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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第四章 ロード・テスタメント編
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第201話 未来を切り開く力


ハカセ達は外で始まろうとしているリリィ達の戦闘をモニター越しに眺めていた。



「……大丈夫でしょうか……彼女達は」


リーナは力なく呟く。


科学者である彼女が零してしまうほどロード・テスタメントの技術力は凄まじい物だった。



「……分からないわ。もし、危なくなったらサイサ……彼女達を……」



ハカセも力なく言う。


エリスの見せてくれたデータを見て改めて実感していた。


メカニカルワルキューレとロード・テスタメントの居る時代では、単純計算で千年以上の開きがある事が分かった。



故に技術体系こそ違えど、今はまだデウス・エクス・マキナとの戦闘だけは避けたかった。



───せめて、エリスが託してくれた未来技術を解析し、それを彼女達にフィードバックしてから……とハカセは考えていた。



しかし───そんなハカセの肩をサイサは優しく叩く。



「……大丈夫よベル。あの子達は必ず勝つわ。



───だって……ベルの娘達って事は、私の娘でも有るんだから」



サイサはそう言うとウインクして見せた。





「あらぁ……まぁ……」


サイサの発言を受けリーナは頬に手を当てながらニマニマとし、ソーマはほんの少しだけ不服そうな顔をしていた。





────





ヘル・バースト……それはアリアが咄嗟に名付けた、サイサさんの力を借りる事で生まれた新たな力の名前。




メガミドライヴ・リヒト───

サイサさんが齎したベータ世界線におけるメガミドライヴのもう一つの可能性、もう一つの到達点。



出力で言えばアルファ世界のスーパー・メガミドライヴに劣るが、奇跡の産物であるスーパー・メガミドライヴがリリィだけが操れる代物であるのに対して、サイサが九十年研究し続けたリヒトは魔力結晶技術の一つの到達点とも言えるほどの高い安定した性能を獲得しており、総合的に判断すればスーパー・メガミドライヴにけして引けを取らないほどの力だ。





……多分だけど、ヘル・バーストの名前、前から考えてたんだろうなとリリィはほんの少しだけ口角を緩める。




───自分だけが皆と違う道に進んでしまっている気がしていた。




戦闘において、感情が希薄になっていき、どんどん効率的に、洗練されていく自分自身に薄ら寒さすら感じていた。




そして自分しか使えないスーパー・メガミドライヴ……




───別に特別じゃなくていい。



私は、ただこうしてアリアや皆と並んで飛びたい。



ただ、笑顔でいたい。




……それでも、スーパー・メガミドライヴを持ってしても倒されたロード・テスタメント……ネメシスはまだ怖い。




───けど、またこうしてアリアと肩を並べられる事が嬉しかった。




───サイサさんには感謝しなくちゃ。




「リリィ!!アタシ達でこのままあのババア叩くぞ!!」




───まぁ……いくらペルセポネの敵意をこっちに集中させるためとはいえ、流石にババアだとかおばさんはちょっと可哀想とは思うけど。




「あっ……ヘルお前ぇ……またっ……!!



……こんのっ……クソガキがぁ!!」




───しかし、思惑通りペルセポネの敵意は完全に二人だけに向けられた。




───これなら……




「うんっ!行こうアリア!!



───ヴァルキリー・リヒト!いきます!」




リリィの叫びと同時に二人はペルセポネに飛んだ。




同時に三人が衝突し周囲に衝撃波が走る。




本来であれば今の衝突でメカニカルワルキューレ達は弾き飛ばされるはずだった。



「っ……!!」




「「はぁあぁあああ!!」」




しかしアリアとリリィは叫び声を上げながらスラスターを全開にしそのままペルセポネを押し込み吹き飛ばしてみせる。





ペルセポネは凄まじい衝撃に錐揉み状になりながらも背部から触手状のユニットを展開し、それをアンカー代わりに地面に突き刺して強引にその場に留まった。



そしてそのまま空に浮かぶ二人を見上げる。




「なんだ……この性能……アイツらと私達では千年以上の技術の開きがあるはずなのにっ……!?」



ペルセポネが驚愕しているとすかさずアリアが彼女の間合いに飛び込み両手のクローを高速で繰り出す。



「へっ……舐めんな後輩って事だ!!」



そのセリフは偶然にもラクシャシーがパンドラに放ったものと類似していた。


しかし───その時のラクシャシーが見せた虚勢とは違い、今のアリアの表情は確かな自身に満ちていた。




アリアは笑みを浮かべながら攻撃を加速させていく。 



ペルセポネは亜光速にすら達したアリアの高速突きをなんとか触手で防ぐも徐々に触手は切り刻まれていく。


 

ナノマシン製の触手は瞬く間に再生する。




しかし、その再生すら追いつかないほどの神速の連撃が、次々と触手を切り刻んでいく。





「クソが……クソがクソがクソが!!なんで……なんなのよ!!こ、こんなっ……!」





ペルセポネはまず手始めにメカニカルワルキューレ達が集まっている研究所を潰してから未知に満ちた過去の世界を散策するつもりだった。




あくまでこの戦闘はただの通過点……




本来であれば数秒で片が付く些事のはずだった。





しかし───





「今だリリィ!!このままぶち抜いてやれ!!」






「あっ……」





───全ての触手が失われた刹那……



ペルセポネの目には、真紅と翡翠の輝きが未来を切り開かんとする姿が映し出されていた。





「こんな刺激……初めて……」



翡翠と真紅の軌跡が交差し、ペルセポネの装甲が砕け散る。




そのままロード・テスタメントのパワードスーツは完全に切り裂かれ、ペルセポネは地面に伏した。






それは……メカニカルワルキューレがロード・テスタメントのデウス・エクス・マキナに初めて勝利した瞬間だった。

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