
私はビルの屋上から躊躇なく飛び降りる。
今はただ、目の前の死を呼ぶものを破壊する
───昨日も誰かが笑っていた。
────明日も誰かが笑ってられるように。
敵を真っ直ぐ瞳に映し、コンバットメイデンを構えると一気にスラスターを吹かせ大型機動兵器に突っ込んだ。
───
この3年で世界は大きく変わった。
プロメテウスの残党は様々な国に技術提供をし、代わりに様々な国から支援を受ける事で勢力を指数関数的に強め、もはや残党とは呼べない強大な力を手に入れていた。
平和を守る為の国連とは対極の、
世界を終わらし得る新たな共同体……
彼らは自らを"ティターニア"と名乗った。
───
私が作戦を終えラボに戻るとすっかり大きくなった、14歳になったメガイラちゃんが出迎えてくれた。
「おかえりなさいリリィ。今日もお疲れ様です」
髪は当時のショートカットからとても伸びて、顔こそまだあどけなさは残るけど、笑顔が可愛いお姉さんに成長していた。
「今日の戦いも凄かったです。流れるような剣裁き、私も見習わないと…」
メガイラちゃんは最近、よく私と模擬戦をする様になった。嬉しいか悲しいか、私の様なワルキューレになりたいらしい。
……可愛い妹だ。
「……メガイラちゃんにはメガイラちゃんの戦い方があると思うけどな?」
「……そうですが、私は……」
そこまで言ってメガイラちゃんは言葉を詰まらせた。
その時、後ろからもう1人の少女に声をかけられる。
「リリィ先輩!お疲れ様です!」
彼女の名前はソフィア。適合した魔力結晶と同じ名前を持つ少女だ。いつもニコニコしている。
ニコニコしすぎて素の顔が分からない程だ。
「ソフィーもお疲れ様。今日もリリィの戦闘データを閲覧していたんでしょう?」
メガイラちゃんはソフィアに親しみを込めてソフィーと呼んでいる。
ソフィアは私の戦闘データを見て何をしているんだろう?
「うん!早くリリィ先輩に追い付きたくて!」
笑顔で言われるとこそばゆいかも…
「そっか、ソフィアも無理せずにね?」
私はメガイラちゃんとソフィアに手を振ると
格納庫を後にした。
私の背中をソフィアは、
その笑顔を崩さないまま、じっと見つめていた。
───
メカニカルワルキューレも私達を第一世代とし、第二世代のスーツ群が次々にロールアウトしていた。
それだけハカセも、ティターニアと戦うための戦力確保に必死なんだ。
──それが、正しい選択なのかは、もう誰にも分からないけれど。
2章突入…やべぇ…重すぎる




