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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第4章:そして始まる、現代ダンジョン探索元年

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4−99:不安と決断


「……ふぅ、なんとか倒し切ったか」

「ごめんなさい、私がアーミーを仕留め損ねたから……」

「すみません、私も敵の攻撃を吸引し切れず……」

「いや、あの数相手じゃさすがに無理だろ。朱音さんも帯刀さんも、何も悪くないって」

「です、みんな無傷で勝てたことを喜ぶのです」

「きぃっ! きぃきぃ!」

「ぐぁぁぁぅっ!!」

「ぱぁっ!」


 ゴブリンアーミー・アーチャーの大軍をどうにか退け、全員でホッと一息つく。辺りには大量の魔石や装備珠が散らばっており、俺たちとゴブリン軍団との壮絶な戦いの跡が見て取れた。

 ……そして気付けば、門扉の前に居たリビングアーマー共も姿を消している。地面に魔石が散らばっているので、おそらくライトニング・ボルテクスで倒し切れたのだろう……なぜか魔石が10個ほどあるが、城門の向こうから増援が来ていたのかもしれない。それもまとめて倒せたのなら、城門付近の安全はひとまず確保できたと見ていいだろう。


「"アイテムボックス・収納"、"アイテムボックス・収納"、"アイテムボックス・収納"……まだあるのか、"アイテムボックス・収納"」


 大体380個くらいか。第4層でモンスターを殲滅した時と、ドロップ品の数は同じくらいだな。モンスターの質はこちらの方が上なので、金額で換算したら倍くらいは違うと思うが。


「……これ、ちょっとモンスターが強すぎる気がするのです。レッドキャップも確かに手強かったのですけど、ゴブリンアーミー・アーチャーが300体近く襲ってくるのは難易度バグってると思うのです」

「だよなぁ、俺もそう思ってたところだ」


 ここに入った時も思ったが、第4層付近を狩場にしている探索者が挑戦していい難易度じゃない。第10層……いや、第20層を突破した探索者が挑戦して、なお苦戦するレベルの難易度じゃなかろうか。実際に俺たちがそうだったのだから、九十九さんの言うことはあながち間違っていない。

 しかも、まだ城の中にすら入っていない状態でこれだ。あの城の中が、更に強力なモンスターで埋め尽くされていてもおかしくない。


 ……俺としては、城門の穴の開き方も少し気になるんだよな。力でくり抜かれたというよりは、超高温の熱線かなにかで円形に溶かされて、その後冷え固まって穴になったかのような印象を受けるのだ。いくら強力でも、ファイアブレスではこうはならないはずだ。

 一瞬、真紅竜ことスカーレット・ティラノスの姿が頭をよぎったが……それなら、もっと派手に壊れているはず。真紅竜なら城門ごと力ずくで破壊できるだろうし、仮にファイアブレスを放ったとして、城門全体が溶け落ちているはず。しかし実際は、穴の周りにしか高温で炙られた形跡は見受けられないのだ。


 ……これを、単にダンジョンが作り出した風景の一環と取るか。あるいは、未知なる強敵の出現を示唆(しさ)していると取るか。俺としては、後者のパターンとして考えた方が良い気がしているのだ。


「………」


 少なくとも、城門のすぐ向こうに動くものは無い。【風魔法】の探知を少し広げてみると、城門からやや離れた場所で植物のようなものが多数揺らめいているのが確認できたが……それ以外に、怪しいものは無さそうだ。


「……城門のすぐ向こうには、モンスターが居なさそうだ。どうする、中に入ってみるか?」


 一応、全員に改めて問いかけてみる。

 さすがに、城に入ってすぐ勝てないほどのモンスターと遭遇することはないと思うが……あまり奥に行けば、どうなるか分からない。だから俺は、城の入り口付近に出てくるモンスターを【鑑定】で確認して、ヤバいと思ったらすぐ引き返そうと考えている。

