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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第4章:そして始まる、現代ダンジョン探索元年

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4−107:虹勾鳥の巣


 吹き抜け沿いの通路に散らばったドロップアイテムを、残さず回収した俺たちは……ホール最上階から繋がる階段を、上へ上へと上っていく。

 ……所々ひび割れたり劣化したりはしているものの、明らかに造りが上品な階段だ。相当地位の高い人が使っていたであろうことが、一目で分かるような意匠があちこちに散りばめられている。


「キュイッ!」

「ピィッ!」


 俺たちを先導する虹勾鳥2羽の足取りは軽い。この階段の上は天井も高くなっており、4色羽根の虹勾鳥の巨体でも余裕で通ることができているからだ。

 そして雛鳥の方は赤羽根が生えて、肉体的にも大きく成長したのだろう。ヨタヨタと危なっかしかった歩みが安定し、2本の脚でしっかりと床を踏みしめながら、とても楽しそうに歩いている。


「……虹勾鳥の成鳥とは、とても不思議なモンスターですね。体の周りの空気が陽炎のように揺らめいているのに、近くに居ても全く暑さを感じないとは……」

「涼しくてありがたいわ。体質的に暑いの苦手だもの……」

「ぱぁ」


 帯刀さんと朱音さんとアキが、3人揃って4色羽根の虹勾鳥の方を見る。その巨体からは炎こそ噴き出ていないものの、体が発する熱のためか周囲に陽炎が揺らめいていた。赤羽根の雛鳥のそれよりも、明らかに熱量は上だ。

 ……だが、近くに居る誰も暑さを感じていない。既に発した後の熱さえも抑え込む、高い制御能力を成鳥は持っているわけだ。


「お前も、いつかはあんな立派な虹勾鳥になるんだな……」

「ピィ?」


 赤羽根の雛鳥がちょこんと首を傾げている。初めて出くわした時の弱々しい印象があるので、赤羽根が生えてからは余計に力強くなったように感じるな。






 そして、全員で階段を最上段まで上りきる。そこには穴だらけの大きな扉があり、簡単に中へ入れるようになっていた。

 一応、辺りに敵が居ないか探ってみるが……うん、大丈夫そうだな。少なくとも、4色羽根の虹勾鳥より強い個体は居ないようだ。


「キュイッ!」

「ピィッ!」


 虹勾鳥2羽が迷わず扉の向こう側へと行ったので、俺たちも続いて中に入った。




「……こ、これは……」


 扉の先は、かつては謁見の間だったと思われる場所に繋がっていた。元々は玉座だったのであろう、酷く朽ち果てた椅子のような物体が数段高くなった場所に寂しげに置かれている。天井はフェルのフルサイズが入りそうなくらいに高く、広さも吹き抜けホールと同じくらいにあった。

 そして謁見の間 (仮)の中央には、砂利や細かく砕けた石で作られたであろうすり鉢状の鳥の巣と……。


「ピィッ! ピィッ!」

「ピィッ!」


 そこで元気な鳴き声を上げる、虹勾鳥の雛が2羽いた。どちらも色付きの羽根は生えておらず、まだ白い翼をパタパタと羽ばたかせている。


「なるほど、ここで子育てをしてたわけか」

「キュイッ!!」


 赤羽根の雛鳥は、親鳥が居ない時にたまたま巣から抜け出してしまったわけだな。


「………」

「どうしたのです?」

「……いや、随分合理的な巣作りの場所だなって思ってな。窓が無いから城外からは巣があるなんて分からないし、城自体の建材は石が主だから耐熱性も高い。虹勾鳥の特性的に、木の上とかには巣を作れないだろうからさ」

「うーん、確かにそうなのです」


 崖の途中に巣を作るパターンも考えたが、さっき見た感じではこの辺り一帯はかなり広い平野になっている。虹勾鳥が巣を作るのに最適な場所となると、やはりここになるだろう。通路も広いから移動にそこまで苦労しないしな。


「それにしてもお前、3人兄弟だったんだな」

「ピィッ!」


 やはり、人間の言葉が分かっているらしい。赤羽根の雛鳥が、俺の言葉に右の翼を上げて返答してきた。


「親鳥がいない隙に巣から抜け出して、勝手にそこら中歩き回ってたってことなんだろ? 好奇心を持つのは良いことだし、今回は俺たちにとっても良い方に転がったが……何事もほどほどが大事だ。次はあんまり無茶するんじゃないぞ?」

「ピィッ」


 ザッと見た感じ、この階には虹勾鳥以外のモンスターの姿は無い。おそらくは虹勾鳥の成鳥が放つ強い気配に気圧(けお)されて、逃げてしまったのだろう。

 だが、階が変われば他のモンスターがいる。この赤羽根の雛鳥も、俺たちに会わなければ命を落としてしまっていたかもしれないので、注意だけしておくことにした。お節介かもしれないがな。


「ピィッ!」

「「ピィ!?」」


 赤羽根の雛鳥が素直に巣の方へと戻っていくが、その姿を見つけた白雛鳥2羽が驚いたように声を上げる。やや険しい表情でしきりに赤羽根をつついているので、『ズルい!』と言っているのかもしれない。


