第18話 『迷宮第三層:傲慢』
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驚いた事に、三層は魔獣が一匹も出ることがなかった。
二層は一層とは比べられない程難易度が上がったから三層はよっぽどだと覚悟したのだが、ある一点においては拍子抜けだった。
その代わりに、三層は今までの階とは異質で至る所に罠が仕掛けてあり、序盤は相当苦戦した。
その罠も全て、引っ掛かると致命傷をもらう。その度に一々王級回復魔法の超速再生を使うのも馬鹿らしいし、かといって覇属性の俺が他の回復魔法を使うことは出来ないので、リアナと試行錯誤して新たな魔法を創った。
範囲を決めて魔力を放ち、魔法に関するギミックを見つける荒業だ。名付けるなら広範囲魔力探知魔法と言った所だろう。普通の探知魔法は後で父上にでも教えてもらおう。
魔力を放つ分普通なら消費魔力量は馬鹿にならないが、二層の報酬のお陰でその心配もない。
術神の指輪は自分の消費魔力量を半分にする魔法具だった。名前と効果から考えて神器かもしれない。
正確には魔法を使った後、その半分の魔力が瞬時に回復すると言うものだが。それだけでも十分にチート能力だ。
結局、序盤に魔力と精神力をだいぶ喰われたが、その他の点では今まで一番簡単な階層だった。飯もキマイラの肉を大量に入手出来たので問題無かったし。
「リアナ、この層は魔獣が出なくて楽に突破できたけど、ボス部屋が有るからにはここでは魔獣が出てくる。それも、前回より強い魔獣だろう。気を引き締めて行くぞ」
「…………ん」
前回がB、その前がC+ランクの魔獣だったから、今回はB+以上のランクに違いない。
果たして、鬼が出るか蛇が出るか……………………
一度心を落ち着かせてから扉を開けて中に入る。
ボス部屋には三匹の飛竜が飛んでいた。
B+ランクの魔獣であるが、竜種である事に変わりはない。その牙と爪は鋭く、皮は生半可な剣では傷をつける事も出来ない。温存して勝てる敵では無いな。
「リアナ、俺が惹き付けるから大きいの一発頼めるか?」
「任せて、でも二十一秒かかる」
「その位耐えてみせなきゃな。『【明鏡止水】【金剛力】』」
強化をかけながら、収納からデュランダルを出してワイバーンに向かって突撃する。
縮地を多用して撹乱させて時間を稼ぎ、隙が出来た所でデュランダルで斬りつける。
他の二匹がブレスを放って来るが、瞬時に魔力で足場を作り縮地で避ける。
お返しに魔力爆弾を投げつけるが、中級魔法では傷を付ける所か気を引くことも出来ないらしい。やはり生半可な魔法では効果はないか。
リアナに全面的に頼る事になってしまってだらしないが、より安全な手段を取った方が良い。二層は仕方なかったが、出来ればリアナには近接戦闘して欲しくはない。
耐えるだけなら出来るだろうが、それでも一匹だけでも削っておきたい。リアナに任せっきりでは不甲斐ないからな。
『【斬鉄閃】ッ!』
当てる気のない斬撃を放って一匹を分断させる。その一匹に縮地で距離を詰める。狙い通り、頂き!
『【斬岩剣】ッッ!』
絶好のシチュエーションで魔力をのせたデュランダルを振り下ろす。
デュランダルは飛竜を斬り付けだが、最後まで斬る事が出来ず途中で止まってしまった。しかも、飛竜は肉も硬く剣が抜けない。しまった、これはマズ――――――――――――
背中に鋭い痛みが走り、俺の身体から力が抜ける。あり得ない程の血を口から吐き出し地面に落下する。
…………臓器も一部持ってかれた。早く回復魔法を使わないと。
魔法を詠唱しようとしたが、上手く呼吸出来ずに失敗する。意識が朦朧としてきた。このままじゃ本当に死ぬ……………………。
意識が完全に落ちる前に唇に柔らかい感触が伝わり、俺の身体を金色の魔力が覆った。この澄んだ、暖かい魔力は――――――――――
「…………もう大丈夫だから。『呑み込め【天龍】』」
いつの間にか俺の隣にいたリアナは手を飛竜に向かってかざすと、そこから大量の魔力が放出されそれが龍の形になり、飛竜の身体を貫通した。
俺は飛竜が倒れたのを確認すると、朦朧とした意識に抵抗するのをやめて、意識を手放した。
本格的に受験勉強を始めたので執筆速度落ちます。
せめて、夏休みまでは一週間に一話は上げるようにしたいです。