 ただ、思ったよりモンスターが手強いのも確かだ。ここは俺1人で判断を下さず、皆の意見も聞いてみたい……と、そう考えた。


「……ねえ、高良さん。【鑑定】を2回使ってるけど、魔力残量は大丈夫なの?」

「ん? ああ、今で大体8割くらいってとこかな」


 ゴブリン軍団との戦いでそれなりに消費したが、大した量じゃない。まだ十分に余裕はある。

 そも、なぜかは分からないがここだと魔力自然回復の速度が上がっている。空気中の魔力濃度が濃いのだろうか、いつもより早いペースで回復しているのだ。俺の体感でしかないが、断言していいくらいには普段と大きな差がある。


 ……そういえば、リビングアーマーを【鑑定】した時の説明欄にもあったな。"武具に強い魔力が宿り、意思を持って動き出したもの"って記述が。レッドキャップも多彩な魔法を行使していたし、この試練の間はそういう特殊な環境下にあるのかもしれないな。


「それなら、城の入り口くらいまでは様子を見てもいいんじゃないかしら?」

「恩田さん、私も城内に入ってすぐくらいの所までは探索すべきだと考えています。仮に退く判断をするとしても、今は少し早いのではないでしょうか?」

「そうか」


 朱音さんと帯刀さんは、俺とほぼ同じ考えだな。


「うーん……」


 一方で、九十九さんはやや悩んでいるようだ。その目線が、時折城門に開いた穴の方に向いていて……多分、九十九さんは気付いてるんだろうな。彼女は【焔の魔女】だから、【火魔法】に関してはやはり優れた知見を持っているのだ。


「恩田さんは気付いてるのです?」

「穴だろう? 気付いてるよ、ファイアブレスじゃないなアレは」

「です。高火力を一点集中させて、扉を貫いたように私には見えるのです。あれが、単なる風景ならいいのですが……」

「ここは試練の間だからな。僅かな情報の見落としも、時に命取りとなりかねない怖さがある」

「「あ……」」


 九十九さんは、城の中にアレをやった存在が居るかもしれない、と考えているんだな。だから、城門の先に踏み込むことを躊躇している。

 ……ただ、それに関してはこうも考えられる。


「ではもし、穴を開けた存在が外に居るとしたら? 城の中より、外の方が危険だと考えることもできるな」

「……です、その通りなのです」


 この辺は、もはや屁理屈でしかない。

 ……そして、屁理屈でしかないが否定することもできない。情報があまりに足りなさすぎて、今は考察さえままならないのだ。


 虎穴にはいらずんば虎子を得ず。リスクヘッジは確かに重要だが、多少のリスクは許容しなければいつまで経っても情報は得られない。


「その辺をはっきりさせるためにも、城の中は1度見ておいた方がいいと思う。今はとにかく、情報が欲しい」

「確かに、そうなのです」


 その辺が、撤退を判断するタイミングになるだろう。


「ただ、九十九さんの意見はとてもありがたい。多数派の意見が絶対に正しいとは限らないからな……仮に俺たちと違う意見だったとしても、これからも遠慮なく言って欲しい」

「……ふふ、了解なのですよ」


 もちろん、九十九さんへのフォローも決して忘れない。俺たちはパーティとして行動しているから、時には異なる意見同士がぶつかることだってある。その時に俺は、片方の意見を排斥するようなことは絶対にしない。

 ……最近よく聞く、心理的安全性の高いなんとかってやつだ。結構勘違いされがちだが、あれはお気楽仲良しチームを推奨するものではなく、健全な意見の衝突を伴うものだ。異なる意見を対等に戦わせたうえで、1つの最適と思われる行動に収束させていく営みを指すのだと俺は考えている。


 まあ、言うは(やす)し、行うは(かた)しの代表格みたいなものだがな。チームに他責思考が過ぎる人が居たり、論破が好きな人が居たり、『◯◯さんの意見だから絶対に正しい!』というような人が居たら途端にこれは成り立たなくなる。俺も決して他人事ではないので、そういう人間にならないよう心掛けねばな……。


「さて、では城門の向こうへと入る。先頭は俺で、最後尾は帯刀さんに任せたいと思うがそれでいいか?」

「「「異議無し(です!)」」」

「きぃっ!」

「ぐぁぅっ!」

「ぱぁっ!」


 全員の了承を得て、早速門扉の穴を潜っていく。さて、城門の向こうにはどんな光景が広がっているのだろうか……?



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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