「「「………」」」


 ヒートアップした雛鳥たちが発する熱気に、熱が苦手な3人がそっと後ろに下がる。雛が2羽で熱量も2倍、謁見の間の中はなかなかの熱気に包まれていた。


「……そういえば今さらだけど、朱音さんの装備って火属性攻撃を受け付けないんじゃなかったっけ?」


 前にファイアブレスかなんかを浴びても、無傷だったことがあったような気がするが……。


「うーん、火属性攻撃は確かに効かないけど、暑さを感じないわけじゃないのよね……」

「あ〜、なるほどな」


 火属性攻撃でダメージは負わなくても、流れ出る汗までは止められないか。そう考えると、九十九さんは相当暑さに強い体質なんだな。

 ……第21〜24層、砂漠地帯の昼は相当暑い。帯刀さんの【氷魔法】もあるが、少し暑さ対策を考えておかないとな。


「恩田さんは大丈夫なのです?」

「俺か? まあ、たまにはダメージを食らっとかないと素の体力や防御力が成長しないからな。これくらいはトレーニングだと思って耐えてる」


 俺たち探索者の成長方式は、ロ◯サガやファ◯ナル◯ァンタジー2のそれに近い。攻撃魔法を使えば魔法攻撃力が上がり、魔力を使えば最大魔力量が増え、物理攻撃を仕掛ければ腕力が上がる仕様だ。なので、もし体力や防御力を上げたいのであれば適度にダメージを食らっておく必要がある。

 特に、この火属性スリップダメージは魔法攻撃扱いである可能性が高いから、魔法防御力を上げる絶好のチャンスだ。今のうちに食らっておけば、後々の探索が楽になるだろう。


「ピィッ!」

「ピィッ! ピィッ!」

「……ん?」


 白雛鳥2羽の視線がこちらを向いている。そのつぶらな瞳は、何かを訴えかけるように俺と九十九さんを交互に見ていて……そんな白雛鳥の隣には、ドヤ顔をしている赤羽根の雛鳥が立っていた。


「……お前、赤羽根に成長できた理由をゲロったな!?」

「ピィ♪」


 テヘペロじゃねえよ、試練の間のモンスターなのにどこで覚えてくるんだよその仕草は。


「キュイ」

「ああもう、なんで親鳥さんまで期待の籠った眼差しでこちらを見るんですかねぇ!?

 ……ったく、仕方ねえな。九十九さん、いっちょやりますか」

「期待には精一杯応えるのが、私のポリシーなのです。いっちょやってやるのです」

「よっしゃ。ヒナタ、危ないから少し離れてな」

「きぃっ!」

――バサッ!


 ヒナタを遠方に避難させてから、虹勾鳥の巣へと近付いていく。

 ……早めに成長させてやらないと、謁見の間 (仮)が暑くて暑くて仕方ないからな。その解消のためだ、虹勾鳥のためだけじゃないさ。



 ◇



「ピィッ!」

「ピィィィッ!」

――バサッ! バサッ!


 赤羽根が生えた翼を羽ばたかせながら、雛鳥2羽が歓喜の声を上げる。炎熱の制御も格段に上手くなり、俺たちの狙い通りに謁見の間 (仮)の気温が大きく下がった。


「キュイッ!」

「『ありがとうございます』って言ってる気がするのです」

「いやいや、礼には及ばないさ」


 4色羽根の虹勾鳥が頭を下げてくる。

 ……別に俺たちが何もしなくても、わりと早いタイミングで雛鳥たちは赤羽根になってたと思うけどな。その最後の一押しを俺たちが実行しただけに過ぎないので、大したことはしていない。それでも、感謝は素直に受け取っておくことにした。


「……そういえば、どこにも宝箱が見当たらないな?」


 さすがに、この辺が上ルートの最終エリアになるはずだ。それなら宝箱があってもおかしくないのだが……改めて謁見の間を見回しても、虹勾鳥の巣くらいしか目に付くものは無い。まさか、宝箱無しで終わりなのか?


「キュイ、キュイ!」

「……です? 椅子の奥の壁に、道が隠されてるのです?」

「キュイッ!」


 そう思っていると、4色羽根の虹勾鳥がまだ奥があることを教えてくれた。謁見の間の奥、崩れた玉座の後ろに道があるらしい。


「よし、調べてみるか」


 早速、玉座の裏にある壁に近寄っていく。見た目は大理石の白い壁っぽい感じがするが、果たして……?


――コンコン

「……あまり響かないな。ここは?」

――コンコン

「……ここも変わらないな」


 場所を変えながら、壁を軽く叩いていく。そして……。


――コーン

「……お?」


 何やら、打音が反響する場所を見つけた。その付近を重点的に探索していると、白壁の低い位置に小さな四角形の穴が開いていることに気付く。

 ……しかし、手が入らない。


「……"アイテムボックス・取出"」


 アイテムボックスに入れておいたボールペンを取り出し、穴に突っ込んでみる。


――カチッ


 あれ、ボタンを押したような感触が返ってきて……?


――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

「うおっ!?」

――バキッ!


 唐突に、目の前の壁が四角くせり下がっていく。その壁下降に巻き込まれて、ボールペンが半ばから折れてしまった。

 ……指を入れてなくて良かったよ。ごめんなボールペン、君のおかげで俺の指は守られた。


――ゴゴゴゴゴゴ……ガゴン!

「………」


 壁が下がり切ると、その先から人1人が余裕で通れる広さの通路が現れた。奥には上り階段があり、更なる上層階まで行けるようになっていた。


「……この先に宝箱があるかもしれないな。みんな、行ってみるか?」

「せっかくここまで来たんだもの、私は行く方に賛成よ」

「私も賛成します」

「もちろん、行くのです!」

「きぃっ!」

「ぐぁぅっ!」

「ぱぁっ!」

「ピィッ!」


 よし、全員賛成だな……ん? なんか、返答に違和感があったような……?


「……まあいいか。俺が先頭で進むから、皆あとに続いてくれ」

「「「了解(なのです!)」」」


 先に俺が入り、その後に皆が続く。さて、この先に宝箱があるといいんだが……。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
こんにちは。 なんか良い性格してるなぁ、この鳥親子ww
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